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- ポインセチアの育て方 クリスマスシーズンが終わっても枯らさない栽培法
クリスマスを彩る鉢花として有名なポインセチア。本来は毎年楽しめる低木ですが、クリスマス後に枯らしてしまい、一年草のように扱われていることが多いようです。ですが、育てるのも難しくはなく、自分で育てた株のほうが立派な姿になり、長く楽しめるのをご存じでしょうか。この記事では、ポインセチアの詳しい特徴や性質の他、来年も観賞するための育て方をプロが解説します。
目次
ポインセチアの基本情報
植物名:ポインセチア
学名:Euphorbia pulcherrima
英名:Poinsettia、Christmas Flower
和名:ショウジョウボク(猩々木)
科名:トウダイグサ科
属名:ユーフォルビア属
原産:メキシコ、グアテマラ
形態:常緑性低木
ポインセチアは、クリスマスを演出する鉢花としても有名で、世界中で広く親しまれています。購入したばかりの鉢植えは茎が柔らかく草花のように見えますが、本来は樹高3~4mまで成長する低木です。
花のように見えるのは葉に由来する苞で、本来の花は花弁がなく、小さく目立ちません。
苞の色は最も一般的な赤色の他、品種改良によりピンクや白、クリーム色、黄色、オレンジなどが作られています。また複色や八重咲きのように見える品種があり、バリエーションが豊富です。
ポインセチアの特徴・性質
園芸分類:鉢花、観葉植物
樹高:10~60cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
改良された園芸品種に比較すると、原種は葉が細長いです。また、葉は柔らかく濃い緑色で、葉脈がやや目立ちます。
伸びたばかりの柔らかい枝は寒さに弱いですが、木質化すると丈夫になり、耐寒性も強くなります。また株が大きくなると、地下部や太く木質化した枝はマイナス4℃まで耐えます。宮崎県ではかつて地植えのポインセチアが多く見られる観光スポットがありました。
個性的な開花習性があるポインセチア
短日性で、昼の長さが12時間以下になる日が40~50日間続くと花芽を付けます。自然状態では10月下旬頃から花芽分化がはじまり、12月のクリスマスの頃に苞が美しく色づきます。ただし、夜間も明るい場所に置いていると花芽が分化しないので注意してください。
また短日処理により栽培された開花株は、10月頃から園芸店などに並び始めます。
ポインセチアの主な品種
ウインターローズ
苞がカールして八重咲きのバラのように見える、ユニークで美しい品種のシリーズです。赤色のほか、ピンクや白、ピンクと白の2色咲きなどもあります。
プリンセチア
メキシコ南西部原産のコルナストラ(Euphorbia cornastra)との種間交配によって作られた品種のシリーズです。暑さ寒さにより強く丈夫で、育てやすいです。葉はやや細く、枝はしなやかで折れにくいです。豪華な八重咲きや斑入りなど、品種がバリエーション豊富なのも魅力的です。
‘アイスパンチ’
赤い苞に抜けるように白色が入る複色の人気品種です。暑さにやや弱く、夏の剪定は控えてください。
ポインセチアの栽培12カ月カレンダー
入手時期:10~12月
植え替え適期:5~6月
肥料:5~10月
挿し木:5~6月
ポインセチアの栽培環境
適した環境・置き場所
日当たりのよい場所を好みます。日照不足になると草姿が乱れ、花付きも悪くなります。春から秋は、屋外の日向で育てるのが理想です。
株が小さい時は、夏の強い直射日光は避けたほうがよいでしょう。午前中だけ日光が当たる場所か、遮光ネットなどを利用して30~50%くらいの遮光下に置きます。
生育適温
18~21℃がポインセチアにとって最も快適な温度です。夏は用土が乾燥した状態なら暑さに耐えますが、過湿にすると根腐れします。ただし株が小さなうちは乾燥にも強くないので注意してください。
冬越し
購入したばかりの鉢植えは特に寒さに弱いので、10℃以上を保つようにしてください。茎が木質化した株は、5℃以上を保てば越冬します。また大きく育った株は0℃付近の低温で地上部が枯れても、来春に株元付近から新芽が出てきます。
ポインセチアの入手
株を選ぶポイント
- 下葉が枯れているものや株元がグラグラする株は避ける
- 葉にシミがあったり、縁が枯れている株は避ける
- 苞が黒ずんでいる株は観賞期間の終わりが近づいている
- 葉は硬くて張りがある
- 葉が多く、葉の大きさが揃っている
購入後の管理
日当たりのよい室内に置いてください。日陰に置くと株が弱って観賞期間が短くなります。また暖房器具の近くや風が当たる場所は避けてください。
購入したばかりの苞が色づいている株は乾燥に弱いです。鉢土の表面が乾いたら水やりしますが、完全に乾くと傷みます。適切なタイミングで水やりするために、観賞期間中は特にこまめに土の状態をチェックしてください。
株が傷んで葉が落葉した場合、茎がしっかりしていれば復活する可能性は高いです。室内の暖房の入る部屋に置き、乾かし気味に管理してください。
ポインセチアの育て方・日常の手入れ
水やり
5~10月は、鉢土の表面が乾いたら水やりしてください。乾燥には比較的強いですが、過湿には弱いです。常に用土を湿らせていると根腐れするので注意してください。
花後の2~3月は生育が止まるので、特に水を控えて管理します。
肥料
5~10月に、3要素が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。
病害虫
冬などに多湿にすると、灰色カビ病が発生しやすいです。水やりする際は、株に水をかけないようにしてください。
風通しの悪い室内では、オンシツコナジラミが発生することがあります。発生すると薬剤が効きにくく、防除が厄介です。あらかじめベストガードやアドマイヤーなどの粒剤を定期的に鉢土にまいて、予防に努めるとよいでしょう。また屋外の風通しのよい場所で育てるのがお勧めです。
ポインセチアの植え付けと手入れ
植替えと切り戻し
1~2年に1回、5~6月に植え替えと切り戻しを行ってください。
1~2回り大きな鉢に植え替える場合は、古い土を軽く落としてから新しい鉢に植え替えます。同時に間延びした枝を1/3程度残して切り戻すとよいでしょう。
大きくしたくない場合は、全体の枝を半分程度まで切り戻してください。古い土も半分から1/3程度落とし、同じサイズの鉢に植え替えます。
用土
清潔で水はけのよい用土が適します。市販の観葉植物用の培養土を利用してもよいでしょう。または赤玉土5、ピートモス3、パーライト2などを配合した用土を使います。
剪定
枝数が少ない場合は、7~8月まで枝先を切ってこんもりと茂るように仕立てます。大きくしたくない場合は、春に全体を半分程度までバッサリ切ってください。状態によっては葉が無い場合もありますが、大丈夫です。
また支柱を立てて枝を伸ばし、スタンダード仕立てにするのもおすすめです。主となる枝の途中から出る枝は切り、先端部分だけ茂らせるように仕立てます。また、株元と先端部分だけ茂らせる仕立て方もおすすめです。
ポインセチアの増やし方
5~6月に挿し木で増やすことができます。枝を10~12cmほど切り、上の葉を2~3枚残して残りの葉を落とします。切り口から白い乳液がでるので、固まらないようによく水洗いしてから挿します。
パーライトとバーミキュライトを等分ずつ配合した用土や赤玉土小粒などの清潔な用土に挿し、風の当たらない明るい日陰に置きます。
水やりは挿し木後、1週間くらいは乾かさないようにしますが、その後は表土が乾いてから水やりしてください。水分が多すぎると挿し穂が腐りやすくなります。
1カ月くらいで発根するので、3号程度の鉢に1株ずつ鉢上げしてください。
ポインセチアの栽培ポイント
- 購入した鉢植えは10℃以上を保つ
- 花後は乾燥気味に
- 日向で育てる
- 夏は小~中株は遮光するとよい
ポインセチアは、家庭でも十分育てられる低木です。大株に育つと見応え抜群で自慢の一株になります。茎が木質化すると丈夫になり、観賞できる期間が長くなります。ポインセチアはクリスマスだけの植物ではありません。冬の間ずっと楽しめるので、購入した株はぜひ枯らさずに大きく育ててみてください。
Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -
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