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- 黒花はカッコいい! 令和の新しいスター花 ガーデニングにオススメの黒花12選
庭で咲かせる草花の中でも、ハッとするほどインパクトがあり、見る人の目を惹きつける美しい黒い花。そんな黒花の魅力と見どころ、そして数多ある黒花の中でもより「黒い」色彩を持つオススメの品種を、ベテランガーデナーの遠藤昭さんに解説していただきました。
目次
「カッコいい花」黒花
僕は黒が好きだ。黒い服を着こなすナイスガイに憧れる。かつて、黒という色は不吉な色とされ、バブル時代の「黒服」は、決してよいイメージではなかった。ところが、以前は紺色のスーツが定番だった学生の会社訪問の服装も、最近は黒のスーツに代わり、新入社員も黒のスーツが定番となった。黒服の似合う男は知的でカッコイイ。時代と共に、色のイメージも変化するものだ。
そして花の世界でも、平成の中ごろから、黒花は「カッコイイ花」として人気が出てきている。かつては黒い花が「気持ち悪い」とか「縁起が悪い」とか、「不気味」とかいって嫌われたのに、これは大きな変化だ。きっと、新しい令和時代には、黒花はトレンドな花となり、もっと人気が出るのでは? ということで、令和最初のレポートは「黒花特集」としよう。
一口に黒花といっても種類豊富
最近は、さまざまな黒花が簡単に入手できるようになった。
一般的に多くの人は、子どもの時は赤やピンクや黄色といった色とりどりの花が好きで、大人になると、ブルーガーデンやホワイトガーデンのように青花や白花、そしてハーブやバラなどの香るモノが好きになり、さらに黒花や緑花へと嗜好が変化するようだ。そして高齢化と共に、子どもの頃の趣向に再び回帰してゆくようにも思える。
中には花よりもシダとか、グラス類やリーフ系に走る人も多い。また、黒花は、こうしたシダとか、グラス類にもよく似合うのだ。黒花とシダやグラスとの組み合わせは、冷静で聡明な黒服の似合う男のような雰囲気が出る。
僕が最初に、カッコイイ黒花に出合ったのは、もう30年近く前のこと。その花がブラックキャット(学名:Tacca chantrieri )だ。園芸店で見つけて連れ帰ってしまった。しかし、一般家庭で育てるのは難しく、枯らしてしまった。今は職場の植物園の温室で育てているが、なかなか開花は難しい。
その後、さまざまな黒花を育てた。しかし、黒花といっても、本当の黒の花は少なく、多くは臙脂色だったりする。
ここでは、僕が育てた範囲で、「黒花」の「黒さ」ベスト12を以下に紹介する。
「黒い」花ランキングベスト12
12位:ツバキ‘ナイトライダー’
草花ではないが、花木であるツバキにもこんなカッコいい黒花が咲く種類があるのだ。挿し木で比較的簡単に増やすことができる。
11位:サルビア
昭和時代のサルビアは赤が主流だったが、最近はさまざまな色が誕生しているようだ。
特に黒い花として流通しているのは、サルビア‘ディスコロール’。シルバーリーフがより一層黒花を引き立てる。
10位:チューリップ‘ブラック・ヒーロー’
チューリップも最近は黒花が増えた。写真は‘ブラック・ヒーロー’。チューリップを翌年も咲かせるには、花後すぐにタネができないように花を切り取り、お礼肥をしっかり与え、太陽に当てて球根を太らせるのが大切。6月末に葉が枯れたら掘り上げる。植え付けは秋冬に。
9位:ジャーマンアイリス‘ハローダークネス’
青から、白、虹色、バイカラー(2色咲き)など、多くの色バリエーションがあるジャーマンアイリスの中にも、ベルベットのような質感の‘ハローダークネス’など黒花種も存在する。なお、球根の植え付けの際には深植えは禁物。やや青みがかった黒だが、気品あふれるジャーマンアイリスだ。
8位:ヤグルマギク‘ブラックボール’
別名にコーンフラワーやセントーレアなどとも呼ばれるヤグルマギク。放射状の花形が矢車のようで、昭和時代に流行った一年草の矢車菊のことである(当時は矢車草とも呼ばれていたが、ヤグルマソウは別種)。青花のイメージが強い花だが、最近は黒花のタネも通販などで手に入れることができる。
7位:ダリア‘黒蝶’
かつては、黒ダリアでは‘ブラック・モナーク’という品種があったが、最近は入手することができず、‘黒蝶’が一般的。4月に球根を植えつけ、11月に掘り上げる。7月の花後に、一度バッサリと切り戻すと、秋にも花を楽しむことができる。
6位:カラー‘ホットチョコレート’
カラーも球根から育てることができ、4月に植え付けると7月には開花する。高温多湿を嫌うが、夏の管理をうまくすれば、翌年も咲かせることができる。‘ホットチョコレート’は、茎まで黒く全体的にシックな印象。
5位:フリチラリア・ペルシカ
グレーがかった黒花が鈴のように枝垂れて多数開花する。秋から球根が販売されるので、10月に植え付けると、翌春には開花する。ただし、暑さや蒸れが苦手で、夏越しが難しい。
4位:ビオラ‘ブラックデライト’
花の中央にちょこんと入る黄色い目がアクセントになる黒花のビオラ。すっかりお馴染みになった黒花だ。最近ではメジャーな品種になって、ホームセンターでも販売されている。花がら摘みと追肥の手入れが長く咲かせるコツ。
3位:クリスマスローズ黒花系
かつては‘ルーセブラック’が有名だったが、最近は八重咲き品種でも黒花が出回っている。花期も長く、品のある花だ。自家採取したタネからでは、黒花は咲きにくいため、株分けで増やすとよい。
2位:ペチュニア‘ブラックチェリー’
ペチュニアというと、ピンクとか白とか明るい色が多いが、こんな真っ黒な種類もあるのだ。雨に弱いのが難点。普通のペチュニア同様に、花がら摘みと追肥が長く咲かせるためのコツ。最近では、花びらが黄色く縁取られる八重咲きの黒花‘黒真珠’も人気だ。
1位:黒花タチアオイ
ホリホックともいわれている。本当に非の打ち所のない黒である。光沢のある花弁も美しい。開花期は7月。タネから比較的簡単に育てられる。虫がつきやすいので、予防をしっかりとする必要がある。
以上、僕が、この20年ほどの間に育てた黒花だ。
今、こうしてリストアップして感じるのは、やはり黒花が随分と入手しやすくなり、一般化したことだ。きっと令和の時代には、また新しい黒花が誕生し、楽しませてくれることを期待したい。
Credit
写真&文 / 遠藤 昭 - 「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー -
えんどう・あきら/30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)、『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版)。
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