小さく可愛らしいツユクサは雑草? 育て方と駆除したいときの対処法

Ai Kondo/Shutterstock.com
綺麗な青い小さな花を咲かせるツユクサは、身近に自生しているので、目に触れる機会も多いはず。しかし花は可愛らしいものの繁殖力が強いため、駆除したいと考える方もいるかもしれません。ここではツユクサの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、育て方と、ツユクサを駆除する方法について解説します。
目次
ツユクサの基本情報

植物名:ツユクサ
学名:Commelina communis
英名:Dayflower、Asiatic dayflower
和名:ツユクサ(露草)
その他の名前:ツキクサ(着き草)、カラアイ(唐藍)、エノグバナ(絵具花)、アイクサ(藍草)、アオバナ(青花)、ホタルグサ(蛍草)など
科名:ツユクサ科
属名:ツユクサ属
原産地:日本を含む東アジア
分類:一年草
ツユクサは、ツユクサ科ツユクサ属に分類され、学名はCommelina communisです。日本では湿った空き地や道ばたなどに自生し、北海道から沖縄にかけて広く分布しています。一年草で冬には枯れてしまいますが、こぼれダネや根から新たに芽を出す性質があるため、翌年以降も同じ場所に生えてくることが多いです。そして地面を這うように成長し、節から根を出して枝分かれしながら広がっていきます。
ツユクサの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:6〜9月
草丈:20〜30cm
耐寒性:弱い
耐暑性:やや強い
花色:青、白、黄
ツユクサの開花時期は6〜9月で、特に7月が見頃とされています。青や黄色、白などの小さな花が特徴で、花は朝に咲き、昼にはしぼんでしまうという特性があります。そのため、花を楽しむなら朝がおすすめです。
草丈は20〜30cm。葉はずんぐりしたササの葉に似た細長い卵形で、若い茎や葉は山菜として食用もできます。
ツユクサの名前の由来や花言葉

朝に咲き、昼頃にはしぼむという花の特性が朝露を連想させるため、「露草(ツユクサ)」と名付けられました。また、花弁に触れるとすぐに色素がつくことから染料としても使われ、ツキクサ(着き草)、カラアイ(唐藍)、エノグバナ(絵具花)、アイクサ(藍草)など多くの別名もあります。ツユクサは万葉集にも登場し、一日花であることや色素の色落ちのしやすさから、儚さの象徴として詠われています。
ツユクサの花言葉は「尊敬」「恋の心変わり」「なつかしい関係」など。「尊敬」は、聖母マリアがツユクサと同じ青い服装で描かれることが多いため、その色彩から連想されたといわれています。「なつかしい関係」は、オランダの植物学者であったヤン・コメリンとその甥、カスパル・コメリンがアムステルダム薬草園の園長を務めていたことに由来しています。
ツユクサと近縁の仲間

ムラサキツユクサ
ムラサキツユクサの学名は、Tradescantia × andersoniana(トラディスカンティア・アンダーソニアナ)。花弁の大きな花は優雅で、青や紫、ピンク、白、複色など色のバリエーションもあります。草丈は30~80cm。ムラサキツユクサ属は交配種が多く、園芸品種も豊富。交配種を総称してオオムラサキツユクサと呼ぶことも多いです。
トキワツユクサ
トキワツユクサの学名は、Tradescantia fluminensis(トラディスカンティア・フルミネンシス)。南アメリカ原産で、夏に白い3弁花を咲かせます。草丈は約50cm。観賞用として日本にもたらされましたが、繁殖力が旺盛で野生化し、要注意外来生物に指定されています。
シマムラサキツユクサ
シマムラサキツユクサの学名は、Tradescantia zebrina(トラディスカンティア・ゼブリナ)。中央アメリカ、メキシコ、コロンビアが原産地です。葉裏は紫色、葉の表面は緑または紫色でストライプ状に白い斑が入ります。草丈は5〜15cmで、這うように生育するため、グラウンドカバーやハンギングバスケットにおすすめ。夏に小さなピンクの花を咲かせます。
ツユクサの栽培12カ月カレンダー
開花時期:6~9月
植え付け:4〜6月
肥料:4〜6月、9月
種まき:4~5月
ツユクサの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たりのよい場所を好みますが、日陰でも育ちます。
【日当たり/屋内】屋外で栽培します。
【置き場所】土質を選ばず育ちますが、少し湿り気のある環境を好むため、水はけ・水もちのいい土がおすすめです。
耐寒性・耐暑性
暑さには強く、また冬には枯れる一年草なので、夏越しや冬越しの対策は特に必要ありません。ただし、夏に直射日光が強く当たる場合は、半日陰に移動するなどの暑さ対策をするとよいでしょう。
ツユクサの育て方のポイント
用土

ツユクサは道端に自生するほど強い植物なので、用土の種類も特にこだわる必要はありません。ただし、やや湿った環境を好むため、水はけ・水もちのよい土がおすすめです。
水やり

ツユクサは湿った土を好むので、土が乾燥している場合はたっぷりと水を与えましょう。地植えの場合、雨水だけでも基本的には問題ありませんが、夏の時期は水不足に注意が必要です。ただし、過湿は根腐れの原因となるため、土が乾いてからたっぷりと与えるように注意しましょう。
肥料

ツユクサは繁殖力が旺盛でやせ地でもよく育ち、地植えの場合は、基本的に肥料は必要ありません。鉢植えで栽培する場合や、地植えでも花を増やしたい場合は肥料を少量与えるとよいでしょう。
鉢植えの場合、葉の色が薄くなったときには液体肥料を与えます。花を増やしたい場合は、春と秋に緩効性肥料を月に1回、液体肥料なら月に3〜4回を目安に与えます。
注意する病害虫

【病気】
ツユクサはモザイク病に注意が必要です。感染すると、葉が濃淡のモザイク模様になったり、萎縮したりします。
この病気はアブラムシやアザミウマなどを介して感染し、薬剤は効果がありません。したがって、モザイク病が発生した場合は速やかに感染部位を抜き取って捨て、病気の拡大を防ぐことが重要です。
【害虫】
害虫の心配はほとんどありませんが、アブラムシやアザミウマはモザイク病を媒介することがあるので注意が必要です。
ツユクサの詳しい育て方
苗の選び方
ツユクサの苗は、他の一年草のように通年手に入りやすいものではありませんが、植物の専門店などの山野草コーナーで販売されていることがあります。一年草なので、花を楽しむなら春早めに入手したほうがよいでしょう。
種まき

ツユクサの種子が手に入ったら、4~5月に播きます。地面に直接播く直まきでも、1株ずつ育てられるビニールポットに播く方法でも問題ありません。種子を播いた後は土をかぶせず、乾燥しないように管理します。
植え付け

日当たり・水はけのよい場所に植えます。ツユクサの根はまっすぐ下に伸びるため、鉢で栽培する場合は6号以上のサイズで深さのあるものを選びましょう。繁殖力が旺盛ではびこりやすく、抜いても根から増えやすいので、地植えの場合はスペースに余裕がある場所や、はびこっても困らない場所を選んで植えましょう。
剪定・切り戻し

生育旺盛なので、繁茂しすぎた場合は抜き取って間引いたり、地面から2cmほどの位置でバッサリ切って草丈を抑えるようにするとよいでしょう
増やし方
ツユクサは挿し芽と種まきで増やせます。
【挿し芽】
ツユクサの挿し芽の適期は4月上旬~6月。茎を4節分切り取り、下の節が水に浸かるように水挿しにします。水を取り替えながら根が出るまで管理し、ある程度根が出たら植え付けて、しっかり根付くまでは明るい日陰で管理しましょう。
【種まき】
寒さにあてたほうが発芽しやすいため、花後すぐに採りまきにするか、冷蔵庫で保管して春に播きましょう。地植えの場合、こぼれ種でもよく増えます。
ツユクサを栽培する場合は増えすぎに注意が必要

ツユクサはその可愛らしい見た目とは裏腹に繁殖力が非常に強く、夏の強害雑草といわれるほど。ほかの植物を駆逐してしまう危険性があるため、近くに大切な草花がある場合は、ツユクサを取り除いたほうがよいでしょう。
ツユクサは可愛いけれど雑草! 駆除する方法

ツユクサは前述のとおり非常に繫殖力が強く、好ましくない場所に生えると厄介な植物です。ここからはツユクサを駆除するための方法について、詳しくご紹介します。
除草剤を使う

ツユクサは再生力が強く、駆除の際には、地上の茎や葉だけでなく、地下の根や種子も徹底的に除去する必要があります。除草剤に強い雑草とされているため、ツユクサに効果的な除草剤を選ぶことが大切です。
庭や畑で除草剤を使用する際には、周囲の草花を枯らさないように注意。周辺の環境や使用方法をよく確認し、適切に散布しましょう。
除草シートで予防する

ツユクサは、一度根付くと完全な駆除が大変になる場合があります。毎年除草剤を散布するのは現実的ではないため、繁茂するのを抑えたり雑草化を予防するのも一つの手段です。他の雑草と同様に、侵入を防ぐには防草シートで表土を覆うのも効果的。コンクリートを打つよりも安価に抑制することができます。また、防草シートは薬剤を何度も使わずに雑草を防ぐことができるため、ペットや子どもが遊ぶ場所でも安心です。
駆除する前に! ツユクサの意外な活用法

ツユクサは繫殖力が強いため、まずは駆除することを考えてしまうかもしれませんが、じつは観賞する以外にも使い道があるのをご存じでしょうか。ツユクサの活用方法をいくつかご紹介します。
色水遊びをする

美しい青色のツユクサの花は、染料としても利用されています。家庭では水の入った袋に数輪の花を入れて揉んで色水を作ったり、花を画用紙などに直接擦りつけて絵を描いたりして遊ぶことができます。
料理に使う

ツユクサは野菜として食べることもできます。おひたしや炒め物にしたり、新芽はサラダにも。また鮮やかな色合いの花は、料理やドリンクの飾りにもおすすめです。
ほったらかしでOK! ツユクサを育ててみよう

ツユクサは、丈夫で育てやすい反面、場所によっては強い繁殖力に悩まされてしまうケースもあります。しかし、鮮やかな青色の小さな花は可愛らしく、日本では古くから親しまれてきた、季節を告げる植物です。あらかじめ増えすぎに注意して管理すれば、シェードガーデンに涼しげな彩りを加えてくれる存在になることでしょう。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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