レモンとゼラニウムの春先取りブレンド【おうちでアロマテラピー】
まだ寒さが続くこの時期、暖かな春の到来が待ち遠しいですね。今回取り上げる香りは、春に向けて心と体を活発にしてくれる、さわやかなレモンの香りです。ビタミンCたっぷりのレモンは食卓でお馴染みの果物ですが、実は、アロマテラピーの精油としても優れもの。輝く黄色の実が放つフレッシュな香りで、春を先取りしてみませんか。
目次
生命力あふれる果樹 レモン
レモン(Citrus limon)はインド北部を原産とする、ミカン科の常緑樹です。起源は古く、ヨーロッパへは中世に十字軍が持ち帰って、伝わりました。レモンは四季を通じて実をつけ、1本の木から100~150個の実が採れるという、生命力にあふれた植物で、大木になれば1,000個の実が採れることもあるといいます。
日本で流通する食用のレモンは米国産とチリ産で占められますが、果皮から抽出される精油は、イタリアのシチリア産のものが特に香り高いことで知られています。レモンは、頭をすっきりさせたい時にぴったりの香り。仕事や勉強の際に集中力を高めてくれ、また、考えが煮詰まった時にはリフレッシュしてくれます。それから、血流やリンパの流れをよくし、胃腸の働きを高めて消化を助ける作用もあります。
また、爽快なレモンの香りは殺菌作用にも優れています。レモンの精油を焚いて、寒い時期に溜まりがちの、室内の悪い空気をリフレッシュするのもよいでしょう。白血球の活動を活発にして免疫力を上げる作用もあるので、風邪の時に焚くのもオススメです。
背中を後押ししてくれるゼラニウム
ゼラニウム(Pelargonium graveolens)は、『クリスマス・ブレンド』の記事でもご紹介しましたが、心と体のバランスを整える働きがあります。寒い冬はどうしても室内にこもりがちになりますが、これから春に向けて前向きな気持ちになりたいもの。ゼラニウムは心身を安定させ、人生を楽しく過ごすお手伝いをしてくれる精油です。バラに似たゼラニウムの香りを焚いて、美しく、瑞々しい春を迎えましょう。
芳香浴レシピ:レモン3滴+ゼラニウム1滴+真正ラベンダー1滴
6~8畳のディフューザー用のレシピです。
さわやかなレモンの香りの中に、ゼラニウムの花の芳しさや、万能精油である真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)のハーバルな香りが漂います。春物の薄手のドレスのような、軽やかな香りを楽しんでくださいね。一日の始めに、心身のスイッチを入れる香りとしてぴったりなので、ぜひ午前中に使ってみてください。
レモンやオレンジなど柑橘系の精油は酸化が早いため、冷暗所に保管して、開封後3カ月以内に使い切るようにしましょう。
また、圧搾法で抽出された柑橘系の精油を、皮膚につけてから日光に当たると、炎症や湿疹、しみが発生することがあります。これは、精油に含まれるフロクマリン類の成分が紫外線と反応して起こるもので、光毒性といいます。今回の芳香浴では気にすることはありませんが、柑橘系の精油をオイルマッサージなど、肌につけて使う場合は注意が必要です。
*『おうちでアロマテラピー』シリーズ、その他のブレンドはこちら
『オレンジ・スイートのリラックス・ブレンド』
『ゼラニウムのクリスマス・ブレンド』
『ティートリーとユーカリの風邪対策ブレンド』
『イランイランとラベンダーのハートフルブレンド』
*精油はアロマテラピー専門店での購入が安心です。下記に取り扱い時の注意をまとめましたので、ぜひご一読ください。
〈精油を使用する際の注意〉
・ 原液を皮膚につけない。ついたらすぐ石鹸で洗い流す。
・飲用しない。目に入れない。
・火気に注意する。
・医師による治療や投薬を受けている場合は、必ず当該医療機関に相談する。
・3歳未満の乳幼児には芳香浴以外は行わない。また3歳以上であっても使用量を半分以下にし、十分注意を払う。
・高齢者、既往症のある方は半分以下の量を目安に。妊娠中は体調を考慮し、芳香浴以外のアロマテラピーを楽しむ場合は十分注意する。
〈精油の保管・保存について〉
・直射日光と湿気を避け、火気のない冷暗所に保管する。
・子どもやペットの手の届かないところへ保管し、誤飲に注意する。
・開封後1年以内を保存期間とし、柑橘系の精油は半年以下を目安にする。
・香りに異変を感じたら使わない。
〈精油の品質について〉
・次の内容を箱やラベル、使用説明書で確認できるものを選ぶ。ブランド名、品名、学名、抽出部分(位)、抽出方法、生産国(地)または原産国(地)、内容量、発売元または輸入元。
Photo/1) MNStudio/2) arxichtu4ki/3) aniana/4) Africa Studio/Shutterstock.com
〈参考文献〉
和田文緒(2008)『アロマテラピーの教科書』新星出版社
三上杏平(2008)『カラーグラフで読む精油の機能と効用―エッセンシャルオイルの作用と安全性を図解』フレグランスジャーナル社
林真一郎(2013)『ハーブと精油の基本事典』池田書店
太田奈月、監修:ロジャー・ルッツ、小平悦子(2014)『「アート」と「サイエンス」の両面から深く学び理解する香りの「精油事典」』BABジャパン
Credit
アドバイス / 髙畠美穂 - アロマテラピーインストラクター -
たかはた・みほ/公益社団法人 日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター。特定非営利活動法人 日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター。香りとクラシック音楽が大好き。
文/萩尾昌美
文 / 萩尾昌美
はぎお・まさみ/ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。20代の頃、ロンドンで働き、暮らすうちに、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するように。早稲田大学第一文学部卒。神奈川生まれ、2児の母。
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