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- シェフレラは人気の高いグリーンインテリア! 育て方やトラブルの対処法を解説
樹形も葉のフォルムも美しく、育てやすい観葉植物として長く愛されてきたシェフレラ。温暖地であれば、庭植えにして楽しむことも可能です。ここでは、シェフレラの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、種類、育て方などについて、詳しくガイドします。
目次
シェフレラの基本情報
植物名:シェフレラ
学名:Schefflera
英名:Schefflera、umbrella tree
和名:フカノキ(鱶の木)
その他の名前:カポック、ホンコンカポック
科名:ウコギ科
属名:フカノキ属(シェフレラ属)
原産地:熱帯〜温帯
分類:常緑性樹木
シェフレラの学名はScheffleraで、学名がそのまま流通名になっています。カポックと呼ばれることもありますが、その名は本来アオイ科セイバ属のパンヤノキの名前で、葉の形が似ているために間違って広まったようです。和名はフカノキで、最も一般的な種類はヤドリフカノキの園芸品種‘ホンコン’です。
シェフレラはウコギ科シェフレラ属の常緑樹です。原産地は熱帯〜温帯で、約600種の分布が確認されています。種類によって性質もさまざまなので、購入する際には、ラベルなどで樹高や適した栽培法などを確認しておきましょう。暑さには強いものの、寒さにやや弱く、冬は暖かい場所で越冬させる必要があります。ただし、耐寒温度は0〜3℃ほどなので、関東以西の太平洋側など温暖地なら、凍結に注意すれば戸外での越冬も可能です。
樹高は自生地では3〜10mですが、剪定でコントロールしやすく、生育期であればどこで切ってもよいので、手に負えなくなる心配はほとんどありません。
シェフレラの花や葉の特徴
園芸分類:観葉植物
開花時期:5〜7月
樹高:0.1〜10m
耐寒性:弱い
耐暑性:強い
花色:白
シェフレラが花をつけるまでには、20年以上かかるといわれています。開花期は5〜7月で、白く小さな花を咲かせ、のちに実を結びます。葉は艶やかな楕円形で、放射状につき、種類によってグリーンの濃いもの、明るいものなどがあり、斑入り種も出回っています。
シェフレラの名前の由来や花言葉
シェフレラは学名で、ドイツの植物学者で医師のヨハン・ペーター・エルンスト・フォン・シェフラーへの献名です。和名のフカノキは漢字では鱶の木と書き、葉がフカ(大型のサメの俗称)の背びれに似ていることから名付けられたといわれます。また、ヤドリフカノキは着生して育つことに由来します。ただしほとんど和名では流通していません。
シェフレラの花言葉は「とても真面目」「実直」などです。
シェフレラの人気品種
シェフレラは人気の観葉植物だけに、さまざまな品種が出回っています。ここでは人気の高い品種についてご紹介します。
シェフレラ‘コンパクタ’
樹高を低く抑えた矮性品種。生育が遅く、コンパクトにまとまるのでインテリアグリーン向き。節間も詰まりやすく、どっしりとしたバランスのいい樹形も魅力です。葉の先が尖っていて自由に枝を伸ばす‘キング’と、丸い葉でスレンダーに伸びる‘クイーン’の2種があります。
シェフレラ‘ホンコン’
国内で流通しているシェフレラのうち、最もポピュラーな品種です。丸みを帯びた艶やかな葉のフォルムが美しく、環境に馴染みやすいのでビギナーでも育てやすいでしょう。
シェフレラ‘トリネッティ’
シェフレラ‘ホンコン’の斑入りです。葉に黄色い斑が入り、明るく見せてくれます。‘ホンコン’の丈夫さを引き継いだ、育てやすさも長所の一つです。
シェフレラの栽培12カ月カレンダー
開花時期:5〜7月
植え付け・植え替え:5〜9月
肥料:4〜11月
シェフレラの栽培環境
日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】基本的には日当たりがよく、風通しのよい場所を好みます。半日陰でも生育しますが、極端に日当たりが悪いと、葉色が冴えずに樹勢が衰えてくるので注意しましょう。
【日当たり/屋内】観葉植物としても人気の高いシェフレラは、耐陰性が高く、一年を通して屋内で栽培できます。ただし、日陰に長期間置くと軟弱になるので、半日陰くらいの場所に置き、ときどき直射日光に当てるようにしましょう。
【置き場所】水はけ、水もちのよいふかふかの土壌を好みます。
耐寒性・耐暑性
シェフレラは暑さに強い一方で寒さには弱く、耐寒温度は0〜3℃くらいです。霜や凍結にあうと枯死することがあるので注意します。関東以西の暖地では地植えのままでも越冬可能ですが、寒冷地で地植えにしている場合は、鉢に植え替えて室内の窓辺や温室などで冬越しさせましょう。暖かくなって外へ出す際に、強い日差しを直接浴びると葉が傷むことがありますが、徐々に慣らしていくとうまく順応します。
シェフレラの育て方のポイント
用土
【地植え】
苗を植え付ける1〜2週間前に、植え穴を40〜50cm四方掘ります。掘り上げた土に腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性肥料をよく混ぜて植え穴に戻し、ふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
観葉植物用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり
水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために枝葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えましょう。
真夏は、気温の高い昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。反対に、真冬は気温が十分に上がった日中に行います。夕方に水やりすると凍結の原因になるので避けてください。
【地植え】
根付いた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるのでほとんど不要です。ただし、雨が降らない日が続くようなら水やりをして補います。
【鉢植え】
日頃の水やりを忘れずに管理します。乾燥しやすい真夏は水を欲しがるので、水切れには注意しましょう。ただし、いつもジメジメした状態にしておくと、根腐れの原因になってしまうので注意。土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えてください。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料
【地植え】
4月頃に緩効性肥料を株の周囲に施し、軽く耕して土に馴染ませます。それ以降は、株に勢いがないようであれば、同様に追肥を施して様子を見ます。12月以降は肥料を切らしておきます。
【鉢植え】
4〜11月の生育期間には、2カ月に1度を目安に、緩効性肥料を株の周囲に施し、軽く耕して土に馴染ませます。
注意する病害虫
【病気】
あまり病気の心配はありませんが、まれにうどんこ病や炭そ病が発生することがあります。
うどんこ病は、カビによる伝染性の病気です。葉、新梢などに発生しやすく、表面が白く粉を吹いたような状態になり、放置するとどんどん広がって光合成ができなくなり、やがて枯死してしまいます。チッ素肥料を施しすぎたり、枝葉が繁茂しすぎて風通しが悪くなったりしていると、発病しやすくなります。うどんこ病が出たら病気の葉を摘み取って処分し、適用のある殺菌剤を葉の表と裏に散布して、蔓延するのを防ぎましょう。
炭疽病は、春や秋の長雨の頃に発生しやすくなります。カビが原因で発生する伝染性の病気で、葉に褐色で円形の斑点ができるのが特徴です。その後、葉に穴があき始め、やがて枯れ込んでいくので早期に対処することが大切です。斑点の部分に胞子ができ、雨の跳ね返りなどで周囲に蔓延していくので、被害を確認したらすぐに除去しましょう。密植すると発病しやすくなるので、茂りすぎたら葉を間引いて風通しよく管理してください。水やり時に株全体に水をかけると、泥の跳ね返りをきっかけに発症しやすくなるので、株元の表土を狙って与えるようにしましょう。
【害虫】
発生しやすい害虫は、ハダニ、カイガラムシなどです。
ハダニは、葉裏に寄生して吸汁する害虫です。体長は0.5mmほどと大変小さく、黄緑色や茶色い姿をしています。名前に「ダニ」がつきますが、クモの仲間です。高温で乾燥した環境を好み、梅雨明け以降に大発生しやすいので注意が必要。繁殖力が強く、被害が大きくなると、葉にクモの巣のような網が発生することもあります。ハダニは湿気を嫌うため、予防として高温乾燥期には葉裏にスプレーやシャワーなどで水をかけておくとよいでしょう。
カイガラムシは、ほとんどの庭木に発生しやすい害虫で、体長は2〜10mm。枝や幹などについて吸汁し、だんだんと木を弱らせていきます。また、カイガラムシの排泄物にすす病が発生して二次被害が起きることもあるので注意。硬い殻に覆われており、薬剤の効果があまり期待できないので、ハブラシなどでこすり落として駆除するとよいでしょう。
シェフレラの詳しい育て方
苗の選び方
病害虫の痕がなく、葉に厚みがあって大きく、枝がしっかりしている株を選びましょう。まだ小さな苗はあまり根が出ていないので、根付くまでは水切れに注意します。
植え付け・植え替え
シェフレラの植え付け適期は、5〜9月です。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に苗木の根鉢よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢を軽くくずして植え付けます。最後に、たっぷりと水やりします。
関東地方以西の太平洋側など、暖地ではそのまま越冬できますが、寒さに弱いので、寒冷地では秋に気温が下がってきたら鉢に植え替えて室内や温室に取り込みます。
【鉢植え】
入手した苗よりも1〜2回り大きいサイズの鉢を準備します。
用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れます。苗木を鉢に仮置きし、高さを決めたら、根鉢を軽くくずして植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと流れ出すまで、十分に水を与えましょう。
鉢植えの場合は、成長とともに根詰まりしてくるので、2年に1度は植え替えることが大切です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。鉢から株を取り出し、根鉢をくずして新しい培養土を使って植え直しましょう。
日常のお手入れ
【支柱の設置と誘引】
シェフレラは枝を旺盛に伸ばしますが、自身の重みで斜めに曲がるなどして樹形が乱れてくることがあります。支柱を立てて枝を誘引し、まっすぐ立つようにするとよいでしょう。
【剪定】
シェフレラの剪定適期は、5〜10月です。
生育期であれば、どこで切ってもかまいません。込み合って風通しが悪くなっている場所などがあれば、内側に向かって伸びている枝や交差している枝、弱々しくなっている枝などを選び、分岐している部分まで遡って切り取ります。大きくなりすぎて持て余すようであれば、思い切って小さくしたい高さまで切り戻してもOKです。剪定した枝は挿し木に利用できます。
【葉の手入れ】
観葉植物として室内で栽培している場合、葉にホコリなどがついて汚れていたら、適宜拭き取り、みずみずしい姿を保つとよいでしょう。ハダニが発生しやすい時期は、葉に霧吹きなどで水をかけると予防になります。
シェフレラの増やし方
シェフレラの増やし方は挿し木です。
挿し木とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し木ができないものもありますが、シェフレラは挿し木で増やせます。
挿し木の適期は、5月中旬〜9月です。新しく伸びた枝を10cmほど、切り口が斜めになるように切り取ります(挿し穂)。水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために挿し穂の下葉を半分くらい切り取りましょう。黒ポットを用意して新しい培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。明るい日陰に置いて適宜水やりをしながら管理し、発根して十分に育ったら植えたい場所へ定植しましょう。挿し木のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
シェフレラ栽培で起きやすいトラブルと対処法
シェフレラの栽培では、「葉色が冴えない」「大きくなりすぎて困っている」などのトラブルが発生しがち。ここでは、そうした問題への対処法についてご紹介します。
葉が黄色くなった
シェフレラの葉が黄色くなるのは、水切れしてしまったことが一番に考えられます。生育期は土が乾燥しすぎないように水の管理に注意しましょう。黄色くなった葉は再生しないので、元から切り落としておきます。また、ハダニが発生したことによるダメージであることも考えられるので、葉裏をチェックしてみましょう。ハダニを見つけたら、葉に霧吹きなどで水をかけて防除します。
大きくなりすぎた
シェフレラは旺盛に枝葉を伸ばして生育するので、持て余すこともあります。しかし、生育期の5〜10月であればどこで切ってもよいので、深めに切り戻して仕立て直すとよいでしょう。大きく切り戻した場合、葉が少なくなる分、蒸散量も少なくなるので、水を与えすぎないようにします。
シェフレラを飾って室内を爽やかな雰囲気に
葉のフォルムが美しく、インテリアグリーンとしても人気が高いシェフレラ。種類や品種が多様なので、リビングやベランダなどにマッチするものを選ぶといいですね。生活空間をシェフレラのみずみずしいグリーンで彩ってはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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