バラを育てたい! 初心者さん必見 バラの花びらの枚数・花の形・花のつき方の違いを詳しく解説
数万種類ものバリエーションがあるバラ。花色以外にも、花びらの枚数や花の形、花のつき方など、ビジュアルの個性はさまざまです。それぞれに魅力を持つバラの中から、あなたのお気に入りの花を見つけてくださいね。
目次
バラの花びらの枚数による分類
バラの花びらは最少5枚から、多いものでは100枚以上もつけるものもあります。あの小さなつぼみのどこにこんなに花びらを隠していたのかと思うほど、咲き進むごとにとめどなく花びらを展開する花もあります。バラの咲き方には、この花びらの枚数の違いで、大きく分けて次の3つの呼び方があります。
一重咲き(ひとえざき)
■一重咲き/バラの一番少ない花弁数は5枚。5〜9枚のものを一重咲きと呼んでいます。つまり、一見して花びらの枚数が分かるような咲き方です。花心が見える咲き方をするので、花びらと花心のコントラストが美しいのも魅力。素朴で可憐な印象です。
- ‘安曇野’(あずみの)/一季咲き、小輪、微香、樹高約2m、つる性、鉢植え・地植えとも可能。鮮やかなピンク色の5枚弁で、花心の中心が白く抜ける。トゲが少なく細くしなやかなつるを伸ばし、たくさんの花を咲かせる。
- ‘デンティ・ベス’/四季咲き、大輪、香りの強さは中程度、樹高約5m、木立ち性、鉢植え・地植えとも可能。つる性もあり。ピンク色の花弁にピンク色の花心で、ひらひらと大きな花弁が優雅な雰囲気。
- ‘バレリーナ’/四季咲き、小輪、微香、樹高約2〜3m、木立ち性、鉢植え・地植えとも可能。クリアピンクの小輪の花が株を覆い尽くすように咲く。短く切り詰めてもよく咲くので、鉢植え栽培も容易。
- ロサ・ムルティフローラ/一季咲き、小輪、強香、樹高約5m、半つる性、鉢植え・地植えとも可能。北海道から九州まで日本各地のいたるところで見られる野生種。非常に丈夫で、秋に熟す赤い実はリースづくりにも活躍する。
半八重咲き(はんやえざき)
■半八重咲き/花弁数が10〜19枚のものを半八重咲きと呼びます。花びらがヒラヒラと、優雅な雰囲気で咲きます。
- ‘ペネロペ’/返り咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約2m、つる性、鉢植え・地植えとも可能。アプリコットピンクの花弁をひらひらとつける可愛らしい花。輝くような黄金のしべも美しい。
- ‘スパニッシュ・ビューティー’/一季咲き、大輪、強香、樹高約4m、つる性、地植え向き。他のバラに先がけて5月初旬頃から花が咲く早咲き。ヒラヒラと花びらの縁が波打つ花姿と甘い香りが魅力的。
- ‘ジャクリーヌ・デュ・プレ’/返り咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1.7m、半つる性、鉢植え・地植えとも可能。白い花弁にピンク色のシベがよく目立つ。
- ‘ラウプリッター’(ローブリッター)/一季咲き、中輪、微香、樹高約1m、半つる性、鉢植え・地植えとも可能。コロンと丸いカップ形の花が可愛らしい雰囲気。枝がしなやかで誘引しやすい。
八重咲き(やえざき)
■八重咲き/花びらの枚数が20枚以上の花を八重咲きと呼びます。ただしバラは20枚以上の花びらを持つ品種がほとんどなので、実際には八重咲きという呼び方はほとんど用いられず、さらに細かく咲き方の特徴を表現する言葉が用いられています。
一重咲きと八重咲きの組み合わせ
バラを何種か植える時、花形の違いを意識して組み合わせると、お互いの魅力を引き立て合い、印象的なバラ風景を描くことができます。上の写真は一重咲きの‘安曇野’と八重咲きの‘フランソワ・ジュランビル’の組み合わせ。どちらもトゲが少なく扱いやすいつるバラです。
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バラの花形による分類
バラのネームタグや図鑑に「ロゼット咲き」「クォーター・ロゼット咲き」「カップ咲き」「抱え咲き」「高芯咲き」などの表現が登場することがあります。これらはすべて花弁数が20枚以上の八重咲きの花のことで、咲き方の特徴を細かく分類した言葉です。特に覚える必要はありませんが、一重や半八重の花ではなく、花弁数の多いバラの咲き方のことを指しているんだなぁと思えばOK。以下でこれらの花形の特徴を紹介します。
ロゼット咲き/花弁数が多く、芯が一つ
- 左)‘ホワイト・ジャック・カルティエ’/返り咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1.5m、木立ち性、鉢植え・地植えとも可能。美しいロゼット咲き。秋にもよく花が咲く。
- 右)‘モリニュー’/四季咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1m、木立ち性、鉢植え・地植えとも可能。コンパクトでベランダでも育てやすいサイズ。
クォーター・ロゼット咲き/花弁数が多く、芯が複数
- ‘ファンタン-ラトゥール’/四季咲き、大輪、強香、樹高約1.8m、つる性、鉢植え・地植えとも可能。ソフトピンクの柔らかな花色が優しい雰囲気。
カップ咲き/花弁数が多く、カップ状に丸い
- 左)‘クリスティアーナ’/返り咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1.8m、半つる性、鉢植え・地植えとも可能。柑橘系の爽やかな香り。
- 右)‘クイーン・オブ・スウェーデン’/四季咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1.3m、半つる性、鉢植え・地植えとも可能。上品なソフトピンクと整った花形が魅力的。摘み取った後も花が日もちするので、フラワーアレンジメント用に育てるのも楽しい。
シャクヤク咲き/花弁数が多く、花びらが不規則に並ぶ
- ‘イヴ・ピアジェ’/四季咲き、巨大輪、強香、樹高約1.3m、木立ち性、鉢植え・地植えとも可能。シャクヤク咲きの代表花で花径が15cmほどになる豪華な花。濃厚な香りを放ち、切り花品種としても人気。
ポンポン咲き/花弁数が多く、球状に近い
- 左)‘ラッセリアーナ’/一季咲き、中輪、強香、樹高約3m、つる性、地植え向き。紫がかった赤色で咲き進むにつれポンポン咲きになっていく。
- 中央)‘フェリシテ・エ・ペルペチュ’/一季咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約2.5m、つる性、地植え・鉢植えとも可能。赤いつぼみと白い花が入り混じる様子がとても可愛い。
- 右)‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’/一季咲き、小輪、強香、樹高約7m、つる性、地植え向き。桜のような雰囲気で、ふわふわと株いっぱいに花を咲かせる姿がとても人気。大型のアーチやガゼボ(あずまや)を覆うのに適している。
高芯咲き/芯が高くなる咲き方(モダンローズの特徴)
- ‘ソニア’/四季咲き、中輪、香りの強さは中程度、樹高約1.3m、木立ち性、地植え・鉢植えとも可能。とがった花弁のことを「剣弁」と呼び、この特徴的な咲き方のことを「剣弁高芯咲き」といいます。某デパートの包装紙に描かれているバラはこのタイプのバラで、モダンローズと呼ばれる花のカテゴリーに見られる咲き方の特徴です。
「バラを育てたい!初心者さん必見 野生種、オールドローズとモダンローズなどバラの種類をわかりやすく解説」
抱え咲き/渦を巻く芯が花弁の内側に低くなる
- 上)‘ラ・フランス’/四季咲き、大輪、強香、樹高約1.2m、木立ち性、地植え・鉢植えとも可能。濃厚な甘い香りのバラで、クラシカルな花形が人気。ハイブリッドティーローズ第一号のバラとして知られ、このバラの誕生以前に生まれた品種をオールドローズ、以降に生まれた品種をモダンローズを呼ぶなど、バラの進化に新次元を開いた歴史的な品種。
- 下)‘イントゥーリーグ’/四季咲き、大輪、強香、樹高約1.2m、木立ち性、地植え・鉢植えとも可能。素晴らしい芳香で深い赤紫色の花が印象的。
一輪咲きと房咲きの違い
ここまでご紹介してきた通り、バラの花形にはさまざまな個性がありますが、バラには「花のつき方」にも違いがあります。花のつき方は次の2通りです。
■一輪咲き/1本の枝の先に1輪、花を咲かせます。株の力が1輪の花に注がれるため、花が大きく豪華に咲きます。
■房咲き/1本の枝の先に複数の花をブーケ状に咲かせます。株を覆うように花が咲きます。
上の2枚の写真は、どちらもつるバラです。左は一輪咲きの‘ピエール・ドゥ・ロンサール’。右は房咲きの‘アンジェラ’です。一輪咲きは葉っぱが見えるように花が咲き、房咲きは花が空間を埋め尽くすように咲くのが分かりますね。一輪咲きは景色に抜け感があり、他のバラとの組み合わせも楽しめるメリットがありますし、房咲きは一品種で豪華に空間を彩ることができます。どちらの咲き方にもそれぞれの魅力があるので、ご自身のお好みや空間の雰囲気に合わせて選ぶとよいでしょう。ちなみに、‘ピエール・ドゥ・ロンサール’は太いシュートからは房咲きの花がつくようになります。このように、バラは株の状態で性質が変化することもあります。
今回紹介したのは、バラの花びらの枚数・花の形・花のつき方の違いですが、バラの大きな魅力の一つでもある「色」については以下でご紹介しているので、こちらもご参考に!
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併せて読みたい
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・「私の庭・私の暮らし」バラに囲まれた家 埼玉・柴田邸
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Credit
写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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