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啓蟄(けいちつ)は時季を指す言葉! 旬の食べ物や見頃の花も解説

啓蟄(けいちつ)は時季を指す言葉! 旬の食べ物や見頃の花も解説

Tasak/Shutterstock.com

春が近づくと、「啓蟄(けいちつ)」という言葉を耳にする機会が多くなりますが、具体的にいつのことなのか、詳しくご存じでない方も多いのではないでしょうか。ここでは啓蟄とはどのようなものか、気候や旬を迎える食べ物、見頃の花などについて詳しくご紹介します。

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啓蟄の意味や二十四節気・七十二候について

3月
candy candy/Shutterstock.com

啓蟄という言葉は、もともとは陰暦で用いられるもので、二十四節気の一つ。まずは啓蟄という言葉の意味や、二十四節気、七十二候について解説します。

啓蟄の意味とは

春
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啓蟄の「啓」には「ひらく」「開放する」「夜が明ける」という意味が、「蟄」には「冬ごもりの虫が土の下にこもる」という意味があります。この漢字が示すとおり、啓蟄とは、冬ごもりしていた虫が外に這い出してくる頃をいい、二十四節気ではその日を指します。ただし虫だけでなく、ヘビやトカゲ、カエルなど、冬眠から覚めるすべての生き物が含まれます。

二十四節気とは

暦
Kwangmoozaa/Shutterstock.com

二十四節気とは、1年を24等分し、季節を表したもので、太陽の黄道上の動きを15度ずつに分けて決められています。1年を4つの季節に分け、その4つの季節をさらにそれぞれ6つに分けて、「節または節気」と「気(中または中気とも)」が交互にくるようになっています。

二十四節季では、春は「立春」から始まり、3番目に「啓蟄」がきます。啓蟄は太陽暦の3月の、5日か6日頃にあたります。5日か6日頃とあいまいになる理由は、二十四節気は、年によって1日程度前後することがあるためです。また、特定の日ではなく次にくる「春分」までの期間を指すこともあり、その場合は3月5日頃~3月20日頃にあたります。

七十二候とは

春
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七十二候(しちじゅうにこう)とは、1年を72等分したもので、二十四節気をさらに3分割したものです。それぞれの二十四節気には初候・次候・末候の3つの候があり、それぞれ草花や鳥、虫の様子などで表しています。

例えば、啓蟄も以下のように初候・次候・末候に分けられます。

初候は「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」で、すごもりしていた虫たちが外に出てくる時期です。次候は「桃始笑(ももはじめてさく)」で、桃がその年はじめて咲く時期です。末候は「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」で、冬を越した蝶の蛹が羽化してはばたく時期です。

啓蟄の頃の気候

春
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啓蟄の頃は雨が多く、この時期の雨を「菜種梅雨」や「催花雨」と呼びます。「菜種梅雨」は菜の花が咲く頃の雨で、「催花雨」は開花を促すような雨という意味です。

また、春の雷は「春雷」といい、特に啓蟄の頃の雷を「虫出しの雷」といいます。季節の変わり目で、気象の変化が激しく、風が吹く日もあります。この頃の穏やかな風を「春風」といい、強い風や激しい風を「春疾風」といいます。

啓蟄の頃を旬とする食べ物

食材
Luca Santilli/Shutterstock.com

季節の変化に目を向けるなら、同時に季節の恵みを目いっぱい味わいたいものですね。それでは、啓蟄の頃に旬を迎える食べ物にはどのようなものがあるのでしょうか。野菜や魚介類について、種類ごとにご紹介します。

うど

うど
YUMIK/Shutterstock.com

啓蟄の頃になると、スーパーなどで山ウドが出回り始めます。

ウドは部位別に調理すると、1本まるごと使いきることができます。穂先は炊き込みご飯の具材にしたり、天ぷら、すまし汁などに。茎は生のまま和え物やサラダにするほか、煮物や炒め物にも。皮は厚めにむいて千切りにし、きんぴらなどにするのもおすすめです。

山菜

山菜
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わらびはシダ植物の仲間で、葉が広がる前の、くるくると巻いている新芽を食べます。ちょっとした山や野でもたくさん採れる身近な山菜です。

ぜんまいもシダ植物で、時計のゼンマイのように渦巻き状に先が丸まった状態で発芽します。食べられる部分は丸く巻いた若い葉の茎です。

たけのこ

たけのこ
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たけのこは、竹の新芽の部分です。竹には70種類ほどありますが、そのうち芽が食べられるのは数種類です。竹の成長は非常に早いため、収穫できる期間はわずかです。

天ぷらやたけのこご飯などにして美味しく頂けます。

菜の花

菜の花
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菜の花は特定の種ではなく、アブラナ科アブラナ属の花やつぼみの総称です。店頭で菜の花として販売されているものの多くは、食用に開発された菜花(なばな)の花芽ですが、ハクサイやダイコンの花芽も同じように食べることができます。

ゆでて辛し和えやかき揚げ、菜の花ごはんなどにするのがおすすめです。

さより

さより
Taro_since2017/Shutterstock.com

魚介類では、さよりが旬を迎えます。啓蟄頃は産卵前のため、脂がのって味のよいものが流通します。

うま味があるため、お刺身や塩焼きなどにすると美味です。

はまぐり

はまぐり
HikoPhotography/Shutterstock.com

はまぐりの旬は2~4月です。はまぐりは2枚の殻がぴたりと重なることから、「夫婦和合」の意味で結婚などの祝い事の食材としても用いられてきました。また、ひな祭りの膳として定番のはまぐりのお吸い物は、食べると良縁を招くとされます。

お吸い物や酒蒸し、網焼きなど、いろいろな調理法で楽しめます。

啓蟄の頃の花

なずな
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ここからは、啓蟄の頃に見頃を迎える花についてご紹介します。

ジンチョウゲ

ジンチョウゲ
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ジンチョウゲは、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑低木で、原産地は中国です。

早春に小さな花が毬状になって枝先に咲き、よい香りを放ちます。

モモ

モモ
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モモは、バラ科モモ属の落葉高木です。春に花を咲かせ、夏に果実を実らせます。たくさんの品種があり、花の美しい品種は特にハナモモと呼ばれ、観賞用として愛されています。

ひな祭りにはモモの花を飾りますが、飾る理由はいくつかあります。まずは、ちょうどこの時期に咲く花であること。また、モモは中国では霊力のある木とされていたこと。さらに、実がお尻の形に似ていることから、安産や多産の象徴とされたことなどです。

スミレ

スミレ
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スミレは、スミレ科スミレ属の多年草の総称で、春先に紫色の小さな花を咲かせます。日本にも数多くの種類が自生しており、野山や街中でも見かけます。

カタバミ

カタバミ
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カタバミは、カタバミ科カタバミ属の植物の総称で、ハート形の葉に黄色い小さな花を咲かせます。晴れた日の午前中に花が開き、夕方には花弁を閉じ、葉も折りたたみます。日本でも道端や畑などあちこちに自生しています。

啓蟄は生き物たちが動き出す季節

春
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啓蟄は寒い冬から少しずつ暖かくなって、冬眠していた生き物たちが動き出す頃を指します。この時季に旬を迎える食べ物や花もたくさんありますので、ぜひ季節の移ろいを楽しんでみてはいかがでしょうか?

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