宿根草(しゅっこんそう)という植物のグループをご存知ですか? ガーデニングを始めたばかりの人には、初めて知るワードかもしれない宿根草。実は手間がかからなくて、とっても簡単に育つ宿根草もたくさんあります。「ガーデニングの初心者にこそ、宿根草をオススメしたい!」という「おぎはら植物園」店長の荻原範雄さんに、バラの季節から寄り添い咲くオススメのクレマチスをピックアップしていただきます。

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引き立て合う花の組み合わせを楽しもう!
バラと競演させるクレマチス

クレマチス‘プリンス・チャールズ’とつるバラ‘バレリーナ’のコラボ。

バラが咲き揃い、庭が一年で最も輝く季節になりました。バラは庭を立体的に、より華やかに演出できる、庭の主役ともいえる植物ですが、同じく空間を立体的に飾るつる植物のクレマチスを組み合わせれば、さらにワンランク上の美しいローズガーデンを楽しむことができます。

クレマチスにはバラにはない色も多くあり、組み合わせでコントラストを楽しんだり、周囲を飾って、よりバラの美しさを際立たせたりと、さまざまな使い方ができます。クレマチスはバラに比べて、茎やつるが細身なので、バラの生育をほとんど阻害せず、共生させることができるのも魅力です。

もう迷わない! 開花期が合うクレマチス選び

クレマチス‘マダム・ジュリア・コレボン’と、つるバラ‘ラウプリッター’。

バラとクレマチスは、とても人気の組み合わせですが、咲く時期が揃うよう、また、花色の組み合わせも考えながら配置しなければなりません。一口にクレマチスといっても、あまりに多くの種類があり、迷われている方も多いのでは?

そこで、バラとの組み合わせにオススメのクレマチスを系統別にご紹介します。

花の時期がバラと揃う
「遅咲き大輪系」

クレマチスは大きく分けると早咲き種、遅咲き種に分かれます。

早咲きのクレマチスは、バラが咲き始める頃に開花が終わっているものが多く、同時に咲かせるのは、なかなか難しいのものです。そこで、選びたいのが遅咲きのクレマチス。もちろん年によって開花する時期がずれることがあるので、必ず同時に咲く訳ではありませんが、ほとんどの年にバラと揃って咲き、競演を楽しむことができる9種をご紹介します。

‘ロマンチカ’

‘ビオラ’

‘エミリア・プラター’

‘ニオベ’

‘ピーコ’

‘エトワール・バイオレット’

‘フルディーン’

‘ボストーク’

‘プリンス・チャールズ’

「遅咲き大輪種」の特徴と育て方

遅咲き大輪種は、春から伸びるつるに花が咲く「新枝咲き」なので、花が終わってくる夏に切り戻すほか、落葉する冬はつるを深い位置で切る「強剪定」を行います。地面からおおよそ2~3節ほど残して、バッサリと切り戻し、切ったつるを取り除きます。

四季咲き性なので、夏に切り戻すと、再び枝葉を伸ばして秋も姿よく開花します。また、冬の強剪定により、枯れたつるをきれいさっぱり取り除くことができる扱いやすさもオススメの理由です。

遅咲き種は、ビチセラ、ジャックマニーなどの新枝咲きタイプを親に持ちます。花が大きめで遅く咲く種類の総称として「遅咲き大輪系」とされますが、2系統以上の交配種であっても育て方や性質が近いと「ビチセラ系」「ジャックマニー系」に分類されることもあります。

丈夫さと花期の長さが魅力!
「インテグリフォリア系」

この系統で最も有名なのは‘ヘンダーソニー’などつるにならず、草花のように茎が立つ、クレマチスの中でも特殊な姿の種類ですが、ここでご紹介するものは「半つる種」(この系統は半つる種が多い)です。半つるとは、つるのように伸びても自ら絡まない性質のこと。フェンスなどに絡ませる場合には、誘引の手伝いが必要です。つるがあまり伸びないので、低い位置で咲かせたり、高い位置から枝垂れさせたり、地面に這わせたりすることもできます。

この系統は四季咲き性が強く何度も開花し、暑さにとても強いので猛暑地でも元気に育つなどの優れた特徴があり、初心者にもオススメの系統です。

‘篭口(ロウグチ)’

‘ユーリ’

デュランディ

‘アリョヌシッカ’

‘ニュー・ヘンダーソニー’(‘プチ・フォーコン’)

「インテグリフォリア系」の特徴と育て方

インテグリフォリア系は、春から伸びるつるに花が咲く「新枝咲き」なので、花が終わってくる夏に切り戻すほか、落葉する冬はつるを深い位置で切る「強剪定」を行います。地面からおおよそ2~3節ほど残して、バッサリと切り戻し、切ったつるを取り除きます。

花後に切り戻すことで、繰り返し咲き、冬の強剪定で枯れたつるをリセットすることができ、扱いやすいです。

他の系統との交配種であっても、管理方法や特徴が同じであれば「インテグリフォリア系」に区分けされます。

細身のつると可憐な小花がバラにぴったり!
「ビチセラ系」

細いつるで、小さな花をたくさん咲かせるこの系統は、豪快なバラのイメージを和らげてくれます。細かい葉が茂るブッシュ状の姿は、バラのクッションのような優しいイメージです。プロのガーデナーさんや熟練のクレマチスファンの方が特に好む組み合わせで、色だけでなく姿の対比も楽しめる、ワンランク上のクレマチスです。

‘ベティー・コーニング’

‘ロゼア’

‘パープレア・プレナ・エレガンス’

‘踊場(オドリバ)’

‘マダム・ジュリア・コレボン’

「ビチセラ系」の特徴と育て方

ビチセラ系は、春から伸びるつるに花が咲く「新枝咲き」なので、花が終わってくる夏に切り戻すほか、落葉する冬はつるを深い位置で切る「強剪定」を行います。地面からおおよそ2~3節ほど残して、バッサリと切り戻し、切ったつるを取り除きます。

四季咲きなので夏の切り戻しにより、秋も姿よく開花しますし、冬の強剪定により、枯れたつるをきれいさっぱり取り除くことができる、扱いやすさもオススメの理由です。

美しい花形が印象的な
「フロリダ系」

日本で古くから親しまれている「テッセン」の系統です。テッセンは「鉄線」と書きますが、まさに針金のように細い茎ながら、花は大きめで、凛とした花形が印象的です。和の趣もありながら、バラにもよく似合う、とても人気の系統です。春から伸びるつるの先に開花し、続いて各節の脇からも次々に開花するので、花が一面に咲くうえ、長期間楽しめます。

テッセン(フロリダ‘バイカラー’)

‘白万重(シロマンエ)’

‘フォンド・メモリーズ’

ビエネッタ

「フロリダ系」の特徴と育て方

フロリダ系は「新枝咲き」ですが、旧枝から新枝を伸ばして咲く、他のクレマチスとは少し違った特徴があります。そのため、花後は旧枝をあまり切らず、咲き終わった花茎か、その下の節を軽く切る程度にすると繰り返し咲きます。

冬の剪定は、枝をすべて残すと、翌花期に多く咲き過ぎて株が劣化しやすいため、細い旧枝など、株全体の長さの3分の2を残すイメージで切り揃えると、株の勢いを損ないません。少し寒さを嫌うので、寒冷地ではマルチングなどの防寒を行うとよいでしょう。暖地では冬も葉が残り、花を咲かせる場合もあります。

クレマチス‘ビオラ’とつるバラ‘アップルシード’。

これまでクレマチスとバラのコラボに憧れていたけれど、どんな品種を選べばいいのか悩んでいた方は、ぜひこのセレクションを参考に、栽培をスタートしてみてください。今育てているバラとの競演を実現させて、来年の庭を素敵にグレードアップさせましょう!

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Credit

品種写真&文/「おぎはら植物園」荻原範雄
長野県上田市にある宿根草と山野草を扱う植物専門店「おぎはら植物園」の店長。1979年から植物の栽培と販売をスタートさせた「おぎはら植物園」では、現在、取り扱う宿根草と山野草は4千種を超える。全国に苗生産者のネットワークを持ち、海外からの新品種の導入なども積極的に行う。近著に『四季の宿根草図鑑 決定版』(講談社)。
「おぎはら植物園」https://www.rakuten.co.jp/ogis/

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