お盆が近づく7月には、花屋やスーパーなどでも朱色になったホオズキが出回ります。でも、なぜ真夏にホオズキが日本全国に流通するのか、知っていますか? 地植えで自然に任せて育てた場合、色づくのは8〜9月。ちょっと早くホオズキが出回る理由と、日本でのホオズキの使われ方をご紹介します。

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花から実へ、ホオズキが熟すまで

Photo/Harry Huber/Shutterstock.com

ホオズキは、 ナス科ホオズキ属の多年草で、漢字で鬼灯、酸漿とも書き、英名では、Winter Cherry, Chinese lantern plantとも呼ばれています。提灯が吊り下がったような個性的な姿が愛らしく、日本でも古くから親しまれてきました。原産地は東南アジアで、耐寒性や耐暑性も強く、初心者にも育てやすい植物の一つです。

ホオズキを庭で育てた場合、3月ごろ地下茎から伸びた芽がまっすぐ茎を伸ばし、5月以降、茎の各節に薄いクリーム色の小さな花を咲かせます。

花が終わると、やがて果実を包み込むように周囲のガクが大きく育ち、袋状になって膨らんでいきます。写真左から右へ、つぼみ、開花、ガクの成長、袋状になる成長過程を経て、次第に色づき、私たちが愛でるホオズキになります。

秋のヨーロッパで色づいたホオズキ(Physalis alkekengi)。 ホオズキは欧米でも栽培されています。 Photo/sasimoto /Shutterstock.com

鉢植えや切り花として入手できる「丹波大実ホオズキ」をタネから育てる場合は、発芽まで20℃以上の温度と20日以上の日数がかかります。関東以西では、涼しくなる9〜10月にタネを播いて年内に根を十分張るように育てると、翌年の7月から開花が始まり、順に袋が膨らんで夏から秋に朱色のホオズキを楽しむことができます。なお、ホオズキはナス科のため、ピーマンやトマト、ペチュニアなどナス科の植物を育てた場所では、連作障害でうまく育ちません。もし同じ場所で育てる場合は、連作障害を回避する土壌改良材を活用するとよいでしょう。

「ほおずき市」のはじまり

2018年7月9・10日に開催された浅草のほおずき市。江戸時代からずっと続く夏の風物詩。

露店が並び、数多くのホオズキが販売される「ほおずき市」。その起源は、「四万六千日(4万6千日分のご利益があるとされる参拝日)」にあたる7月9・10日に縁日を設けた東京・台東区浅草の浅草寺にならって、他の神社でも縁日が行われるようになった明和年間(1764〜1772)に遡ります。ホオズキは、古くから煎じて飲まれている生薬で、子どものかんの虫などに効くという民間信仰から、東京・港区芝の愛宕神社の縁日に合わせて「ほおずき市」が立つと、ホオズキを求める人で賑わったのです。続けて、四万六千日の縁日の大元である浅草寺でも「ほおずき市」が開催されるようになり、現在も夏の恒例行事として多くの人で賑わいます。また、この縁日の時期は、ちょうどお盆が近いこともあり、ホオズキは盆棚飾りにも用いられるようになりました。

浅草「ほおずき市」に並ぶ実つきの鉢仕立てと枝もの

「ほおずき市」に並ぶ鉢仕立ては、毎年7月9・10日の開催日に合わせて温室で少し早く栽培されたもの。一鉢で開花から朱色に実が色づくまでを身近に楽しむことができます。風鈴もセットで一鉢2,500円前後。

鉢植えと並んで、大きく立派な袋が茎に多数ついた枝ものも屋台に並びます。これらも「ほおずき市」の開催日に合わせて、早く色づくように成熟を促成させたもので、浅草で販売された枝ものホオズキの主な産地は大分県。袋を鮮やかな朱色にするため、バナナやレモン、かんきつ類の発色を促す際に使われるのと同様の「エスレル」という植物成長調整剤を噴霧して、色づきを早めています。

茎が1m以上と長い枝もののホオズキは、横にして飾ると、提灯がずらりと並ぶ様子が可愛らしく、そのままドライフラワーとして楽しめます。一本1,500円前後。実だけを3〜4個カゴに入れたものは、近年のニーズに合わせて登場した手頃なホオズキパックで、一つ500円前後。茎やカゴ入りのホオズキは、霊を導く提灯に見立てて、お盆のお供えに用いられています。

ホオズキには観賞用と食用があります

実が黄色い食用ホオズキ。Photo/deata/Shutterstock.com

これまでご紹介した「ほおずき市」などで売られている「千成りホオズキ」や「丹波大実ホオズキ」などの朱色のホオズキは、平安時代より鎮静剤として、または咳や痰、解熱、冷えなどに効果があるとして煎じて飲まれていましたが、現代では主に観賞用として利用されています。

同じホオズキの中でも「オオブドウホオズキ」や「食用ホオズキ」は、実が黄色く、生食するとミニトマトを思わせる食感で、フルーティーで独特の香りが特徴です。

海外では、食用ホオズキの形を生かして、そのままタルトやケーキなどのトッピングに使われています。Photo/tvish/Shutterstock.com

ヨーロッパでは、ホオズキは生食したいスーパーフードとして認知されています。「インカベリー」や「ピチュベリー」、「ストロベリートマト」、「オレンジチェリー」などとも呼ばれ、栄養価も高く、健康と美容に効果がある食べ物として、近年では日本でも注目されています。ビタミンA、C、B群、カロテン、鉄分を豊富に含み、脂肪とコレステロールの流れをスムーズにするイノシトールの作用で、脂肪肝や動脈硬化などの予防効果があるとされ、豊富な食物繊維は腸内環境の改善に、さらには、メラニン生成を抑制することによる美白効果、シワやたるみの改善効果など、多くの健康・美容効果が期待される果実です。

*食用ホオズキにも、観賞用のホオズキの根にあるアルカロイドが少量含まれているため、妊娠中の方の摂取は医師への相談などが必要です。

Photo/hanabiyori/Shutterstock.com

食用ホオズキはドライフルーツとしても販売されていますが、ガーデナーなら、ぜひ生食ホオズキを苗やタネから育ててみましょう。

Photo/Chatsushutter/Shutterstock.com

品種としては、‘キャンディランタン’や‘オレンジチェリー’、‘アンデスゴールド’などがあります。まだ一般的ではないため、タネや苗は通信販売で探すとよいでしょう。タネの播きどきは、温暖な地域では9〜10月、または3月。寒い地域では4〜5月。苗は4〜5月が発送時期です。観賞用のホオズキの育て方と同じなので、ナス科の植物を栽培した場所では連作障害に注意してください。

まだ育てている人が少ないレア植物の栽培、チャレンジしてみませんか?

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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