冬に咲く花木、ウメを飾って楽しもう! ウメのアレンジを4タイプご紹介

冷たく冴えた冬の空気に似合う、凛としたウメの花。冬から早春にかけては、木に咲く花が多く見頃を迎えます。フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんが今回ご紹介するのは、ウメを主役にしたアレンジ4タイプ。ほかの花と合わせたり、ジャグに入れたり…「和」のイメージもある枝ものを、もっとラフに気軽に使って、季節のアレンジを楽しんでみましょう!
目次
冬を彩る花木たち

冬から早春に咲く花には、ウメ、ロウバイ、ツバキ、サザンカ、ボケ、ハクモクレンなど、木に咲く花が多くあります。寒さの中できれいな花を咲かせて、私たちを楽しませてくれますね。
お正月、実家の裏庭のロウバイの花が満開で、辺りにはよい香りが漂っていました。優しい香りと透けるような黄色の花弁が、冷たい空気の中でとても映えていました。
ロウバイもウメも、小さな花がぽっぽっと開き、派手さはないかもしれませんが、よく見ると可愛らしい花木です。冬枯れた景色の中で、明るい色の花にほっとします。

花木をメインにアレンジを

花木を使ったアレンジは、和のイメージをお持ちになる方が多いでしょうか。「生け花」らしくしないといけないかなとか、どんな花と組み合わせたらいいかな、など、迷ってしまうかもしれませんね。
「生け花」で使われている花木は、本数が少なくても存在感があって、その立ち姿がとてもかっこいいです。そんな「生け花」はとても素敵なのですが、もっともっとラフに気軽に花木を楽しめたらいいですよね。

ガラスの器に活けたり、ジャグに入れたり、洋の花と合わせたり、私はいつもと同じようにアレンジします。冬から早春にかけての今の時期は、フラワーショップにも花木が豊富にありますから、どしどし花木を取り入れたアレンジを楽しみましょう。
古来親しまれてきたウメの花

ウメは、バラ科サクラ属の落葉高木です。品種がとても多く、1月から3月、多くは早春に開花します。日本では、サクラと同じように広く親しまれている花木です。
ウメは奈良時代に中国から花木として渡来したとされ、万葉集の中でもウメを詠んだ歌がハギに次いで多いそうですよ。花見といえば今はサクラですが、その昔はウメが主役でした。今でも「梅まつり」を開催しているところはたくさんありますね。
タイプ別! ウメのアレンジ4選
ウメをメインにしたアレンジを4種類ご紹介します。
<ウメ+洋の花>

紅白のウメ、ロウバイ、ラナンキュラス、ハボタンを組み合わせました。

アレンジのポイントは、大きな器の中に、もう1つ小さな器を入れること。
大きな器には、花木と茎の太いハボタンを入れ、小さな器にはラナンキュラスを。こうして花材によって器を分けると、硬い枝と柔らかい茎が絡まず、華奢な花の茎が傷みません。さらに、花に合わせて水の量も調整できます。
【アレンジの手順】
- 大きな器の中に小さな器をセットして、それぞれに水を入れます。
大きな器には水をたっぷりと。小さな器には水を少なめに入れます。 - 枝ものを大きな器に入れます。
- ハボタンを大きな器に入れます。
- ラナンキュラスを小さな器に入れ、バランスを整えて出来上がり。

<ウメ+北欧の陶器>

ウメの枝だけでアレンジしました。紅白のウメを使って、枝ぶりはそのまま自由に活けます。
このアレンジに使った陶製の器は、ケーラーという北欧ブランドのもの。和のテイストにも洋のテイストにも、どちらにも似合います。
<ウメ+ガラスの器>

シンプルなガラスの器に、白梅だけをすっきりと活けました。枝が絡まないように入れていくのがコツです。
ガラスの透明感と白い花が、凛とした早春の雰囲気を強調しています。
<ウメ+ジャグ>

ジャグのようなカジュアルな器もいいですね。ウメにウグイスならぬ、ウメにブルーティット(アオガラ)のジャグで、可愛らしくまとめました。
アレンジに使った花は、次のとおり。
- ウメ(白)
- 薄紫のスイートピー
- アリウム・コワニー
- ゼラニウム
- ラナンキュラス
- オキザリスの葉

器の縁にくるよう花茎を短く切ったゼラニウム、オキザリスの葉をジャグに入れて、ウメの枝を入れます。アリウム・コワニー、スイートピーを、ウメの枝の間に入れて出来上がりです。
ウメをメインにしたアレンジを4種類ご紹介しました。和風なイメージの強い枝もののウメですが、器や合わせる花によって、ぐっとカジュアルな雰囲気になります。気軽にウメの花を楽しんでくださいね。
海外でも人気の「生け花」

私は、20年ほど前にハンガリーの首都ブダペストで暮らしていたことがあります。草月流の生け花を習い始めたのは、その当時。生け花の先生は、ブダペスト在住の日本の方で、生徒には私のような駐在中の日本人と、ちらほらと外国(私たち日本人から見て)の方がいました。
あるとき、大使館主催の日本文化を紹介するイベントで、先生が草月流生け花を披露されることになり、私もお手伝いをしたことがあります。現地のハンガリーの方はもちろん、駐在中のいろいろな国の方が参加されるイベントでしたが、首都ブダペストではなく、地方都市での開催。もしかしたら日本の「生け花」を初めて観たという方も多かったかもしれません。そんな中でも、先生は流暢なハンガリー語で説明をしながらデモンストレーションをし、観客のみなさんを魅了していました。
海外でも「生け花」に興味を持つ方が多いことに感心し、また嬉しく思いました。そして、異国で日本の文化を華麗に披露されている先生の姿は、とてもかっこよかったものです。私も日本人として、日本の生け花をしっかり習得しようと感じた思い出です。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -

うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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