二十四節気で10月23日頃のことを”霜降”といいます。この季節は、朝夕の気温がぐっと冷え込むようになり、地面に霜が降り始めます。朝早くに庭を歩いてみると、白く縁取られた植物が幻想的な風景を作り出しています。今回は、そんな季節の霜と植物の関係をご紹介します。
二十四節気 霜降 10月23日頃
霜と植物の関係
霜の朝の小さな悲劇
ナスタチウムは、まん丸い緑色の葉と黄色やオレンジの花色のコントラストが美しい一年草です。初夏から秋遅くまで、とても長く花壇を彩ってくれるので、毎年ぜひチョイスしたいガーデニングプランツのひとつ。
しかし10月下旬、寒さが日に日につのり、やがて霜が降りると、前日まであんなに見事に咲いていたナスタチウムは、葉も花もいっぺんに溶けたようになって、しおれてしまいます。霜の朝の庭で起きる小さな悲劇。冬が近いことをしみじみと実感させられるのが、そんな朝の出来事です。
霜は空気中の水蒸気が水になることなく、いきなり氷の結晶になって地表を覆います。霜が降りる条件は、気温が4℃以下になること。空気中の温度が4℃を下回る時には、地表の温度はさらに低く、氷点下になっていることもあります。寒さに弱い植物の鉢植えなどは、気温が4℃になる前に室内に取り込んでおくとよいでしょう。

寒さ大歓迎の野菜も
さて、霜は植物にとって悪いことばかりではありません。ほうれん草は霜や雪など寒さにあうと、凍らないように糖度をぐんと増して甘くなります。そんなほうれん草を「寒じめ」と呼びますが、さっとゆでて、おひたしにして食べれば、甘さと香りのよさに驚くこと間違いなしです。
また、霜が降りる頃になっても、年によっては家庭菜園でトマトがまだ実っていることがあります。けれども、気温が低く日照も弱いので、その青いトマトはもう赤く熟すことはありません。でも、だからといって捨ててしまうのはもったいないですね。青いトマトはピクルスやジャムなどにして美味しくいただけます。
青いトマトのピクルス
晩秋の畑で、完熟できない青いトマトをピクルスで美味しくいただきましょう。そのままでもいいし、ハンバーガーやサラダ、南蛮漬けなどの料理にもぴったりです。
青いトマトのピクルスの作り方
【材料】青いトマト、水、砂糖、酢、ローリエ、粒コショウ
- まず、ピクルス液を作ります。水、砂糖各200gに600〜700ccの酢を加え、小鍋で砂糖が溶けるまで加熱します。
- トマトを半分、または3つ割りにします。
- 煮沸した広口瓶に②を入れ、冷ましたピクルス液を注ぎ入れ、ローリエと粒コショウを加え、フタをして冷蔵庫に入れます。
- 3日目頃から食べられます。玉ねぎや人参など、ほかの野菜と漬け込んでもOKです。

「寒じめ」で甘くなる野菜

寒さに耐えて生き延びるために、冬は糖分が増えます。寒じめは、秋の初め頃に種をまき、その年の冬か翌春に収穫します。

「寒じめ小松菜」もほうれん草とほぼ同様に作ります。寒じめは甘くなるだけでなく、ビタミンやカロテノイドなどの栄養価も上がります。

「雪の下人参」と呼ばれるもので、秋に収穫せず雪の下で冬を越した人参です。糖度が普通の人参の2倍ともいわれる甘さ。

水分の多い大根も冬の間は糖分やビタミンなどを増やし、0℃になっても凍りません。冬栽培用に改良されたスの入りにくい品種などもあります。
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