アサガオが突然変異して、奇抜な変化をとげた変化朝顔。江戸時代に栽培ブームとなり、今も変化朝顔を愛好する人たちによって、種の保存や失われた種の再現などの研究が続けられています。ここでは、2017年に行われた「未来につなぐ江戸の朝顔文化〜歴史と鑑賞〜」のセミナーで配布された変化朝顔のタネを播き、タネ採りまでをレポートします。
目次
セミナーや展示会で変化朝顔への興味を深める


江戸時代から200年を経て、愛好家により現代まで伝えられてきた古典園芸の一つ、変化朝顔。子ども時代、夏休みに育てた記憶のある丸く整った大輪の花を咲かせるアサガオとは違い、花に切れ込みが入ったり、つるが長く伸びなかったり、細葉だったりと、思いがけない多くの変化が見られるアサガオのグループです。

この朝顔の魅力を伝え、ファンを増やしているセミナー「未来につなぐ江戸の朝顔文化〜歴史と鑑賞〜」(主催:園芸文化協会 2017年7月開催)で講演を行った、九州大学大学院 准教授で『変化朝顔図鑑』(化学同人刊)の著者、仁田坂英二さんと、広島市植物公園主任技師の井上尚子さんが配布したタネを7月上旬に播いた様子をレポートでお伝えします。
タネ播きから発芽まで

朝顔のタネ播きの適期は、5月中旬から6月初旬ですが、セミナーが行われた直後の7月上旬でもまだ間に合うというアドバイスを受け、2017年7月10日にタネ播きを開始。変化朝顔の中でも、タネが採れる初心者向きの「正木(まさき)タイプ」の青斑入蝉葉枝垂青紫丸咲大輪(広島あさがお研究会が2016年に採取)です。

説明書きにある通りに、へそのサイドをヤスリで削ってタネ播きの準備をします。小さくてタネが飛びそうになるので慎重に行いました。

ビニールポットに用土を入れ、ヤスリをかけた部分が上になるようにして1.5㎝の深さに埋めたら、霧吹きでたっぷり水をやって発芽を待ちます。説明書きによると4日ほどで発芽とありますが、このタネたちは何日で発芽するのでしょうか。

なんとタネ播き後、3日で発芽! 中央付近のポットの発芽は遅れているのでしょうか……。

最初の発芽から、さらに10日後。本葉が展開し始めたものや、これから双葉が開きそうなものなど、成長スピードはまちまちですが、半数以上のタネが発芽したのでひと安心。
植え付けから開花

植え替えを行ったのは、7月23日。さて、開花は間に合うのでしょうか。葉が小ぶりの苗は、直径10㎝の鉢に、葉が大きめの苗は、直径15〜20㎝の鉢に植え付けました。

タネを播いて1カ月以上経過した8月20日の様子。つるの伸びが速いものは行灯仕立てにして、つるをぐるぐる巻いていきました(写真の行灯は100円ショップで購入)。まだつぼみが出ず、心配になってきました。

それから3日後、つぼみを確認! さて、何色が咲くのでしょうか?

次々と開花。紫が濃いものから、花びらに切れ込みがあるもの、白く縁取られたものも咲き、朝起きるのが楽しみに。

9月17日には、すべての鉢に花が咲きました。そろそろ開花も終わりそうです。大輪のアサガオに比べて、つるの伸びがゆるやかで、花も比較的小さめ。あまりスペースがないベランダガーデンに、変化朝顔栽培はちょうどいいようです。
花と葉の形を観察するため押し花に

鉢の中で咲いている状態では、それぞれの特徴が分かりにくいため、切り取って並べてみました。正面からはでは分かりにくかった花筒の長さや、ピンク色の濃淡の違い、葉の形の違いが比較でき、変化朝顔の素朴な表情に魅せられました。

採取したままでは惜しいので、押し花に。

押し花にして1日後。花びらは薄く透明になり、繊細な表情に。写真でも形態の記録は残せますが、実物大の葉や形を残すには押し花が一番ですね。

開花後、タネが膨らんできたので、熟すまで水を切らさず、10月29日につるごと採取。並べてみると、つるの色も薄緑からオレンジ、赤とバリエーションがあることを発見。数日新聞紙の上に乗せて乾燥させたら、種類ごとにタネを小袋に入れ、冷蔵庫で翌年まで保管することにしました。変化朝顔のタネを採取して次の年に播いたら、どんな花と出合えるのか、楽しみです。
Credit
写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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