ハナアロエ(ブルビネ)はエキゾチックな花姿が魅力の多年草! 特徴や育て方を詳しく解説

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多数の花茎を伸ばした先端にオレンジ色の花を次々と咲かせるハナアロエは、春から秋まで庭を明るく彩ってくれます。この記事では、エキゾチックな雰囲気を持つハナアロエの基本情報や特徴、名前の由来や花言葉、近縁の仲間、育て方などについて、詳しくご紹介します。
目次
ハナアロエの基本情報

植物名:ハナアロエ
学名:Bulbine frutescens
英名:Bulbine frutescens、stalked bulbine、orange bulbine
和名:ハナアロエ(花蘆薈)
その他の名前:ブルビネ・フルテスケンス、イトアロエ
科名:ハナツルボ科
属名:ブルビネ属
原産地:南アフリカ
分類:宿根草(多年草)
ハナアロエの学名は、Bulbine frutescens (ブルビネ・フルテスケンス)。ハナツルボ科ブルビネ属の常緑性多年草に分類されています。ブルビネ属は約30種類が分布していることが確認されていますが、最もポピュラーに国内で流通しているのは、ハナアロエと呼ばれるフルテスケンス種です。「ハナアロエ」の名ではなく、「ブルビネ」として販売されることもあります。
原産地は南アフリカの乾燥地帯。夏の暑さに強い一方、寒さに弱い性質を持っています。また、多肉質の葉を持ち、多湿を嫌うのが特徴です。草丈は25〜60cmで、背丈の低い花と高い花との間をつなぎ、花壇の中段あたりで活躍します。
ハナアロエの花や葉の特徴

園芸分類:草花
開花時期:4〜11月
草丈:25〜60cm
耐寒性:やや弱い
耐暑性:強い
花色:オレンジ、黄、白
ハナアロエの開花期は、4〜11月です。花色はよく出回るオレンジのほか、黄、白など。一つひとつの花は1cmほどで小さいのですが、花茎を長く伸ばした先に次々と咲き上がっていきます。花は一日花ですが、1株から多数の花茎を伸ばして次々と咲き続けるので、庭に華やぎをもたらす存在感があります。葉は多肉質で細長く、地際から放射状に広げます。
ハナアロエの名前の由来や花言葉

一般的に浸透している「ハナアロエ」という名前は、アロエに似た葉を持ち、きれいな花をよく咲かせることからと推測できますが、詳細は不明とされています。学名の「ブルビネ」は、ラテン語で「球状の」という意味。球根植物ではありませんが、根元が丸いためにこの名前がつけられたとされています。「フルテスケンス」は「低木状の」という意味です。
ハナアロエの花言葉は「復活」「健康」などがあります。
ハナアロエの主な仲間

ブルビネ属で国内に流通しているのはほとんどがハナアロエですが、中には愛好家によりコレクションされている希少種もあります。ここでは、ブルビネ属の仲間をご紹介します。
ブルビネ・メセンブリアントイデス
南アフリカの半砂漠地帯の砂地や岩場に分布する半球根性の多肉植物です。草丈は4cmほどで、ぷくぷくとして透明感のある淡いグリーンの葉姿を観賞します。葉先にできる透明な部分から光を取り込んで光合成を行う性質があり、光に透かすと葉の中に神秘的なブルーが見えます。新芽の場合は、オレンジや黄色が見えることもあるようです。5月頃に細長い花茎を伸ばし、黄色い花を咲かせます。
ブルビネ・マルガレサエ
南アフリカ・西ケープ州が原産地で、岩盤が露出した岩場などに自生する多肉植物です。分厚い多肉質の葉をロゼット状に広げます。葉には網目のように美しい葉脈が見えるのが特徴です。草丈は4〜6cm。寒い季節に生育する冬型種です。花茎を長く伸ばして、レモンイエローの花を咲かせます。
ブルビネ・トルタ
南アフリカ北ケープ州の半砂漠地帯に自生。葉は、最初はまっすぐに伸びますが、よく日に当てるとくるくるとねじれ、針金のような細長い葉を放射状に伸ばすフォルムが特徴的です。冬型種で夏に休眠し、その前に小さなオレンジ色の花を咲かせます。
ハナアロエの栽培12カ月カレンダー
開花時期:4〜11月
植え付け・植え替え:4~5月、10月
肥料:3月、10月
ハナアロエの栽培環境

日当たり・置き場所
【日当たり/屋外】日当たり、風通しのよい場所で育てます。日当たりの悪い場所では、花つきが悪くなったり、ヒョロヒョロとしたか弱い茎葉が茂って草姿が間のびしたりするので注意しましょう。
【日当たり/屋内】屋外での栽培が基本ですが、寒さに弱いため、寒冷地では冬は軒下や日当たりのよい室内に取り込むとよいでしょう。
【置き場所】もともと乾燥した気候のもとで自生してきた植物で、日本の高温多湿の環境を嫌うので、水はけのよい土壌づくりをしておくことがポイントです。
耐寒性・耐暑性
暑さには強い一方で、冬の寒さには弱い性質をもっています。0℃くらいまでは耐えますが、凍結する場所での冬越しは難しいでしょう。関東以南の太平洋側の暖地で、ほとんど凍結することがない地域では地植えも可能です。寒冷地では鉢上げして温室や室内へ移動し、越年させてください。
ハナアロエの育て方のポイント
用土

【地植え】
苗を植え付ける1〜2週間前に、腐葉土や堆肥などの有機質資材と緩効性肥料を投入し、よく耕してふかふかの土をつくっておきます。水はけの悪い場所では、川砂やパーライトなどを施して土壌改良し、周囲より土を盛っておくとよいでしょう。土づくりをした後にしばらく時間をおくことで、分解が進んで土が熟成し、植え付け後の根張りがよくなります。
【鉢植え】
多肉植物の栽培用に配合された園芸用培養土を利用すると便利です。
水やり

水やりの際は、株が蒸れるのを防ぐために茎葉全体にかけるのではなく、株元の地面を狙って与えてください。
また、真夏は気温が上がっている昼間に与えると、すぐに水の温度が上がり株が弱ってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に行うことが大切です。
一方、真冬は気温が低くなる夕方に与えると凍結の原因になってしまうので、十分に気温が上がった真昼に行うようにしましょう。
【地植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いてあまりに乾燥し、株が消耗しているようであれば、水やりをして補います。
【鉢植え】
基本的に、植物を鉢栽培する場合は土の量が少なく乾燥しやすいために、日頃の水やりを忘れずに管理します。ただし、乾燥地帯原産のハナアロエは、多肉質の葉に水分を溜め込んで生命をつないできたため、多湿を嫌うので注意。いつも湿った状態にしていると根腐れの原因になってしまいます。土がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がしおれそうにだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
肥料

【地植え】
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。また、3月と10月に緩効性肥料を与えます。
【鉢植え】
植え付けの際に元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。また、4〜7月に2週間に1度を目安に液肥を与えて株の充実をはかります。
注意する病害虫
ハナアロエは、病害虫の発生の心配がほとんどない、育てやすい植物です。
ハナアロエの詳しい育て方
苗の選び方
苗を購入する際は、節間が短く茎ががっしりと締まって丈夫なものを選びましょう。
植え付け・植え替え

植え付けの適期は、4〜5月か10月頃です。花苗店などではほかの時期でも苗が出回っていることがあります。入手したら、植えたい場所へ早めに定植します。
【地植え】
土づくりをしておいた場所に、苗よりも1回り大きな穴を掘り、根鉢をくずさないように植え付けます。複数の苗を植え付ける場合は、30〜40cmの間隔を取りましょう。最後に、たっぷりと水やりします。
関東以南の凍結の心配がほとんどない暖地では、地植えして越年した場合、環境に合ってよく育っていれば植え替えの必要はありません。0℃以下になる寒冷地では、鉢に植え替えて霜の降りない軒下に置くか、温室か室内に入れて日当たりのよい窓辺などで管理するとよいでしょう。
【鉢植え】
まず、6〜7号の鉢を準備します。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから草花用の培養土を半分くらいまで入れましょう。苗を鉢の中に仮置きし、高さを決めたら根鉢を軽くほぐし、少しずつ土を入れて植え付けます。水やりの際にすぐあふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cm下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取っておいてください。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら培養土を足していきます。
鉢植えで楽しんでいる場合、成長とともに根詰まりして株の勢いが衰えてくるので、1〜2年に1度は植え替えることが大切です。植え替えの適期は、開花が終わった後の6月頃です。植え替え前に水やりを控えて土が乾いた状態で行うと、作業がしやすくなります。手始めに、草丈の半分くらいまで切り戻しておきましょう。そして鉢から株を取り出して根鉢をくずし、新しい培養土を使って植え直します。もっと大きく育てたい場合は、元の鉢よりも大きな鉢を準備し、軽く根鉢をくずす程度にして植え替えてください。
日常のお手入れ

【花がら摘み】
終わった花は、早めに花茎の付け根で摘み取りましょう。まめに花がらを摘んで株まわりを清潔に保つことで、病害虫の抑制につながりますよ! また、いつまでも花がらを残しておくと、種子をつけようとして株が消耗し、老化が早まって花数が少なくなってしまうので注意。花がらをまめに摘み取ると、次世代を残そうとして次から次に花がつき、長く咲き続けてくれます。
冬越し
【地植え】
凍結することがほとんどない暖地では、霜よけにバークチップなどを株元にマルチングしておくとよいでしょう。寒冷地では、鉢に植え替えて温室か日当たりのよい室内に置いて冬越しさせます。
【鉢植え】
凍結することがほとんどない暖地では、戸外の霜が降りない軒下などで越冬させます。寒冷地では、温室か室内の日当たりのよい窓辺などに置きましょう。
増やし方

ハナアロエは、株分け、挿し芽で増やすことができます。
【株分け】
株分けの適期は4〜5月か10月頃です。大きく育った株を掘り上げて、地際から出ている芽を4〜5本ずつ付けて根を切り分け、再び植え直しましょう。それらの株が再び大きく成長し、同じ姿の株が増えていくというわけです。
【挿し芽】
挿し芽とは、茎葉を切り取って地面に挿しておくと発根して生育を始める性質を生かして増やす方法です。植物の中には挿し芽ができないものもありますが、ハナアロエは挿し芽で増やせます。
挿し芽の適期は、5月頃か10月頃です。新しく伸びた茎に葉を3〜4枚つけ、切り口が斜めになるように切り取ります。採取した茎(挿し穂)は、水を張った容器に1時間ほどつけて水あげしておきましょう。その後、水の吸い上げと蒸散のバランスを取るために下葉を数枚切り取ります。黒ポットを用意して新しい草花用の培養土を入れ、水で十分に湿らせておきます。培養土に穴をあけ、穴に挿し穂を挿して土を押さえてください。発根するまでは明るい日陰に置いて乾燥させないように管理します。発根後は乾燥気味に管理し、成長して根が回ってきたら植えたい場所へ定植しましょう。挿し芽のメリットは、親株とまったく同じ性質を持ったクローンになることです。
ハナアロエが枯れる原因は?

ハナアロエは病害虫の発生が少なく、もともと強健な性質なので、ほとんど手がかからない草花の一です。それでも枯れてしまったならば、原因は「水やりのしすぎ」か「寒さ対策をしなかった」ことが考えられます。
もともと日当たりのよい乾燥地帯に自生してきた植物で、多肉質の葉を持っているのは、体内に水分を蓄える能力を備えて生命を維持してきたことによるもの。うって変わって日本は雨が多い多湿な環境です。「鉢で育てているから大丈夫」と思っていても、梅雨など雨の多い時期に雨ざらしの場所に置いていると、多湿のために株が弱ることがあります。ハナアロエは水の管理が一番のポイントで、鉢の土が乾ききって葉が少しだらんとしてきた頃に水やりするのを目安にするとよいでしょう。
また、ハナアロエは寒さに弱いということもポイントです。0℃以下になる地域では、戸外での冬越しは難しいので、必ず鉢に植え替えて室内か温室に移動しましょう。ハナアロエは常緑性の多年草ですが、冬に葉が傷んできたら「寒いです、SOS!」のサインと捉えてください。完全に枯れる前に、より暖かい場所に移動して越年させましょう。
ハナアロエの鮮やかな花を楽しもう

ハナアロエは強健な性質で、多湿と寒さにさえ気をつければよく育ち、開花期間も長いので重宝する草花の一つです。エキゾチックな花姿は、個性的な庭づくりにもぴったり。庭にハナアロエを植栽して、華やかな咲き姿を愛でてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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