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耐寒性もある春の花「ハナカンザシ」

耐寒性もある春の花「ハナカンザシ」

30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は25年になるという遠藤さんに、庭で育てがいのあるオージープランツを解説していただきます。

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春の花として定着した「ハナカンザシ」

近年、オーストラリア原産のハナカンザシ=Rhodanthe anthemoidesが、日本でも春の花として園芸店の店頭に並び、人気が定着しつつあるようだ。ハナカンザシは株の高さが15~30㎝とコンパクト。花は多花性で、寄せ植えなどにも使いやすく重宝する。そして何より、流通の和名が「花かんざし」と日本人に受け入れやすいネーミングで、親しまれるようになったのだろう。

これまでに、日本に紹介されたオーストラリア原産の草花の多くは、西オーストラリアに分布するが、このハナカンザシは、東オーストラリアからタスマニアに分布する。これは何を意味するのかというと、東オーストラリアの気候の方が、日本の温暖湿潤気候に近く、日本では、乾燥地帯に育つ西オーストラリア原産の植物よりも、東オーストラリア原産の植物のほうが育てやすいということだ。それゆえに、ハナカンザシが日本でも普及し定着しているのだ。

乾燥を好む西オーストラリア原産の初恋草。Photo/ alybaba /shutterstock.com

僕の長年のオーストラリアの植物の栽培経験でも、東南部のメルボルン近辺やタスマニア地域原産の植物は、神奈川・横浜近辺でも育つが、乾燥を好む初恋草=Lechenaultiaなどの西オーストラリア原産の植物はかなり難しいという感覚を持っている。

「初恋草」の記事はこちら→『オージーガーデニングのすすめ ブーム復活を願うブルーの花「初恋草」

日本でも育てやすい耐寒性も魅力

タスマニアは、「アップルアイランド」と呼ばれるリンゴの産地でもあり、オーストラリアの中では冷涼な気候だ。それゆえ、ハナカンザシも意外と寒さや雪にも強く、日本でも育てやすい優等生なのだ。雪の日に、あえてハナカンザシの鉢を外に置いて耐寒性を調べてみた。こんな雪にもメゲズ、生き残って花を咲かせたのだ。ハナカンザシの耐寒は、約マイナス5℃といわれている。

その反面、やや高温多湿には弱いが、多年草なので無事に夏越しができれば大株にも育つ。花後の梅雨前に3分の1程度に刈込み、風通しをよくし、硫酸カリを与えて根や茎を充実させると夏越しがしやすくなる。

まん丸のつぼみの頃も可愛い。

ところで、このハナカンザシの花弁は触ってみるとカサカサとし、まるでドライフラワーのようだ。オーストラリアの花には、このように咲いた時からカサカサとした花弁の花が多い。

エバーラスティングフラワー

テイオウカイザイクのドライフラワー。Photo/ tratong /shutterstock.com

日本でも古くは、明治時代に渡来したテイオウカイザイク(帝王貝細工/別名ムギワラギク/学名:Helichrysum bracteatum)が有名だが、このような花がオーストラリアにはたくさんあり、一昔前に日本でドライフィラワーが流行った時代に、オーストラリアの花き栽培農家は、盛んに栽培して日本に輸出したらしい。

このように花が散らずにいつまでもドライフラワーのように咲き続ける花は「エバーラスティングフラワー」と呼ばれ、オーストラリアのワイルドフラワーの特徴でもあり、花のカーペットのような景観をつくり出す。その景観は西オーストラリアのワイルドフラワーツアーの一つの魅力ともなっている。

西オーストラリアのワイルドフラワー。
エバーラスティングデイジーは、ムギワラギクの英名の一つ。
エバーラスティングフラワーのカーペット。
オーストラリア「キングスパーク植物園」のエバーラスティングフラワー。Photo/ Darkydoors/shutterstock.com

ハナカンザシを寄せ植えにプラス

寄せ植えに使用するハナカンザシのポット苗。

このハナカンザシ、なんといっても寄せ植え素材に使いやすい。価格も手頃だし、白い花なので他の花とも合わせやすい。僕は年に数回、初心者向けの「寄せ植え講習会」の講師をしているが、春の講習会ではよく使用している。ハナカンザシで、春の寄せ植えをつくってみませんか?

寄せ植えには、同時期に手に入るエレモフィラ・ニベアもオススメ。『オージーガーデニングのすすめ 白銀の葉と淡いパープルの花に魅了「エレモフィラ・ニベア」

楽しい寄せ植えづくり。

ハナカンザシを使った寄せ植えが完成。

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