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ラティビダ(メキシカンハット)はユニークな姿の夏の花! 育て方のポイントやおすすめ品種を解説

ラティビダ(メキシカンハット)はユニークな姿の夏の花! 育て方のポイントやおすすめ品種を解説

Jerrold James Griffith/Shutterstock.com

ラティビダ(メキシカンハット)は、長く伸びる花心と垂れ下がる舌状花との組み合わせが特徴の花を多数立ち上げる宿根草です。麦わら帽子のようなユニークな花姿は名前の由来にもなりました。この記事では、基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方、種類などについて、詳しくご紹介します。

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ラティビダの基本情報

ラティビダ
The Jungle Explorer/Shutterstock.com

植物名:ラティビダ
学名:Ratibida columnifera
英名:upright prairie coneflower、Mexican hat、longhead prairie coneflower
和名:ヒメバレンギク(姫馬簾菊)
その他の名前:メキシカンハット、ラチビダ、プレーリーコーンフラワーなど
科名:キク科
属名:ラティビダ属
原産地:北アメリカ
分類:宿根草(多年草)

ラティビダの学名は、Ratibida columnifera(ラティビダ・コルムニフェラ)。メキシカンハットやヒメバレンギク、プレーリーコーンフラワーなどの別名もあります。キク科ラティビダ属の多年草で、原産地は北アメリカ。7種が分布するとされ、草丈は30~90cmで種類や品種によって幅があります。暑さにも寒さにも強く、乾燥した気候を好み、多湿が苦手です。冬には落葉しますが、越年して生育期に入ると再び新芽を出して花を咲かせることを繰り返します。一度植え付ければ毎年開花する、ライフサイクルの長い植物です。

ラティビダの花や葉の特徴

ラティビダ
Dan Flake/Shutterstock.com

園芸分類:草花
開花時期:7〜9月
草丈:30〜90cm
耐寒性:強い
耐暑性:強い
花色:赤、オレンジ、黄、茶など

ラティビダの開花期は、7〜9月。花色は赤、オレンジ、黄、茶など、明るくカラフルな印象で、長く伸びる花心に下から上へ咲き上がる筒状花と、だんだんと垂れ下がる舌状花で構成されるユニークな花姿が特徴です。舌状花が落ちた後も、筒状花は残ります。葉は切り込みの入った細長い形です。

ラティビダの名前の由来や花言葉

ラティビダ
Dan Flake/Shutterstock.com

ラティビダという名前は、学名のRatibida columniferaから。「Ratibida」は、19世紀に活躍した植物学者・動物学者のConstantine Samuel Rafinesque-Schmaltz(コンスタンティン・サミュエル・ラフィネスク=シュマルツ)により名付けられました。「columnifera」は「円柱状の」という意味で、花心が長く伸びて筒状花が咲く様子を表しています。別名のメキシカンハットは、花姿がメキシコの帽子ソンブレロに似ていることに由来しています。

ラティビダの花言葉は「友情」「親しみ」です。

ラティビダの代表的な種名・品種

ラティビダ・ピナータ
ラティビダ・ピナータ。Brian Woolman/Shutterstock.com

国内で流通しているラティビダのいくつかの種類のうち、ポピュラーなものをご紹介します。

ラティビダ・ピナータ

同じラティビダ属の仲間で、開花期は初夏〜秋。花径7cmほどの黄色い花を咲かせます。中央の花心は短めで、最初はグリーンからだんだん茶色へと変化。草丈が高くなるのが特徴で、最大150cmほどに達します。

ラティビダ‘レッドミジェット’

開花期は夏〜秋で、花心が長めに伸びます。舌状花は個体差があり、黄色×赤の複色もあれば、赤一色になるケースもあるようです。交配された園芸品種で、草丈が30〜45cmとコンパクトにまとまり、扱いやすいのが特徴です。

ラティビダの栽培12カ月カレンダー

開花時期:7〜9月
植え付け・植え替え:4〜6月、10月頃
肥料:3月、10月(地植えはほとんど不要)
種まき:4〜5月、9月下旬〜10月

ラティビダの栽培環境

ラティビダ
Kit Leong/Shutterstock.com

日当たり・置き場所

【日当たり/屋外】日当たり・風通しのよい場所を好みます。半日陰でも生育しますが、極端に日照が不足すると花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉ばかりが茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。地植えの場合は、西日が強く当たる場所は避けます。

【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。

【置き場所】水はけがよく、腐植質に富んだふかふかの土を好みます。酸性に傾いた状態を嫌うので、苦土石灰をまいて土壌改良しておくとよいでしょう。多肥は好まず、やせ地でもよく育ちます。

耐寒性・耐暑性

耐寒性はマイナス15℃程度まであり、暑さや寒さに強いため、一年を通して屋外で栽培できます。

ラティビダの育て方のポイント

用土

土
blueeyes/Shutterstock.com

【地植え】

植え付ける1〜2週間前に、酸性土壌を改善するために苦土石灰をまき、さらに腐葉土や堆肥などの有機質資材を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根の生育がよくなります。

【鉢植え】

草花の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。

水やり

水やり
wavebreakmedia/Shutterstock.com

高温多湿を嫌うため、やや乾燥気味に管理します。水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。

真夏は、気温の高い昼間に行うと、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。

【地植え】

根付いた後は、下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。

【鉢植え】

日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。

肥料

肥料
Singkham/Shutterstock.com

【地植え】

植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。基本的に追肥は不要ですが、株に勢いがなかったり花つきが悪い場合は、緩効性肥料を与えて様子を見ましょう。

【鉢植え】

植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。3月と10月に緩効性肥料を株元にばらまき、土に馴染ませます。

注意する病害虫

ハダニ
Catherine Eckert/Shutterstock.com

【病気】

病気の心配はほとんどありません。

【害虫】

発生しやすい害虫は、ハダニです。

ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。

ラティビダの詳しい育て方

苗の選び方

苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって勢いのあるものを選びましょう。

植え付け・植え替え

ガーデニング
Nataly Studio/Shutterstock.com

植え付けの適期は4〜6月か10月頃です。直根性なので、植え付けの際はあまり根をいじらないように注意しましょう。

【地植え】

土づくりをしておいた場所に、苗を植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、約30cmの間隔を取っておきましょう。あまり密に植え付けると、風通しが悪くなって株が蒸れることがあるので、余裕を持たせておくほうが無難です。植え付けた後は、たっぷりと水やりをしておきましょう。

環境に合えば植え替えの必要はなく、そのまま植えっぱなしにしてかまいません。

【鉢植え】

鉢の大きさは、入手した苗よりも2〜3回り大きい鉢を準備します。

用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗を鉢に仮置きし、高さを決めたら植え付けます。その際、苗の根が白く回っているようなら、軽く根鉢をくずしてから植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取っておきます。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していき、最後に鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。

鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出して軽く根鉢をくずし、古い土や根を落として新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備して植え替えてください。

日常のお手入れ

切り戻し
RapunzielStock/Shutterstock.com

【花がら摘み】

次々に花が咲くので、終わった花は早めに摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながります。また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。

【切り戻し】

開花が終わった後、草姿が乱れていたら切り戻します。地際から草丈の半分〜1/3の高さを目安に、深めにカットしましょう。

夏越し

ラティビダ
Jerrold James Griffith/Shutterstock.com

【地植え】

長雨に当たると蒸れることがあるので、梅雨前に株が込み合っているようであれば、茎葉を間引くように切り取り、風通しをよくしておきましょう。

【鉢植え】

梅雨前に雨の当たらない軒下などへ移動して蒸れないようにしておきます。梅雨が明けたら置きたい場所へ移動します。

冬越し

ラティビダ
David G Hayes/Shutterstock.com

【地植え・鉢植えともに】

寒さには強く、マイナス15℃くらいまで耐えるので、戸外で越冬できます。

増やし方

種まき
Montana Isabella/Shutterstock.com

種まきと株分けで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について解説します。

【種まき】

種まきの適期は4〜5月か、9月下旬〜10月で、発芽適温は20〜30℃です。種まきから栽培する場合、花壇などに直まきすると、幼苗のうちに病気や虫の害にあいやすく、天候不順にも左右されやすいので、種まき用のセルトレイに播いて適した場所で管理すると、より確実です。

セルトレイを使う場合は、市販の種まき用の培養土をトレイに入れて種子を播き、覆土はごく薄くしてください。種が流れ出すことのないように、水やりは水を浅く張った容器にトレイを入れ、底から給水します。発芽までは乾燥させないように水の管理をしましょう。

発芽したら日の当たる場所で管理し、苗が込み合っている部分があれば抜き取って間引きましょう。もったいないからといって密になったままにしておくと、ヒョロヒョロと間のびした徒長苗になってしまうので、注意。

本葉が3〜4枚ついたら、トレイから抜いて鉢上げします。黒ポットに草花用の培養土を入れて、根を傷つけないように苗を周りの土ごと抜き取って植え付けます。日当たりのよい場所に置き、表土が乾いたら水やりして育成します。ポットに根が少し回るくらいまでを目安に育苗し、幼苗のうちに植えたい場所に定植します。

【株分け】

株分けの適期は、4月頃です。

株を植え付けて数年が経ち、大きく育ったら株の老化が進むので、「株分け」をして若返りをはかります。株を掘り上げて根を半分ほどに切り分け、再び植え直しましょう。それぞれの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。

ラティビダはドライフラワーにもなる

ラティビダ
JohnatAPW/Shutterstock.com

ラティビダは、開花すると舌状花がだんだんうなだれて垂れ下がるようになり、中央の筒状花が上へ咲き上がっていきます。やがて舌状花が花弁を落とし、花心のみが残った頃に摘み取って、ドライフラワーにしましょう。採取した茎をいくつか束ねて麻ひもなどで縛り、直射日光の当たらない風通しのよい場所で逆さに吊して乾燥させます。1〜2週間ほどしたら、インテリアなどに飾って楽しみましょう。

ラティビダのユニークな花を楽しもう

ラティビダ
S.A. Sebastian Gnolfo/Shutterstock.com

暑さにも寒さにも強いラティビダは、乾燥ぎみに管理するのが栽培のポイント。花茎を伸ばした先にメキシコ風麦わら帽子のような花を咲かせる姿はユニークで、アイキャッチにもなります。花が終わった後、枯れていく姿も趣があり、秋の庭のアクセントとしても楽しまれています。ぜひ庭やベランダに取り入れて、ナチュラルな咲き姿を愛でてください。

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