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イポメアはカラーリーフが特徴! 育て方のポイントや代表的な品種もご紹介
美しい葉姿に観賞価値があるイポメア。つるを伸ばして生育し、みずみずしい葉を旺盛に茂らせるので、寄せ植えやハンギングバスケットにもよく利用される人気の観葉植物です。この記事では、イポメアの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、品種、育て方について、幅広くご紹介します。
目次
イポメアの基本情報
植物名:イポメア
学名:Ipomoea
英名:Ipomoea、Sweet potato
和名:イポメア
その他の名前:サツマイモ
科名:ヒルガオ科
属名:サツマイモ属
原産地:メキシコ南部~中央アメリカ
分類:宿根草(多年草)
イポメアの学名はIpomoea。ヒルガオ科サツマイモ属の常緑性多年草です。原産地はメキシコ南部〜中央アメリカで、熱帯地方に450〜650種が確認されています。暑さに大変強い一方で、寒さには弱く、日本では戸外で越冬することはできないため、一年草として扱われることが多いです。つるを伸ばして生育するので、地植えにしてグラウンドカバーにしてもいいですし、鉢やハンギングバスケットに植え込んでフラワースタンドに飾ったり、高い位置に吊して流れるようなラインを生かすと、魅力を発揮できます。つるの長さは10〜100cm。主に花よりも葉に観賞価値があり、斑入り種など品種もさまざまで、みずみずしさをプラスするカラーリーフとして活躍します。
イポメアの葉や花の特徴
園芸分類:草花
開花時期:6〜10月
草丈:10〜150cm
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
イポメアの葉色は種類や園芸品種によってさまざまで、ライムグリーン、ブロンズ、斑入りなどがあります。葉の形もハート形やアサガオに似たものなど多様です。
イポメアの花はアサガオに似た咲き姿ですが、日本では沖縄や鹿児島などの暖地以外ではほとんど咲くことがありません。
イポメアの名前の由来や花言葉
名前は、学名のIpomoeaに由来しています。「イモ虫」を意味する「ips」と、「似ている」という意味の「homoios」の2語を合わせた造語で、つるを旺盛に伸ばして這い広がる姿をイメージして名付けられたといわれています。
イポメアの花言葉は「甘い思い出」「活力」などです。
イポメアの園芸品種
イポメアは、交配によって作出された園芸品種が多数出回っています。ここでは、ポピュラーな2品種をご紹介します。
テラスライム
輝くようなライムグリーンの葉が美しい品種です。生育旺盛で、つるは100〜150cmほど伸びるので、ハンギングバスケットに植え込んで高い位置に吊したり、グリーンカーテンに利用することもできます。暑さに強く、葉焼けせずに丈夫に育ちます。
ブラッキー
ブロンズブラックの葉色がシックな品種です。真夏は赤やオレンジ、黄色などのビビッドカラーの花が多くなる中で、差し色として活躍するカラーリーフです。強い日差しのもとでも葉焼けせずに旺盛に這い広がり、100〜150cmほどつるを伸ばします。
イポメアの仲間
イポメア属の仲間には、ユニークなものもあります。ここでは、個性的な2種類をご紹介します。
イポメア・ホルビー
学名はIpomoea holubii、原産地はアフリカ南部です。丸くて大きな塊根からつるを伸ばし、アサガオに似た花を咲かせます。塊根は20cmほどまで大きくなることも。日本では鉢栽培にして塊根を露出させ、盆栽のように楽しむことが多いようです。
イポメア・アルピナ
学名はIpomoea alpina、原産地は中央〜東アジアです。塊根部分から産毛のある細長いつるを伸ばし、夏にパステルイエローのアサガオに似た花を咲かせます。こちらも塊根を露出させて鉢に植え付け、ユニークな株姿を楽しみます。希少種です。
イポメアの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6〜10月
植え付け・植え替え:5〜6月
肥料:5〜9月
イポメアの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】基本的には、日当たり・風通しのよい場所で管理します。直射日光や暑さに強く、日照不足になると葉色が冴えなくなったり、間のびして株姿が乱れたりするので注意してください。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本です。ただし、冬越しに挑戦する場合は、秋には掘り上げて室内に取り込むとよいでしょう。
【置き場所】水はけ・水もちのバランスがよい、ふかふかとして腐植質に富んだ土壌を好みます。暑さには強く、強い日差しを浴びても葉焼けすることがないので、夏は戸外で管理してかまいません。冬の寒さには弱いので、地植えにしている場合は鉢に植え替え、室内の窓辺や温室などに置いて冬越しさせましょう。
耐寒性・耐暑性
寒さには弱く、15℃以下になると生育が鈍り、10℃以下になると枯れてしまいます。室内に取り込んで冬越しさせてもよいですが、一年草扱いとして毎年苗を植え直すほうが簡単です。暑さには強いため、夏越し対策は必要ありません。
イポメアの育て方のポイント
用土
【地植え】
植え付けの2〜3週間前に、腐葉土や堆肥、緩効性肥料を混ぜ込んで、よく耕しておきます。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
草花用にブレンドされた市販の培養土を利用すると便利です。
水やり
株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がって株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。また、真冬は、気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、水切れしないように管理しましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、晴天が続いて過度に乾燥している場合は、水やりをして補いましょう。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまいます。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。また、冬に室内で栽培する場合も、カラカラに乾燥させることのないように、適宜水やりを続けてください。
肥料
【地植え・鉢植えともに】
生育期の5〜9月は、2カ月に1度を目安に、緩効性化成肥料を株の周りにばらまき、スコップなどで軽く耕して土になじませます。または、10日〜2週間に1度を目安に、液肥を与えてもよいでしょう。
注意する病害虫
【病気】
発生しやすい病気は、黒斑病、立ち枯れ病などです。
黒斑病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因の伝染性の病気で、葉に発生しやすく、最初は黒または褐色の小さな斑点が現れます。病斑は3〜15mmで、下葉からだんだん上の葉へと広がっていきます。症状が進むと葉が縮れて黄色または褐色になり、やがて枯死します。肥料の与えすぎや、株と株の間が狭い場合、茎葉の茂りすぎなどで発生しやすくなるので、適宜葉を間引くなど、風通しよく管理してください。発病した葉はただちに切り取って処分し、適用のある薬剤を散布して様子を見ます。
立ち枯れ病は、根や地際の茎から感染する病気です。だんだん生育が悪くなり、葉が黄色くなって株全体に病気が広がり、やがて腐って枯れてしまいます。発生初期に適用のある殺菌剤を散布して防除しましょう。病気が広がるようなら、抜き取って処分します。
【害虫】
発生しやすい害虫は、アブラムシ、ハダニなどです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなります。2〜4mm程度の小さな虫で繁殖力が大変強く、茎葉にびっしりとついて吸汁し、株を弱らせるとともにウイルス病を媒介することにもなってしまいます。見た目もよくないので、発生初期に見つけ次第こすり落としたり、水ではじいたりして防除しましょう。虫が苦手な方は、スプレータイプの薬剤を散布して退治するか、植え付け時に土に混ぜ込んで防除するアブラムシ用の粒状薬剤を利用するのがおすすめです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
イポメアの詳しい育て方
苗の選び方
葉が黄変しておらず、色艶がよくがっしりした苗を選びましょう。
植え付け・植え替え
苗の植え付け・植え替え適期は、5〜6月です。寒さにあたると傷むので、遅霜の心配がなく、十分に気温が上がってから植え付けましょう。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗の根鉢よりも一回り大きな穴を掘り、軽く根鉢をほぐして植え付けます。最後にたっぷりと水を与えます。
イポメアは寒さに弱いので、来年以降も楽しみたい場合は冬越し対策が必要です。地植えにしている場合は、気温が15℃を下回るようになったら鉢に植え替え、日当たりのよい室内や温室などに移動させて、冬越しさせましょう。越年後、霜が降りる心配がなくなった頃に再び地植えにします。
【鉢植え】
鉢で栽培する場合は、入手した苗より1〜2回り大きな鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用培養土を半分くらいまで入れます。苗をポットから取り出し、根鉢をくずさずに鉢の中に仮置きして高さを決めたら、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下を目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底から流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。
日常のお手入れ
【つるの剪定】
つるが伸びすぎて持て余すようであれば、適した長さで切り取ります。時期は選びませんし、どこで切ってもかまいません。バランスのよい株姿を保ちましょう。
【枯れ葉の整理】
イポメアは常緑性の植物ですが、ずっとグリーンの葉のままというわけではなく、古くなった葉は枯れて、また新しい葉を出すという新陳代謝を繰り返します。枯れた葉をそのままにしておくと病害虫が発生しやすくなるので、まめに取り除いてください。
冬越し
イポメアは寒さに弱く、霜にあたると枯れてしまいます。そのため、日本では一年草として扱われることが多いですが、寒さ対策をすれば冬越しさせることもできます。
鉢植えや寄せ植え、ハンギングバスケットを庭やベランダに飾っている場合は、秋になったら暖かい室内や温室などに取り込んで冬越しさせましょう。
地植えにしている場合は、鉢に植え替えて暖かい室内や温室に置いて冬越しさせます(鉢への植え付け方法は、「植え付け・植え替え」の項目を参照してください)。越年して十分に気温が上がる5〜6月に、再び地植えに戻すとよいでしょう。
また、掘り上げた際にイモができていた場合は、箱にバーミキュライトかおがくずを入れ、その中にイモを埋め込んで暖かい室内で保存しておいてください。越年して十分に気温が上がる5〜6月にイモを植え付けると、発芽して生育し始めます。ちなみに、サツマイモの仲間ではありますが、イポメアのイモは食用には向きません。
増やし方
イポメアは、挿し芽で増やします。挿し芽とは、茎を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、イポメアは挿し芽で増やすことができます。
挿し芽の適期は、6〜9月です。その年に伸びた新しくて勢いのある茎を10〜15cm切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。3号くらいの鉢を用意してゴロ土を入れ、新しい培養土を入れて水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて管理します。その後は日当たりのよい場所に置いて育苗し、ポットに根が回るまでに成長したら、植えたい場所に定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
イポメアで夏の庭を彩ろう
カラーリーフとして主役にも脇役にもなり、庭で幅広く活躍するイポメア。寄せ植えやハンギングの素材としてもおすすめです。暑さに強く、大きな葉を旺盛に茂らせて管理の手間がかからないので、特にほかの植物がくたびれがちな真夏の庭で重宝する人気の植物です。ぜひ庭やベランダに取り入れてみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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