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ポコポコ系、ツブツブ系、モケモケ系。ランの新しい楽しみ方提案!世界らん展2019で見つけた、花が無くても楽しめるラン14選

最近、ボタニカルな暮らしを楽しむ人たちの間で人気が高まっているラン。美しい花を咲かせるもの、また花が無い時期も存在感のある株姿が魅力的なものなど、さまざまなランがあります。2019年2月に東京ドームで開催された「世界らん展2019」で見つけた、株姿を楽しめるランをご紹介します。
目次
ランの個性が詰まった「バルブ」に注目!

ランは花の色や形も多様ですが、株姿もさまざま。株姿を個性的にしているのは、それぞれの「バルブ」の形状によるところが大きいでしょう。
バルブとは、ランが持つ球根に似た塊状の部位のこと。上の写真のランだと、細い葉のつけ根にある、ふくらんだ部分がバルブになります。チューリップなどの球根と同様、ランのバルブは水分や養分を蓄える役目を持っています。
このバルブの形や増え方によって、種類ごとに個性的な株姿になります。

ちなみに上のような、もっともポピュラーなランの一つであるコチョウランは肉厚の葉に養分や水分を蓄えるので、球根状のバルブはありません。ほかに球状のバルブをもたないランの仲間には、バンダなどがあります。
それでは、花が無くても魅力いっぱいのランをご紹介していきましょう。
バルブが魅力的なランをご紹介!
1.人気のタケノコ系のラン、フレッドクラーケアラ

最近人気が出てきているのが、「タケノコ系」と呼ばれるランの仲間。春にできる新しいバルブから葉を出して生育し、秋になると落葉します。落葉した姿がタケノコのように見えることから、こう呼ばれています。
種類や個体、生育状態によってバルブの形や大きさに個性があり、バルブ全体に薄皮が残ったザラッとしたテクスチャーなども観賞ポイントです。
上のフレッドクラーケアラ・アフターダーク‘ブラックパール’(Fredclarkeara afterdark’Black Pearl’)は黒い花が咲き、渋好みのするタイプ。

こちらのクロウェシア・レベッカ・ノーザン‘ミッカビ’(Clowesia Rebecca Northern’Mikkabi’)は、タケノコ系の中では株も花もコンパクトで育てやすいタイプ。
ピンクの花はジンジャーの香りがします。

葉があるときのタケノコ系は、こんな姿。ランとしては比較的薄くサラサラした柔らかい葉で、これもまた目を楽しませてくれます。
タケノコ系のランの多くは、中米〜南米原産。春〜秋は薄い葉が焼けない程度に強い光を当て、水と肥料を切らさずに育てると、大きなバルブに生育します。
2.人気上昇中のツブツブ系、バルボフィラム・モニリフォルメ

バルボフィラム・モニリフォルメ(Bulbophyllum moniliforme)のバルブは、わずか直径2〜3mmほど。
湿りすぎを嫌うので、写真のようにコルク板などに着生させて育てますが、見た目はさながら多肉植物です。

花も極小で、マッチ棒と比べてもこのサイズ。華やかさには欠けるランですが、意外に女性に人気があったりします。

こちらはバルボフィラム・ムスカリルブラム(Bulbophyllum muscarirubrum)。モニリフォルメよりはやや大きめのバルブで、表面に凹凸のあるタイプです。

種は異なりますが、こちらのポーパックス・ウスツラータ(Porpax ustulata)もツブツブしたバルブを持つタイプ。バルブの表面にマスクメロンのようなしわ模様が入ります。個体により模様の入り方が異なるため、好みの個体を選ぶのも楽しいもの。
これらの種類は根の過湿を嫌いますが、空中の湿度は高い環境を好みます。ガラス容器などに入れて、アクアリウム用、植物栽培用のLEDの光で育てることもできます。
撮影協力/はちのへ洋らん園
3.ポコポコ系のデンドロビウム・ペンデュラム

ポピュラーで目にすることも多いデンドロビウムですが、中にはバルブが変わった形をしたものもあります。

一般的なデンドロビウムは上の写真のように、すんなりとしたバルブをしているものが多いですが、ペンデュラムはご覧の通り、途中がポコポコとした形状。春〜秋まで葉があった部分が、こうした形状になります。
特徴をしっかり出して、姿よく育てたいなら、冬によく日に当てることが重要。また、夏の暑さには弱いので、風通しのよい場所で育てましょう。

しっかり育てれば、こんな可憐な花が咲きます。
撮影協力/ワカヤマオーキッド
4.モケモケ系のデンドロビウム・セニレ

こちらもデンドロビウムですが、今度はバルブに毛の生えたモケモケ系、デンドロビウム・セニレ(Dendrobium senile)。ミャンマー、タイ、ラオスなどに自生するデンドロビウムですが、500〜1,200mの高地生まれなので、暑いのは苦手です。
昼夜の温度差も必要なので、昼間暑くても夜温が下がる山間部向きの種類。
5.サボテン、多肉植物と一緒に育てたいプレウロタリス・テレス

小型のサンセベリアにも似た、多肉植物のようなランのプレウロタリス・テレス(Pleurothallis teres)。ブラジルの温暖な地域原産で、周囲にはサボテンやブロメリア、カトレアなどが生えているようなエリアの岩に着生して生きているランです。
それだけに、しっかり光に当てて育てる必要があります。乾燥にも強いので、サボテン、多肉植物などと一緒に育てても大丈夫です。強い光に当て続けていると、バルブの表面が赤くなって、これもまた観賞ポイント。
プレウロタリスは、とてもバリエーション豊富な属。テレスのように日ざしの強い乾燥地に生えるもののほかに、変わった花や葉をしたものもたくさんあります。
6.ワイルドな葉が魅力のオエセオクラデス

オエセオクラデスはマダガスカルや南アフリカなどに自生する地生ラン。岩場に生え、周囲の風景に溶け込むためにこうした模様になったと考えられています。
マットな質感の葉には、ヘビやは虫類を思わせる模様が入り、種類によってはやや赤みがかかったものや、ラメ感のあるものもあります。
これだけ見応えのある葉だと観葉植物として屋内で育てたくなってしまいますが、日照が足りないと徒長してしまうので、注意しましょう。
比較的寒さには強いですが、凍ったり、霜が降りるほどの寒さは苦手。気温が5℃を下回るようであれば屋内に取り込みますが、それ以外は外で育てるのがオススメです。
撮影協力/はちのへ洋らん園
7.シャコバサボテンのようなロックハルティア

ギザギザしたシャコバサボテンのような葉を持つロックハルティア。この姿だけで十分観賞価値があります。

しっかり育てれば、オンシジウムに似たこんな花を咲かせてくれます。
花をたくさん咲かせるには、明るい場所で育てること。ずっと直射日光が当たっていると葉が傷むので、午前中は日が当たるけれど、午後からは直射日光が当たらない、東向きの場所などがオススメです。
8.花が咲いても見えない? エピデンドラム

鉢花としてもポピュラーなエピデンドラムですが、こちらのエピデンドラム・ベシカタム(Epidendrum vesicatum)は、あまり花の観賞には向いていないタイプ。
というのも、花は何枚も重なった葉の先端に咲くのですが、葉の間に隠れて見えないことがあるからです。
しっかり育ててたくさんの花が咲けば、さすがに外からも見えますが、それほどでもない場合は、こまめに下からのぞいていないと、花を見ることができません。
それでもあえて育てたい! という気概のある人向けかもしれません。
撮影協力/万花園
9.オブジェのようなバルブが魅力のドックリリア・ワッセリー

這うように横に伸びていき、上に向かってバルブが立つ姿が美しいドックリリア・ワッセリー(Dockrillia wassellii)。鉢に植えても育てることはできますが、着生させてワイルドな姿を楽しむのもオススメです。
伸びすぎて鉢や着生材からはみ出した部分は、切って別の株として育てることもできますが、はみ出すくらいの大株にならないと花は咲きません。
併せて読みたい
・観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選
・槇谷桜子のMY Botanical Life 4 水やりを失敗しない「タンクブロメリア」
・お部屋の緑、観葉植物の日頃のお手入れ5つのチェックポイント
Credit
写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のラ
https://twitter.com/tutti0514
https://www.instagram.com/sato
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