豊富な栄養素をバランスよく含み、健康に気をつけている人にも近年人気の「甘酒」。米麹で作る甘酒は、じつは犬に与えても大丈夫な食材です。ひな祭りにも欠かせない自然な甘さの甘酒を手作りしてみませんか? ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、甘酒の作り方をご紹介。手作りの甘酒を使って、ほんのり甘い美味しいおやつ、きな粉蒸しパンも作りましょう。
目次
健康によく美味しい甘酒
犬が飲んでも大丈夫
近年、甘酒の人気がすっかり定着しています。
甘酒は、ブドウ糖やビタミンB群、アミノ酸など、人間が生きていくうえで欠かせない栄養素がバランスよく含まれているという素晴らしい飲み物。“飲む点滴”といわれていることは、よく耳にしますね。
甘酒には、米麹を使ったものと、酒粕とお砂糖を使ったものの2種類があります。米麹の甘酒はノンアルコールですので、お酒が苦手な方や妊婦さんも安心して飲むことができます。
そして甘酒は、犬が飲んでも大丈夫な食品です。もちろん、ノンアルコール・ノンシュガータイプの米麹甘酒のほう。犬専用の甘酒も販売されているんですよ。プレーンのほか、リンゴジュースやブルーベリーピューレとブレンドした甘酒もあります。我が家の愛犬あんにも、りんごの甘酒を試してもらいました。美味しそうですね。
甘酒は、特に、シニア犬の食欲促進や水分補給に効果的だといわれています。また、腸内環境を整えてくれる効果もあるので、肝臓の働きをサポートしたり、便秘や下痢の解消につながるところも嬉しいですね。
我が家の愛犬あんは、10歳になりました。食欲がないとか、元気がないなどということも増えてくるかもしれません。そんなときは、甘酒を活用していきたいと思っています。
カロリーに注意
甘酒は100gでおおよそ80kcal。ほかの飲み物、例えば、リンゴジュースは44kcal。比べると、甘酒はカロリーが高めの飲み物です。
甘酒を手作りする場合、基本となる材料は米麹と水(ぬるま湯)ですが、お粥(または炊いたご飯)を使う方法と、使わない方法があります。お粥を使う方法では、やはり糖質が高くなりますので、犬に与える場合は、米麹と水だけで作る方法がおすすめです。
ちなみに、米麹と水だけで作る甘酒は、“はや作り”といい、お粥(炊いたご飯)に米麹と水を加えて作る甘酒を“うす作り”といいます。はや作りは、麹本来の風味や甘味が味わえるのが特徴で、うす作りは、少なめの麹で美味しい甘酒ができ、麹特有の甘みがマイルドになるのが特徴です。
※犬に甘酒を与える際には、くれぐれも量に注意してください。疾患のある場合は、獣医師に相談の上で与えてください。
米麹甘酒を作ろう
お粥(または炊いたご飯)を使わない方法で作ります。ヨーグルトメーカーを使うと、簡単に作ることができます。
<材料>
- 米麹 200g
- 水(60℃以下のぬるま湯) 500ml
<作り方>
1.米麹を手でほぐし、バラバラにして容器に入れます。
2.水を加えて、よく混ぜます。
3.ヨーグルトメーカーにセットして、60℃6時間を目安にタイマーをかけます。60℃以上にならないように注意してください。
*つぶつぶが気になるようでしたら、ブレンダーで滑らかにしてください。
甘酒を犬に与える方法としては、そのまま飲用するほか、フードにトッピングしたり、プレーンヨーグルトとブレンドしたり、また、お肉を漬け込んで焼いてもよいそうです。パンケーキやクッキーなど、おやつに入れて使うのもいいですね。あんは、そのままではなかなか口にしませんが、甘酒に漬けたお肉や、おやつはよく食べます。
甘酒を使っておやつ作り
ほどよい優しい甘みの甘酒は、お菓子作りの材料としても利用できます。
今回は、甘酒入りきな粉の蒸しパンをご紹介します。混ぜるだけの簡単レシピです。
<材料>(カップ6個分)
- 甘酒 100g
- 卵 1個
- 薄力粉 80g
- きな粉 20g
- ベーキングパウダー 大さじ1/2
<作り方>
1. 卵をボールに入れて泡立てます。
2. 甘酒を入れて、よく混ぜます。
3. 粉類を合わせてふるい入れて混ぜます。
4. カップに生地を入れて、蒸籠に並べます。
5. 沸騰させておいた鍋に蒸籠をセットして蒸します。
6. 強火で13〜15分ほど蒸したら、竹串を挿してチェックします。
生地がついてこなければ出来上がり。
直径18cmの蒸籠にクッキングペーパーを敷いて蒸せば、大きなサイズの蒸しパンになります。
ひな祭りの白酒
ひな祭りの歌にも出てくるように、桃の節句には白酒がつきものですね。
白酒は、米麹と焼酎などを混ぜて仕込み、約1カ月間熟成させた後にすりつぶして作られたもので、アルコール度数は10%前後のりっぱな「お酒」です。子どもは飲むことができません。
同じように米麹で作る甘酒は、ノンアルコールでしかも一晩でできることから、昔から手作りの飲み物として親しまれて、ひな祭りにも取り入れられてきました。
桃の節句で白酒が飲まれるようになったのは、江戸時代のこと。平安時代の貴族たちは、桃花酒という、桃の花を盃に浮かべたお酒を楽しむ風習があったそうです。桃は百歳(ももとせ)に通じることから、諸病を取り払い、顔色を麗しくするということです。
桃の花は、丸くぽってりしていて、梅や桜とも少し違う趣があります。お酒に桃の花を浮かべるなんて、やはり平安貴族は風流ですね。
Credit
写真&文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -
うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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