多様な樹木が育つ森では、野鳥の美しいさえずりと草花が可憐な姿で出迎えてくれます。自然の中に身をおくことで普段の喧騒からは離れてホッと心和む穏やかな時間を感じることができます。庭はそんな自然を感じる空間の中で一番身近な存在です。さて、庭にどんな木を植えましょうか。 今回は、日本で昔から親しまれきた樹木と共に、古来から伝わってきたその樹木の意味をご紹介します。
庭をつくるなら、どんな木を植えたいですか?
見直したい日本の樹木たち
古来より日本人は衣食住にかかわる文化を植物と共に生きてきた、といっても過言ではないでしょう。植物と私たちの暮らしの関わりは大変深く、大きく成長した樹木は特にご神木と呼ばれ、神や精霊の化身(依より代しろ)として代々守られてきました。
これからも大切にしていきたい、先人が築き上げた日本の文化や伝統です。
それぞれの樹木には、花言葉のような意味があります。
たとえば、日本の樹木で最も美しい木といわれるカツラは、日本の固有種で山の湧水が出ているところなどに生えています。
清らかな水から生まれた精霊が、その源泉の側に生えるカツラの木に宿るという伝説があります。このことからカツラは「高貴」という意味を持ちます。落葉した枯葉には甘い芳香があり、お香の原料にもなっています。
また5月5日の端午の節句に登場する柏餅の葉は、「達成」の意味をもつカシワの葉を使います。これは子どもたちの成長が成就達成するようにと祈願する想いをこめたあらわれといえるでしょう。
さらに、日本庭園の路地庭などでは、植物選択においてルールのようなものがありました。常緑の植物のみで植栽を構成する「常盤思想」という考え方です。常盤(ときわ)つまり「永遠」「不滅」といった意味を持つ樹木を使い、この言葉の理念を形にしたのです。またシンボル的な意味のある樹木以外にも有用植物を積極的に庭に取り入れてきました。
例えば、クマザサ、ハラン、ヒノキ、ナンテンなどは殺菌効果があるため防腐剤として。クロモジは香りが楽しめるので菓子楊枝の材料になります。またクスノキから抽出した樟脳は衣服類の虫除けに、同様にアスナロ、キリなども有用性が高い樹木です。
地域に自生している樹木を大切にし、暮らしの中で植物を上手に活用する工夫をしていきたいものです。
たとえば、こんな木 樹木のもつ意味
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