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観葉植物生産者がオススメする、花がなくても楽しめるラン6選

多種多様な華やかな花が魅力のラン。しかし、花がないときの株姿や根も魅力的だってご存じでしたか? 最近ではランの生産をやめてしまう生産者も多い状況。そんな中で、観葉植物の一つとしてランを出荷している杉本佑貴さんにお話を伺いました。
目次
暮らしの中で観葉植物としてランを楽しむ

福岡県みやま市で観葉植物農場、杉本神籠園を営む杉本佑貴さん。
「農家の4代目になりますが、私の曾祖父に当たる杉本培根(ますね)は、もともとは肥後花菖蒲の育種や、ハナショウブのオランダへの輸出を手がけており、ランの栽培も行っていたそうです」(杉本さん。以下同)
今では観葉植物をメインに生産、出荷している杉本さんですが、着生ランを売ってみたところ、すぐに在庫がなくなってしまうほどの売れ行きだったそうです。
インテリアとしての植物の可能性

杉本神籠園の主力となっている植物は、アスプレニウムの‘エメラルドウェーブ’。佑貴さんの祖父・春男さんが見つけたタニワタリ(アスプレニウム・ニダス Asplenium nidus)の変種をもとに、父・健康(たけやす)さんが作り上げた品種です。
海外にも出荷している‘エメラルドウェーブ’を主力としながら、ファッションやインテリアのみならず、時代の雰囲気を肌で感じ取って、リプサリスやサラセニアなどのヒット商品を生み出してきた杉本さん。
「部屋の中で楽しむ植物も、そのときどきで売れるものが変わってきます。最近はインテリアの中での楽しみ方を提案するために、家具メーカーと共同で、売り場で家具が並んでいるところに植物を置き、お客さまに見ていただくような試みも行っています」
根や葉こそ面白い! 着生ランでランの魅力再発見!

そんな杉本さんがランに注目したのは、ビカクシダやチランジアなどの着生植物の人気。
「いずれも100円から数百円で買えるくらいの手軽なものもありますが、数千円から1万円以上するものまで流通していて、高価であってもそれなりに人気があります。比較的湿度が高い環境を好むビカクシダやチランジアの手入れに慣れた人もそれなりにいるし、着生植物をカッコいいと思う人もそれなりにいるので、今ならランが売れるんじゃないかな、と思ったんです」
そんな発想から、数年前にデンファレの苔玉仕立てを売ってみたものの、これはあまり売れなかったそう。
「デンファレという種類自体が消費者の心に響かなかったのか、苔玉仕立てという仕立て方がよくなかったのか…。あるいは着生ランを打ち出していくには、まだ時期が早かったのかな? という気もしています」
そんなことがあったものの、次にコルクづけにしたものを売ってみたところ、今度は狙いが的中。
「ランは育てるのが難しいというイメージを持っている人が少なくないかもしれませんが、水切れに強いものも多く、維持するだけならそれほど難しくはないんです。
着生ランは、土がない木の幹などに張りついて育つ植物。高温多湿であったり、雨が多い地域に自生しているものが多いのですが、根の周りに土や水分が無くても耐えられるものが少なくありません。
水が少ない環境でどうしているかというと、太い根や、分厚かったり多肉質だったりする葉に水を蓄えているんですが、これがまた独特の形になっていて、それぞれに個性的。花が無くても特徴的な姿を楽しむことができます。もちろん、種類に合った育て方をすれば、花も楽しめますよ」
杉本さんオススメの株姿が面白いラン
1.セイデンファデニア・ミトラタ

タイやミャンマーなどの東南アジア熱帯地方原産。
「流通しているランの多くは鉢植えになっているので、当然ながら上に向かって伸びていきます。しかし、このセイデンファデニアは着生しているところから、多肉質の葉を下に垂らす姿が特徴的です。葉は菜箸くらいの太さで、よく育つと長さ50cmほどにもなります。根も太くて迫力がありますよ。
熱帯地方原産なので、寒さは苦手。冬は暖かい部屋に入れておくといいですよ」

2.キロスキスタ・ルニフェラ Chiloschista lunifera

インドネシア、インドなどの熱帯地方原産。通常は葉が無く、根で光合成します。
「根だけで板に着生していますが、水をやると根がきれいな緑色に変わります。こんな奇妙な姿の植物はちょっとほかに思いつきませんよね。葉に水を貯めることができないので、しょっちゅう水やりをしたい人向きです。空中の湿度も好きなので、周りにほかの植物があるような場所に吊して、ほかの植物ごと霧吹きなどすると傷みにくいと思います」
3.バルボフィラム・ラシオキラム Bulbophyllum lasiochilum

インド、タイ、ミャンマーなどの熱帯地方原産。
「大きな葉がついたバルブ※がたくさんつくと、こんもり茂ったようになって見応えがあります。バルボフィラムは、個性的な花が咲く種類が多いのも特徴です」
4.トリアス・オブロンガ Trias oblonga

インド南部、タイ、ミャンマーなどの熱帯アジア原産。
「バルボフィラムと似た丸いバルブから葉が出ているタイプ。小さな粒状の株が集まっている姿は、コノフィツムなどの多肉植物のような雰囲気がありますね」
5.オンシジウム Oncidium jonesianum × onc.ascendens

「サンセベリアのスタッキーやバキュラリスを思わせる、先が尖った細長い肉厚の葉が特徴。まさに、壁掛けにできる観葉植物です」
6.ショエルノキス・フラグランス Schoenorchis fragrans

ヒマラヤからミャンマー、タイ原産。
「手のひらに乗せられるくらいの小ささですが、左右に対になって葉が広がり、ファレノプシス(コチョウラン)のような株姿をしています。小さいながらに端正な姿を愛でてください」
杉本神籠園(すぎもとしんりゅうえん)
http://sugimoto-shinryuen.com/
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Credit
写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
フリーライター。
インドアグリーンの最新事情に強い、園芸・ガーデニング関連のラ
https://twitter.com/tutti0514
https://www.instagram.com/sato
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