トップへ戻る

【デンドロビウム・キンギアナム系】オーストラリア原産のラン 魅力と育て方

【デンドロビウム・キンギアナム系】オーストラリア原産のラン 魅力と育て方

オーストラリアを原産とするランの仲間、デンドロビウム・キンギアナムは、温室がなくても育てることができ、一般のガーデナーでも栽培しやすいランです。神奈川県の自宅の庭で、25年以上にわたり、オーストラリアの植物を中心にガーデニングを楽しむベテランガーデナー・遠藤昭さんに、キンギアナムの魅力と育て方を教えていただきました。

Print Friendly, PDF & Email

簡単に育てられるラン キンギアナム系

デンドロビウム・キンギアナム

洋ランというと、豪華な花を咲かせる反面、温室がないと立派な花を咲かせることが難しい、というイメージがありますが、今回紹介するキンギアナムは別。ごく一般の家庭でも、簡単に育てることができるランなのです。一般的にキンギアナムと呼ばれているものは、デンドロビウム・キンギアナム(Dendrobium kingianum)の交配種の、キンギアナム系のことを指します(以下キンギアナム)。

キンギアナムは、オーストラリアを原産とし、寒さにも暑さにも比較的強いランです。原生地では岩や木に着生して育つので、肥料もあまり必要としません。丈夫で育てやすく、花を咲かせやすいうえ、香りも素敵で、初心者にはもってこいの植物です。
デンドロビウム・キンギアナム

実際に、我が家のキンギアナムは購入して20年ほどになりますが、日々の水やりと、冬に屋内に取り込むくらいの手入れしかしていません。ほとんど放置状態でも、毎年花を咲かせてくれる優等生です。

デンドロビウム・キンギアナム
この写真は、15年前のものです。

花色は白、ピンク、黄色。香りは白花が一番

デンドロビウム・キンギアナム

キンギアナムの花色は白が中心ですが、ピンク系もあり、最近では黄色い花を咲かせる交配種も登場しているそうです。清楚な白花も、愛らしいピンク系の花も、どちらも異なる表情を持ち、魅力的。僕のガーデンには両方の株がありますが、香りは白が圧倒的に強いため、香りを楽しみたいなら白花がオススメです。

デンドロビウム・キンギアナムのピンク花
デンドロビウム・キンギアナムのピンク花
鉢植えにしても愛らしいピンクのキンギアナム。
デンドロビウム・キンギアナムの白花
白花のキンギアナムは辺りに漂う強い香りも魅力の一つ。

屋外で育てられるのが嬉しい! キンギアナム

ガーデンのデンドロビウム・キンギアナム
ガーデンのデンドロビウム・キンギアナム
雨に打たれて咲くキンギアナムの白花。

そして、このキンギアナムの最も素晴らしい特長は、屋外で栽培できること。普通、洋ランは部屋の中で楽しむものですが、キンギアナムは屋内での栽培はもちろん、開花期には屋外のガーデニング素材としても、素敵な役割を演じてくれます。4月に入り、霜が降りなくなったら外に出して、鉢植え植物として、他の草花と一緒に庭の一部を飾ることができるのです。異国情緒を感じさせてくれるキンギアナムの花は、新鮮なガーデンを演出する素材として活躍することと思います。

ガーデンのデンドロビウム・キンギアナム
木陰に咲くキンギアナムの花。屋外で育つキンギアナムは、庭の樹木と溶け込み、少しワイルドな風情も感じさせます。
デンドロビウム・キンギアナムと春の花
チューリップやビオラなど、春の花々と合わせて。
クリスマスローズとキンギアナム
クリスマスローズとともに、コンテナガーデンの一角を飾るキンギアナム。
デンドロビウム・キンギアナムの花

キンギアナムは春から初夏にかけて花を咲かせます。花が小さく、一つひとつの花にはさほど華やかさはありませんが、伸ばした花茎に花がまとまって房咲きになるので、株が大きくなると、たくさんの花が集まり、なかなか豪華な眺めをつくってくれます。

デンドロビウム・キンギアナムとストレリチア
デンドロビウム・キンギアナムとクリスマスローズ
個性的なオレンジ色の花ストレリチアや、人気の宿根草クリスマスローズとの共演も素敵です。
デンドロビウム・キンギアナムの切り花

ガーデニングの素材としてばかりではなく、花房を切り花にしても絵になりますね。

屋内のデンドロビウム・キンギアナム

もちろん、室内に置いても楽しめます。

季節がよい時は日に当てよう!
キンギアナムの育て方

デンドロビウム・キンギアナムの育て方

育て方は簡単で、栽培のコツはできるだけ日の当たる場所で管理すること。冬の間は室内に取り込みますが、霜に当たる心配がなくなり、桜が開花する頃に外に出して直射日光に当てましょう。この頃から太陽にしっかり当てて育てると、夏も葉焼けをせずに丈夫に育ちます。ただし、真夏は直射日光の当たる場所に置くと、鉢内の温度が上がってしまうため、木漏れ日が当たる程度の半日陰がよいでしょう。霜が降り始める11月末くらいまでは屋外で育ててから、屋内の日当たりのよい場所に取り込みます。少し寒さに当てたほうが、花芽が多く出るようです。

冬は日当たりのよい屋内へ

水やりは、春に花芽が出たら多めを意識して、土が乾いたらたっぷりと与えましょう。夏の間もしっかり水やりをします。秋に成長がとまるため、冬の間は水を控えめにします。そして花芽が出てきたら水やりを再開して、しっかりと水を与えます。

キンギアナムはもともと岩や木に着生して育つ植物なので、肥料はあまり必要としませんが、花後の5~7月頃の成長期には発酵油粕などを施します。液肥の場合は種類によっても異なりますが、2,000倍に薄めて2週間に1度、施肥する程度で十分です。

デンドロビウム・キンギアナムの花

病害虫にも強いですが、時々、アブラムシやカイガラムシがつくことがあります。また、植え付ける用土は水苔が扱いやすく、2年に1回ほど鉢増しをすると、大株に育ちます。

ガーデンのデンドロビウム・キンギアナム ガーデンのデンドロビウム・キンギアナム

ランの栽培は難しいからとても無理、と思っている人がいるなら、ぜひこのキンギアナムの栽培に挑戦してみてください。思った以上に簡単に栽培でき、可愛らしい花と豊かな香りを楽しむことができます。

併せて読みたい

ガーデンズ・バイ・ザ・ベイとシンガポール植物園でランを巡る旅
観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選
オージーガーデニングのすすめ スタイリッシュな植栽に不可欠な葉物「ニューサイラン」

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO