夏に強い新品種も登場! 10~12月が植えどきの球根花「ラナンキュラス」
数ある植物の中から今、注目の植物をピックアップするシリーズ「Now blooming」。ガーデナーや育種家、ナーセリーなど、植物の達人たちへの取材を元に編集部がセレクトした植えどき・買い時・咲き時のオススメ植物をご紹介します。今回は新品種が注目のラナンキュラスをピックアップ。
バラのように咲く球根花、ラナンキュラス
春先のお花屋さんでよく見かけるラナンキュラス。薄い花びらを幾重にも重ねたロマンチックな姿がフラワーアレンジメントで人気の花です。バラによく似ているため間違われることも多いのですが、バラが樹木であるのに対し、ラナンキュラスは春に咲く球根植物。ひとつの球根から次々に花茎が上がり、3月下旬から5月まで、長期間花を楽しむことができます。
近年ガーデンで目覚ましい活躍をしているのは、花びらの少ない品種。ひらひらと波打つ花びらと、その繊細なグラデーションが可憐で素朴な雰囲気を持っています。春の若草色のガーデンによく似合うこれらの品種は宮崎県の綾園芸が育種した新しい花で、花びらに光沢がある「ラックスシリーズ」という品種群です。これまでのラナンキュラスは高温多湿に弱く、夏の間に球根が地中で腐ってしまうため掘り上げて保管しておく必要がありました。一方、‘ラックスシリーズ’は、地植えのまま、植えっぱなしで夏を越せるという新しい特徴を持っています。春のガーデンに新しい可能性を広げてくれる期待の花です。
球根はいったん水を吸わせてから植栽します
ラナンキュラスの球根は、他の春植え球根と同様、秋に植栽します。気温が高いうちに植え付けてしまうとうまく育たないので、最高気温が20度を下回る日が1週間続いたら植えます。ラナンキュラスの球根は、ほかの春植え球根と少し異なる植え方をします。市販のラナンキュラスの球根は乾燥してカチカチになっており、そのまま植え付けると土中の水分を一気に吸収し、腐ってしまうことがあります。ですから、そうならないように植栽前にあらかじめ水分を含ませておく必要があります。水で濡らしたキッチンペーパーに球根を挟んで、ビニール袋に入れて冷蔵庫で一晩おきます。水分を吸った球根は膨らんで瑞々しくなるので、そのような状態になったら植え付けます。地植えの場合は水はけの良いところを選んで植え付けましょう。鉢植えの場合も水はけの良い用土を用意します。
1鉢から育てられます
植え付けてから1カ月ほどで芽が出てきます。芽が出てくるまでの間も水やりを忘れないようにしましょう。地上部に何もないとつい存在を忘れがちですので、ネームプレートなどを立てておくとよいでしょう。芽は一つだけでなく、いくつも出てきて冬の間に葉が茂って株が大きくなっていきます。鉢植えなら5号鉢に2~3球、少し間をあけて植えるとよいでしょう。芽が出てから花が終わるまで、ときどき液肥をあげましょう。ラックスシリーズ以外のラナンキュラスは花後、地上部が枯れたら球根を掘り上げて涼しいところで保管します。
ラックスシリーズはまだ流通量が少なく、球根より花苗が冬に向けて出回ることの多い品種です。1鉢の価格は数千円と、他の球根花と比べて少々高いものの、植えっぱなしで(地域によります)年々株が太ってきれいな花を咲かせてくれます。
Photo/1)Katia Seniutin 4) Agnes Kantaruk/Shutterstock.com
Credit
写真&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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