心と身体が温まる、アメリカ家庭の味「ブルーベリー&シナモンマフィン」

新しい年が始まる1月。庭や畑では春の芽吹きに備えて、植物たちが息をひそめています。私たち人間も、家の中でゆっくりと静かに過ごしたいこの季節。家庭的なお菓子をお供に、ほっと一息いれてみませんか。今回は、アメリカの家庭の味「ブルーベリー&シナモンマフィン」を、神奈川県葉山で旬の野菜を育て、植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんに教えていただきます。パパッと作れて洗い物も楽ちん。心と身体を温める作用を持つシナモンが香る、冬の日に嬉しいレシピです。
目次
ようこそ2024年、新しい一年のはじまり

クリスマスが過ぎ、年末年始と華やかなシーズンが終わり、ゆっくりと静かな時間が流れる1月と2月。庭や畑の植物たちも春を待ちわびて、静かに過ごしています。
日本古来の概念では「ハレとケ」があり、生活のバランスをとってきました。「ハレ」は折り目や節目となる特別な日で「非日常」。「ケ」は普段の「日常」のこと。これは陰陽思想であり「ハレとケ」は対立することなく、調和するものなのだと感じます。どちらもあるから、全体のバランスが「ほどよく」均等に保てる気がするのです。多分ね♡「禍福はあざなえる縄のごとし」という言葉のとおりに、災いと思えることも福に転じるし、福が災いとなっちゃうこともある。不運と幸運は、まるで縄をより合わせたように表裏一体ということです。つまりは、何があってもたどり着く場所は自分次第。

私にとって「しみじみ」と日々のありがたみを感じるのは、「ケ」であるいつもの日常を過ごしているとき。例えば、毎日の食卓。特別な材料ではなく、冷蔵庫にあるものでササッと作り、暖かい部屋で食べるご飯。家族やパートナー、一人でも幸せを感じるひとときです。
核家族化や、両親の共働き化が進み、大家族でワイワイ!なんて、「古き良き昭和」を絵に描いたような食卓とは、ほど遠い時代となってしまったかもしれません。
「お袋の味」は、いつからか「袋の味」(レトルトやパウチの袋のこと)となり、昔は手作りが当たり前だったのに、今となっては「手作り」って言葉は、どことなく特別な表現に聞こえてしまうこともしばしば。非常に残念なことです。
私にとって、料理とは「ラブレター」のようなもの。
大切な人に作る料理は、自然と相手の体調や好きな物を考えて材料を選びますよね。もちろん自分のためだけに作る場合もそう。そんなことを想いながら、1人キッチンで黙々と作業する様子が、まるで机に向かって筆を執る姿と重なるのです。手が込んでいる必要はありません。今回私がご紹介したいのは、気軽に作れる日常の「ケ」のマフィン。アメリカのお袋の味です。老婆心全開で、身体を温める作用があるスパイス「シナモン」も入れちゃうんだから!
アメリカのママの味「マフィン」

アメリカの家庭的なお菓子といえば、やっぱりマフィン。キャロットケーキやアップルパイ、チョコチップクッキーなどと並ぶ、母ちゃんの味「お袋系スイーツ」です。おやつはもちろん、朝ご飯やデザートにもなるので、とりあえず焼いておけば、みんながハッピー。

私自身も、アメリカのお菓子が大好き。アメリカ人の陽気で自由でおおらか(私の勝手な先入観)なイメージで、量も細かく計量しなくていいし、とりあえず混ぜて焼いちゃえ! みたいなテンションのレシピが多く、お手軽&お気軽。自由の女神が右手に掲げているのは、もしかしたらマフィンかもしれない! と思うほど、マフィンってものは、アメリカを代表する「おやつ」なのです。
イギリス式のマフィン「イングリッシュマフィン」

マフィンといえば、もう1つ。「イングリッシュマフィン」があります。エッグベネディクトに使われている、あのパン。某ハンバーガーショップのソーセージエッグマフィンにも使われています。アメリカのマフィンとの違いは? 見るからに、違いはあからさま。イングリッシュマフィンはパンです、パン。アメリカンなマフィンは、大体が甘く味付けされていて、どちらかといえばスイーツ。

大きな違いは、アメリカンマフィンはクイックブレッド、つまりベーキングパウダーで膨らませて、イングリッシュマフィンは酵母で膨らませています。ルーツを辿ると、どうやら「マフィン」の故郷はイギリス。アメリカへはイギリス系移民によって伝わったそうです。長い時間をかけて多様に進化した2種のマフィンなのです。
心も身体も温まるスパイス「シナモン」

日本でもおなじみのスパイス「シナモン」。「世界最古のスパイス」とも呼ばれ、甘くてエキゾチックな香りで世界中を虜にしています。
シナモンの香りを一言で表すとしたら「温かさ」。心がほぐれるような心地よい甘さは、精神面でのリラックス効果があり、疲れた心を温かく包んでくれるような香りです。
それだけではなく、身体にも嬉しい作用が♡ シナモンには血行促進作用があり、冷え性の改善も期待できます。身体を温め風邪の予防に役立つだけではなく、殺菌作用や解熱作用もあるので、風邪の初期症状に効果があるとされています。漢方では桂皮と呼ばれ、葛根湯に配合されているのも納得です。冬のお菓子作りには、香りも効能もバッチリ! なシナモンなのです。

シナモンとは、厳密には上品で繊細な香りのセイロンシナモンを指しますが、一般にシナモンと表記され販売されているものには、安価で香りの強いカシアシナモンが多いのも現状です。
シナモンの香りは日本でもニッキと呼ばれ昔から愛されていますが、じつはシナモンとニッキは似て非なるもの。どちらもクスノキ科の常緑樹ですが、セイロンシナモンはセイロンニッケイの幹の樹皮を乾燥させて使うのに対し、ニッキはシナニッケイの根っこの部分を使うのが特徴です。ニッキよりもシナモンのほうが甘い香りが強く、シナモンの独特な風味のもとであるオイゲノールという成分は、セイロン産のシナモンのみに含まれるもので、ニッキには含まれていません。難しいことはさておき、シナモンロールと八つ橋を食べ比べると、香りの違いがよく分かると思いますので、お試しあれ!
ホームメイドな「ブルーベリー&シナモンマフィン」

今回作るのは、いたって簡単&普通の家庭的なマフィン。クランブルやクリームのお飾りナシの、気張らない普段着のようなマフィンです。甘さも控えめなので、朝ご飯にもオススメです。必要なのはボウル2つ! 洗い物が少ないのも嬉しいポイント。材料も、何となく家にありそうなものばかり。あっという間にできちゃう、すぐにでもお試しいただきたいレシピです。
■材料 マフィン12個分

(粉チーム)
- 薄力粉 120g
- 強力粉 120g
- ベーキングパウダー 大さじ1
- 砂糖 100g
- 塩 ひとつまみ
- シナモン 小さじ1/4〜1/2
(液体チーム)
- 卵 2個
- 牛乳 90cc
- ヨーグルト 90g
- 植物油 120cc ※今回は米油
- 冷凍ブルーベリー 180g ※凍った状態で使う
■ 作り方
① 「粉チーム」の材料を全てボウルに入れ、ホイッパーなどでよく混ぜる。


② 別のボウルに「液体チーム」の材料をすべて入れて、よく混ぜる。

③ ②のボウルに①を加えて、ヘラなどでさっくり全体が合わさるように混ぜる。※混ぜすぎると膨らまなくなるので注意!多少は粉っぽさが残った状態で大丈夫。

④ 冷凍ブルーベリーはトッピング用に少し残して、③の生地にふわっと混ぜ合わせ、生地をマフィン型に入れる。最後にトッピング用のブルーベリーをのせ、180℃に予熱したオーブンで25〜30分焼く。※オーブンによって焼き時間を調整してください。焼きすぎに注意!


⑤ 焼き上がったら、型から出して完成! ※冷凍保存も可能です。食べるときは自然解凍してから、レンジなどですこーし温めると、ふわふわに。

甘さ控えめなので、お好みでお砂糖の量は調節してください。
マフィンは少し温めてバターを添えても。

通常であれば1日3回の食事をしている訳ですから、1週間では21回、1カ月では90回、1年ではなんと! 1,095回もの食事をしている計算になります。どひゃー!
「昨日なに食べた?」と聞かれても、恥ずかしながら反射的には口が動かず、「あれー?なんだっけ?んー?そうそう!あれあれ!」と脳みそにきちんと「問い合わせ」をしないと答えが出てきません。そのくらいに「食事」とは、毎日の流れ作業。

せっかくだから、今年はそんな毎日のルーティンにおさらば! 日記代わりに毎日食べたものを記録するのも面白そう! 毎日美味しいものが食べられるって、本当に幸せよね♡
まずは、簡単で身体も嬉しく美味しいこのマフィンを作ってみては??
ケケケ!と日常に感謝しながら、一口一口、一瞬一瞬を楽しむ2024年を♡
Credit
写真&文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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