さまざまな葉色の種類があり、花々をより引き立てるカラーリーフプランツとして活躍するアルテルナンテラ。この記事では、アルテルナンテラの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類・園芸品種、育て方のポイントなどについて、幅広く解説します。
目次
アルテルナンテラの基本情報
植物名:アルテルナンテラ
学名:Alternanthera
英名:Alternanthera、joyweeds、Joseph’s coat
和名:アカバセンニチコウ、ツルノゲイトウ、モヨウビユなど
その他の名前:テランセラ、アキランサス
科名:ヒユ科
属名:ツルノゲイトウ属(アルテルナンテラ属)
原産地:熱帯~亜熱帯アメリカ
分類:多年草
アルテルナンテラは、ヒユ科ツルノゲイトウ属(アルテルナンテラ属)の多年草です。原産地は熱帯〜亜熱帯アメリカ。暑さには大変強いのですが、寒さには弱いため、日本の厳しい冬の寒さに耐えられず越年できずに枯死することが多く、一年草として流通している場合もあります。原産地で200種ほどが分布しており、日本で流通しているアカバセンニチコウやツルノゲイトウ、モヨウビユなどもアルテルナンテラに属しています。赤葉や斑入り葉を持つものなどカラーリーフプランツとして活躍する種類が多いうえ、草姿も木立性や匍匐性、こんもりと茂るものなど多様で、選ぶ楽しみがあります。
アルテルナンテラの花や葉の特徴
園芸分類:草花
開花時期:10〜11月
草丈:10〜100cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:白、赤紫、ピンク
アルテルナンテラは、葉姿を観賞するカラーリーフプランツとして利用されることが多い草花です。葉色は赤、ピンク、オレンジ、黄色、紫などが揃い、斑入りの品種もあります。種類によっても異なりますが、葉は主に楕円形で密につくので、色の塊となって存在感を示します。開花期は10〜11月で、センニチコウに似た素朴な花が咲きます。
アルテルナンテラの名前の由来や花言葉
アルテルナンテラは、学名のAlternantheraがそのまま流通名となったものです。「交互につく」という意味の「アルテルノ」と、「葯」という意味の「アンテラ」が由来で、「交互につく葯」という意味を持っています。
アルテルナンテラの花言葉は、「燃え上がった情熱」「熱すると冷める恋」「変身」など。赤い葉をもつ草姿は、冬になると枯れてしまう様子を表現したものとされています。
アルテルナンテラの主な種類
アルテルナンテラは、多様な種類・園芸品種が流通しています。葉色が豊富で斑入り品種もあるほか、花を楽しむものもあります。ここでは、その中からポピュラーに出回っているものをいくつか取り上げてご紹介します。
マーブルクイーン
ピンクとグリーンがマーブル状に混ざり合った葉をもつ園芸品種です。草丈は10〜20cmほどで、這うように広がります。ハンギングバスケットなどにおすすめ。
アカバセンニチコウ
赤紫の茎葉をもつシックな株姿が魅力。10月下旬〜11月に花径1〜2cmほどのセンニチコウに似た白い花を咲かせますが、センニチコウとは種類が異なります。草丈は30〜80cmほど。
センニチコボウ(千日小坊)
アルテルナンテラ・ポリゲンスをもとに交配して作出された園芸品種。開花期は10〜12月で、センニチコウに似た丸い花を咲かせますが、センニチコウとは種類が異なります。花色は赤、ピンク、白で、草丈は30〜100cm。
リトルロマンス
夏の強い日差しにも負けないように改良された園芸品種。季節によって葉色が変化し、春は深緑色、夏は新芽のグリーンと紫葉がまじり、秋は深い紫色になります。草丈は30cmほどで、10〜11月に小さな白い花が咲きます。
エンジェルレース
若葉の頃に涼しげな白い斑が入る園芸品種で、葉は成長とともに緑色になります。草丈は10〜50cmほどで、6〜11月に開花。
アルテルナンテラの栽培12カ月カレンダー
開花時期:10〜11月
植え付け・植え替え:6〜10月
肥料:6〜10月
アルテルナンテラの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。半日陰の場所でも生育しますが、極端に日当たりの悪い場所では、ヒョロヒョロとか弱い茎葉ばかりが茂って草姿が乱れたり、花つきが悪くなったりするので注意しましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、冬越しに挑戦する場合は、冬は室内に取り込み、室内の窓辺や温室などに置いて管理しましょう。
【置き場所】水はけ、水もちのよいふかふかとした土壌を好みます。
耐寒性・耐暑性
アルテルナンテラは暑さに強く、日本の気候によく馴染んで基本的に放任してもよく育ちます。しかし寒さには弱く、5℃以下の環境下で霜や凍結に遭うと枯死するので注意。地植えの場合は鉢植えにして、室内の窓辺や温室などに置いて冬越しさせましょう。
アルテルナンテラの育て方のポイント
用土
【地植え】
丈夫な性質で土壌を選びませんが、植え付ける1〜2週間前に腐葉土や堆肥などの有機質資材、緩効性肥料を植え場所に投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておくとよいでしょう。土づくりは植え付け直前ではなく、数週間前に行っておくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。
【鉢植え】
草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり
株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。
真夏は、気温の高い昼間に行うとすぐに水の温度が上がり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。
【地植え】
根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らずに乾燥が続くようなら、水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、常にじめじめと湿った状態にすると根腐れの原因になるので禁物です。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料
【地植え】
植え付け時に元肥として緩効性肥料を施してあれば、追肥は不要です。ただし、株に勢いがないようであれば、緩効性肥料または液肥を与えて様子をみましょう。
【鉢植え】
6〜10月の成育期は、1カ月に1度を目安に緩効性肥料を株の周囲にばら撒き、土に馴染ませておきます。または、10日に1回を目安に液肥を与えて株の勢いを保つとよいでしょう。
注意する病害虫
【病気】
アルテルナンテラは、病気を発症する心配はほとんどありません。
【害虫】
アルテルナンテラに発生しやすい害虫は、ハダニ、ナメクジなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期に葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
ナメクジは花やつぼみ、新芽、新葉などを食害します。体長は40〜50mmほどで、頭にツノが2つあり、茶色でぬらぬらとした粘液に覆われているのが特徴。昼間は鉢底や落ち葉の底などに潜んで姿を現しませんが、夜に活動します。植物に不快な粘液がついていたら、ナメクジの疑いがあるので夜にパトロールして捕殺してください。難しい場合は、ナメクジ用の駆除剤を利用して防除してもよいでしょう。多湿を好むので風通しをよくし、落ち葉などは整理して清潔に保っておきます。
アルテルナンテラの詳しい育て方
苗の選び方
苗を選ぶ際は、葉に傷みがなく葉色がきれいで、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
植え付け・植え替え
アルテルナンテラの苗の植え付け適期は、6〜10月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に苗よりもひと回り大きな穴を掘って植え付けます。アルテルナンテラの苗をポットから出したら、根鉢をくずさずに植え付けるのがポイントです。複数の苗を植え付ける場合は、草丈に応じて15〜50cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
地植えの場合、冬越しさせるなら寒くなる前に鉢に植え替えて、室内の日当たりのよい場所などへ移動しましょう。
【鉢植え】
6〜7号鉢に1株を目安に植え付けます。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。アルテルナンテラの苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢をくずさずに植え付けましょう。水やりの際にすぐ水があふれ出すことのないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して軽く根鉢をくずし、古い土や根を落として新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備して植え替えてください。
日常のお手入れ
【切り戻し】
梅雨前に株が大きく育った場合は、蒸れやすくなるので切り戻しておくとよいでしょう。込み合いすぎている部分があれば、適宜間引いて風通しをよくします。
【花がら摘み】
アカバセンニチコウなど次々に花が咲くタイプでは、終わった花を早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫発生の抑制につながります。また、いつまでも終わった花を残しておくと、種をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
冬越し
アルテルナンテラは寒さには弱いので、地植えにしている場合は寒くなる前に鉢に植え替えましょう。室内の日当たりがよい窓辺や温室などへ移動し、5℃以上の環境で冬越しします。
増やし方
アルテルナンテラは、挿し芽、株分け、種まきで増やすことが可能です。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物のなかには挿し芽ができないものもありますが、アルテルナンテラは挿し芽で増やせます。
アルテルナンテラの挿し芽の適期は、5〜9月です。新しく伸びた茎を2節以上つけて切り口が斜めになるように切り取ります(挿し穂)。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために挿し穂の下葉を半分くらい取りましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
【株分け】
多年草のアルテルナンテラの株分け適期は、6〜9月です。
株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りを図ります。株を掘り上げて根を半分ほどに切り分け、再び植え直しましょう。それぞれの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
【種まき】
アカバセンニチコウやアキランサス、ブラジリアーナ種などは、開花後に種を採取し、種まきで増やすことができます。
アルテルナンテラの種まき適期は5〜7月です。種まきから栽培する場合、花壇などに種を直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順に左右されやすいので、種まき用のセルトレイに清潔な市販の種まき用の培養土を使って種をまき、適した場所で管理すると、より確実です。
種まき用のセルトレイを準備し、市販の草花用の培養土を入れて種をまき、覆土はごく薄くしてください。種が流れだすことのないように、水やりは水を浅く張った容器にセルトレイを入れ、底から給水します。発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。
発芽したら日の当たる場所で管理し、数本が込み合っている部分などがあれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になっている部分をそのままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、ご注意を。
本葉が2〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用の培養土を入れて、根を傷つけないように苗を周りの土ごと抜き取って植え付けましょう。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。黒ポットに根が少し回るくらいまでを目安に育苗し、幼苗のうちに植えたい場所に定植します。
アルテルナンテラの鮮やかな葉で庭を飾ろう
種類によってカラフルな葉色が揃うアルテルナンテラは、花よりも葉姿の美しさを楽しむカラーリーフプランツとして大人気。フラワーアレンジに添えても存在感を発揮します。センニチコウに似た小さな花も可愛らしいですよ。ぜひ庭やベランダで育ててみてください。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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