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クワズイモ(アロカシア・オドラ)は素敵なグリーンインテリア! 元気に育てるポイントを解説
みずみずしいハート形の葉を持ち、観葉植物として人気の高いクワズイモ。インテリアとして飾れば、つやつやした大きな葉が癒やしを与えてくれます。この記事では、クワズイモの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方、注意したいポイントなど、詳しく解説します。
目次
クワズイモの基本情報
植物名:クワズイモ
学名:Alocasia odora
英名:Giant elephant’s ear、night-scented lily、Asian taro
和名:クワズイモ(食わず芋)
その他の名前:アロカシア、アロカシア・オドラ、出世芋
科名:サトイモ科
属名:アロカシア属
原産地:熱帯アジア
分類:多年草
クワズイモの学名はAlocasia odora(アロカシア・オドラ)。サトイモ科アロカシア属の常緑性多年草です。原産地は主に東南アジアで、草丈は2mほど。熱帯地域のジャングル内に自生することが多く、半日陰の環境を好みます。したがって、真夏に強い日差しを浴びると、葉焼けすることがあるので注意。太くて細長い根茎が地上部まで立ち上がり、そこから大きな葉を何本も広げる姿はダイナミックで、インテリアグリーンとしても人気があります。アロカシア属に分類されているため、アロカシアという名前で流通することもあるようです。
クワズイモの葉や花の特徴
園芸分類:観葉植物
開花時期:6〜8月
草丈:10〜200cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:白
クワズイモの葉は、大きくなると60cmほどにもなります。根茎から茎が数本立ち上がり、四方に艶やかなハート形の葉を広げる美しいフォルムが魅力です。
開花期は6〜8月ですが、株が十分に成熟していないと咲かないようです。白い仏炎苞と呼ばれる花弁に似た苞の中に、棒状の花穂が立ち上がって甘い香りを漂わせます。
クワズイモの名前の由来や花言葉
クワズイモは、里芋に似ているものの、食用にできないことが名前の由来です。成長が早いために「出世芋」と呼ばれることもあります。
クワズイモの花言葉は「仲直り」「復縁」など。葉がハート形をしていることが理由のようです。
クワズイモの近縁の仲間
クワズイモが属するアロカシア属の植物には、クワズイモのほかにも観葉植物として流通しているものがあります。代表的な品種をいくつかご紹介しましょう
シマクワズイモ
シマクワズイモ(Alocasia cucullata)はヒメクワズイモとも呼ばれ、ほかの近縁種と比較して葉が小ぶりで株もコンパクトなので、お部屋の狭いスペースでも育てやすい種類です。耐陰性が高いため、シェードガーデンのグラウンドカバーにも利用されます。
インドクワズイモ
インドクワズイモ(Alocasia macrorrhiza)はクワズイモとよく似ていて、同じようにインドアグリーンに利用されますが、耐寒性は普通のクワズイモよりもやや弱いとされています。
アロカシア・ポリー
葉につやつやと強い光沢があるアロカシア・ポリー(Alocasia × amazonica ‘polly’)は、アロカシア・アマゾニカの園芸品種で、濃い緑色にくっきりと白い葉脈が浮かぶ葉が印象的です。アロカシアの中でも流通が多く、ほかのアマゾニカ同様、細長くシャープな葉は縁部分に波打つように凹凸があります。
アロカシア・ゼブリナ
アロカシア・ゼブリナ(Alocasia zebrina)の特徴は、葉柄の色。名前のとおり、シマウマのように暗褐色の縞模様が入ります。細長くシャープな葉もスタイリッシュで、インテリアプランツとして人気があります。
アロカシア・ブラックベルベット
アロカシア・ブラックベルベットは流通名で、学名はアロカシア・レギヌラ(Alocasia reginula)。その名のとおりベルベットのような質感の葉は、黒に近い濃い緑色で、葉脈部の白色と鮮やかなコントラストを描きます。コンパクトに成長する種類です。
斑入り品種
アロカシアには斑入りの品種もあり、大きな葉にさまざまな斑が入る様子はモダンな雰囲気で人気があります。斑の色や入り方は個性があり、バリエーション豊かです。
クワズイモは毒性に注意
クワズイモには、シュウ酸カルシウムが含まれており、誤食すると食中毒を引き起こすので注意しましょう。特に幼児やペットのいる家庭では、インテリアグリーンとして飾った際に誤って口に入れることのないように、置き場所に配慮してください。また、切り口から出る液も、触れるとかぶれることが多いので、手入れをする際はゴム手袋を装着しておくとよいでしょう。
クワズイモの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜8月
植え付け・植え替え:5月中旬〜9月
肥料:5〜10月
クワズイモの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】クワズイモは観葉植物として人気がありますが、地植えにしても育てられます。強い直射日光を浴びると葉焼けするため、半日陰で育てましょう。鉢植えの場合は半日陰で雨の当たらない場所に置き、冬は室内に取り込んで冬越しさせます。
【日当たり/屋内】インテリアの観葉植物として飾る場合、室内の日当たりのよい場所に置きます。真夏は葉焼けを防ぐために、直射日光を避け、レースのカーテン越しの光を当てるとよいでしょう。
【置き場所】水はけ・水もちのよい環境を好みます。暑さに強い反面寒さには弱く、関東以南の太平洋側など、温暖な地域ではバークチップなどでマルチングをすれば越冬も可能ですが、寒い地域では鉢に植え替えて、凍結しない場所で越冬させましょう。
耐寒性・耐暑性
クワズイモの耐寒温度は5℃くらいまで。必要に応じてマルチングや室内での管理など寒さ対策を行います。暑さには強いですが、強い日差しには弱いため注意しましょう。
クワズイモの育て方のポイント
用土
【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、30〜40cmの穴を掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、再び埋め戻しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
観葉植物用にブレンドされた、園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり
株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がってぬるま湯のようになり、株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になることがあるので、十分に気温が上がった日中に与えるようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は、下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて過度に乾燥している場合は、水やりをして補いましょう。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメとした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。受け皿にたまった水は、こまめに捨てましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。乾燥する時期は、霧吹きで葉に水をかけると、ハダニの予防になります。
施肥
【地植え・鉢植えともに】
生育期の5〜10月は、2〜3カ月に1度を目安に、緩効性化成肥料を株の周りにばらまき、スコップなどで軽く耕して土になじませます。
注意する病害虫
【病気】
クワズイモに発生しやすい病気は、うどんこ病、灰色かび病、軟腐病などです。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉や新梢などに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。チッ素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
灰色かび病は葉に発生しやすく、褐色の斑点ができて灰色のカビが広がっていきます。気温が20℃ほど、かつ多湿の環境下で発生しやすく、ボトリチス病、ボト病などとも呼ばれています。風通しが悪く込み合っていたり、枯れ葉を放置していたりすると発生しやすくなるので注意。花がらをこまめに摘み取り、茎葉が込み合っている場合は、間引いて風通しよく管理しましょう。
軟腐病は土壌中の細菌による病気で、植物の傷口から病原菌が入り込むことによって発症します。地際部などが変色して軟らかくなり、腐って悪臭を放ちます。進行すると地上部がしおれ、地際も溶けたようになり、枯れてしまいます。発病した株は周囲に広がらないよう抜き取って処分しましょう。発生初期の段階であれば、腐った部分をすべて取り除き、新しい清潔な用土に植え替えることで復活も見込めます。菌が繁殖しやすい梅雨から秋の高温多湿な時期に発生しやすいので、水はけのよい環境にし、植え付けや強風によって植物を傷つけないよう注意しましょう。また、前年に発生した場所では同じ植物を栽培しないほうが無難です。
【害虫】
クワズイモに発生しやすい害虫は、ハダニ、アザミウマなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
アザミウマは花や葉について吸汁する害虫で、スリップスという別名を持っています。体長は1〜2mmと大変小さく、緑や茶色、黒い姿をした昆虫です。群生して植物を弱らせるので注意しましょう。針のような器官を葉などに差し込んで吸汁する際にウイルスを媒介するので、二次被害が発生することもあります。被害が進んだ花や葉は傷がついてかすり状になるので、よく観察してみてください。花がらや枯れ葉、雑草などに潜みやすいので、株まわりを清潔に保っておきます。土に混ぜるタイプの粒剤を利用して防除してもよいでしょう。
クワズイモの詳しい育て方
苗の選び方
葉に張りや艶があってみずみずしく、根や茎がしっかりしているもの、キズや病害虫の痕がないものを選ぶとよいでしょう。
植え付け・植え替え
植え付け適期は、5月中旬〜9月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさずに植え付けます。最後に、たっぷりと水を与えます。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、入手した苗よりも1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を半分くらいまで入れます。苗の根鉢をくずさずに鉢に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。
日常のお手入れ
【枯れ葉の整理】
枯れている葉があれば、基部で切り取ります。切り口から傷んでくることがないように、殺菌剤を塗布しておくと安心です。切り口から出る樹液に触れるとかぶれることがあるので、ゴム手袋などをはめて作業してください。また、枯れた葉が株の周りに落ちているようなら、拾って処分しましょう。株まわりを清潔に保つことで、病害虫の予防につながります。
冬越し
クワズイモは寒さに弱い性質があります。庭に地植えした場合は、越冬できる暖地ではバークチップなどで株元にマルチングをして寒さ対策をしておきます。寒い地域では、鉢に植え替え、暖かい室内で越冬させます。鉢植えにして戸外に置いている場合も、暖かい室内に取り込みましょう。室内に置く際は、窓にごく近い場所では夜に冷気が伝わりやすいので、少し離れた場所に置くようにします。
増やし方
挿し芽、株分けで増やすことができます。ここでは、それぞれの方法について解説します。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと、発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、クワズイモは挿し芽で増やせます。
挿し芽の適期は、5月中旬〜6月です。棒状に伸びて地上に立ち上がっている根茎を地際あたりで切り取ります。採取した茎葉(挿し穂)は、葉を切り取り、半日ほど日陰に置いて、切り口を乾かします。黒ポットに新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。株として十分に育ったら、植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
【株分け】
株分けの適期は、5月中旬〜6月です。最初の植え付けから数年が経ち、株が大きく育っていたら、株分けすることができます。新しくできた子株があれば切り分けて、それぞれに鉢を用意して植え直します。
クワズイモは水耕栽培も可能
クワズイモは、ハイドロボールなどを使っての水耕栽培でも育てることができます。ここでは、揃えておきたい材料や、管理のポイントなどについてご紹介します。
用意するもの
まず、クワズイモの苗、水耕栽培する容器、ハイドロボール、根腐れ防止剤を準備します。そのほか、清潔なハサミや水を入れたバケツも用意してください。クワズイモは株が大きく成長するので、大きめで深さのある容器を選ぶようにしましょう。
手順
苗をポットから出して根鉢の土を落とし、水を入れたバケツの中で根を洗います。古い根や邪魔な根があれば切り落としてもかまいません。
容器の底に根腐れ防止剤を入れ、ハイドロボールを少し入れて苗を仮置きします。苗が器とちょうどよいバランスになるように、高さを調整しながらハイドロボールを入れていきましょう。最後に、ハイドロボールに水を注ぎます。水の量は容器の1/4程度を目安にし、ハイドロボールが浸るほど水を多く入れすぎないように注意してください。
育て方のポイント
ハイドロボールに植え付けたあとは、半日陰の場所に置いて管理します。水がなくなったら適宜水やりをしますが、水は入れすぎないようにするのがポイントです。肥料はハイドロカルチャー専用のものを使いましょう。
クワズイモ栽培のトラブルと対処法
クワイズイモの栽培では、思わぬトラブルが発生することがあります。ここでは、発生しやすい症状と対処法についてご紹介します。
根腐れ
水やりの頻度が多すぎると、根腐れして株が弱ることがあります。放っておくと根が呼吸できなくなり、ひどくなると枯死してしまうので注意。その兆候として見られるのは、土がなかなか乾かない、葉が変色する、葉が枯れる、茎や根茎を押すとやわらかくなっている、土に臭いやカビが発生する、などです。
根腐れの症状が起きている場合は、掘り上げて傷んだ根や塊根を切り取り、新しい培養土を使って植え直します。あまりに症状が進んでいるようであれば、挿し芽をして更新してみましょう。
葉焼け
半日陰を好むクワズイモは、強い直射日光に晒されると葉焼けしてしまいます。葉の色が抜けて白くなったり、茶色く枯れ込んだりするので、観賞価値が著しく下がってしまうので注意。真夏は特に、直射日光が当たらない場所で管理することが大切です。
クワズイモを素敵なグリーンインテリアとして楽しもう
みずみずしいグリーンの葉を四方に伸ばすクワズイモは、オープンな広いリビングなどに置くと見栄えがします。ダイナミックなフォルムのクワズイモを、インテリアプランツとして迎え入れてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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