【バジル大量消費】シナモンバジルの自家製ペーストで作る「ガパオ風ライス」

夏が終わっても、バジルはまだまだ収穫シーズン。株も大きくなり、収穫量も増えたはず。さまざまな調理法がありますが、今回はエスニックな食欲そそる「バジルペースト」を作り、「ガパオ風ライス」を作ります。ご飯だけではなく、唐揚げや焼きそば、サラダにも活躍する万能ペースト。今回使用するバジルはシナモンバジル。丈夫で育てやすく、甘くスパイシーな香りが特徴的です。スイートバジルでも代用可能! 夏の終わりのバジル大量消費におすすめのレシピをご紹介します。
夏が過ぎてもバジル熱

まだまだ懲りずに海水浴をしている私ですが、暦の上ではすっかり秋。
「夏が過ぎ風あざみ」の「風あざみ」という言葉は井上陽水さんの造語だそう。「あざみ」の花言葉は寂しく感じるワードが多く、夏休み後の少年の「虚無感」を表現しているのだとか。真意は知らないけれど、シェイクスピアのような言葉遊び。
きっとその少年たちも大人になり、夏休みが終われば次のお楽しみ「美味しい秋」が来ると知ったでしょう。

強烈に暑い夏を乗り越え、ハーブたちが冷静さを取り戻してきました。バジルは夏のハーブと思われがちですが、品種と育て方によっては秋が終わる頃まで収穫が続きます。我が家の畑では毎年10種類ほどのバジルを栽培しています。同じく畑をやる父との「夏の時事ネタ」は、もっぱらバジルに関して。暖かくなる頃にやってくる毎年恒例、父娘の「バジル熱」なのです。

一言にバジルと言えど、香りや形状はどれも違います。生では香りがイマイチなのがこの子、タイのホーリーバジル「ガパオ」です。一般的にバジルは加熱すると、香りが飛んでしまうのですが、このガパオは違います。加熱することで、ピリッ! スゥー! っとした、独特でスパイシーな爽快感が、ヤッホー! と登場するのです。
ガパオライスのバジル「ガパオ」

ここ20年くらいかしら? ジワジワと認知度が上昇してきた「ガパオライス」。バジルや挽肉を炒めて、ご飯にかけて食べるシンプルなタイ料理です。最近ではスーパーのレトルトコーナーにも並んでいるのを見かけます。
私とガパオライスの出会いは20歳の頃。学校の近くにあった「チャオバンブー」というタイ料理屋さん。あの衝撃的な出会いは今でもセンセーショナル♡ その後、いろんなお店でガパオライスを食べ、本場タイでも食べ比べましたが、それぞれに多少味が異なります。使うお肉も鶏や豚、挽肉や細かくぶつ切りにした肉、味も甘みがあったり、とても辛かったり。日本とタイ、ガパオライスの大きな違いは使用する「バジル」。本場タイでは「ガパオ」という種類のバジルが使われています。

日本で見かけるレシピでは、ほとんどがスイートバジルで代用されています。そもそもガパオライスなのに、違う種類のバジルを使ったらガパオライスではないじゃーん! という感じなのですが、日本では手に入りにくいので仕方がない。言葉と同様、料理も生き物のように変化するものだと、私は思っています。だって、伝言ゲームのようなもの。場所や時代で、味も作り方も変わっていきます。まぁ、それでもさ、いいじゃない。

余談ですが、私は日本食のレシピを海外サイトで検索するのが好きです。なぜなら、日本人の想像を超える独自の進化をしているから。例えば、「SUSHI SANDWICH(寿司サンドイッチ)」。これ何のことかとおもったら「おにぎらず」のことでした。中に入れる具も、カラフルなビーツや胡麻をびっしりと絡めて揚げた豆腐カツなど、日本人の普通の感覚とは違ったもので興味深く、インスピレーションとしても重宝します。

他にも「SUSHI BAKE(寿司ベイク)」はハワイアンスタイル。オーブンディッシュにお米を敷き詰めて、その上にマヨネーズで和えたカニかまやクリームチーズ、アボカド、そしてふりかけをかけてオーブンで焼く料理です。仕上げにピリッとしたソースをかける場合も。伝統的な日本料理ではないですが、オープンマインドでクリエイティブ! 独自に発展を遂げた料理には捕われない自由さを感じます。
というわけで、今回は本場のバジル「ガパオ」ではなく、私の畑でスクスク育っているシナモンバジルが主役です。
スパイシーで甘い「シナモンバジル」

私が育てている数多くのバジルの中でも、香りのトップを争うのが「シナモンバジル」。メキシコ出身の品種で、シナモンに含まれる「桂皮酸メチル」と言う成分が含まれているそう。んー、シナモンの香りとはちょっと別物? って感じですが、シナモンバジル特有の、スパイシーさを纏った甘い香りはなんだか高貴。

一般的なスイートバジルの葉よりも葉先が尖った形状です。茎が紫色で太め、とっても丈夫な種類です。他のバジルよりも枝分かれしやすく、縦にも横にも大きく立派に育ちます。茎葉の成長が旺盛なので、こまめに摘心するのが面倒な方にもおすすめ。
そうなの、この子たちは1株に対して、他のバジルより収穫量が多いのです。お水に入れてハーブウォーターにしたり、サラダのアクセントに使ったり、シロップも作りましたが、まだまだ手に余る。だったらこれでガパオ風ペーストを作ってみよう! と勢いで始まった私の「ガパオ風ライスを食べまくる物語2023夏」。とっても美味しくできたので、みなさんにもこっそり公開しちゃいます。
シナモンバジルのエスニックな自家製バジルペースト

今回、私はシナモンバジルを使いますが、正直なところ、どの種類のバジルでも構いません。スイートバジル、ブッシュバジル、タイバジルなどなど。今回の目的はバジルの大量消費! もちろん風味は多少変わりますが、ネバーマインド!
本場のガパオライスとは少し違うかもしれませんが、美味しく楽しく自由にやりましょう。必ず使ってほしいのがフレッシュな青唐辛子。後を引かない、さっぱりと爽快な辛みが隠し味です。知らず知らずのうちに血行促進、頭皮の毛穴が開き、第7チャクラもおっ広げ〜! な美味しさなのです。
材料(仕上がり時、約240ccのペースト量)

- バジル 手のひらから溢れるほど ※今回は茎から外した状態で60g、適当で大丈夫!
- オイスターソース 大さじ6
- ナンプラー 大さじ4
- 砂糖 大さじ1
- 油 大さじ3
- 青唐辛子 5〜10本 ※5本くらいなら辛い物が苦手な大人でも大丈夫そう
- ニンニク 3片
■ 作り方
① 青唐辛子のヘタは切り、バジルの固い茎部分を外す。

② 材料全てをブレンダ−に入れ、撹拌する。


※保存は冷蔵で1週間程度。すぐ使わない場合は冷凍保存。
自家製バジルペーストで作るガパオ風ライス

先ほど作ったペーストを使い、ガパオ風ライスを作りましょう。通常のガパオライスではペーストは使わず、炒めながら調味料を加えていきますが、このペーストを使えば味付けも簡単! 薄味や濃い味の調整も簡単です。せっかくの作るのだから、パプリカやピーマンを使いカラフルに仕上げました。ナスやキノコでも美味しいです。
材料(約3人前)

- ひき肉(鶏や豚) 400g ※今回は豚ひき肉を使用
- 玉ねぎ 1/2個
- パプリカやピーマン 1/2個
- 自家製バジルペースト 大さじ3ほど
- 水 大さじ3ほど
- 飾り用のバジル 適量
- お米(ジャスミンライスがおすすめ) 適量
- 卵 人数分
■ 作り方
① 玉ねぎは荒いみじん切りに、パプリカは厚めにスライスする。

② フライパンに多めの油(分量外)を熱々に熱して、目玉焼きを作り、取り出す。

③ 先ほどのフライパンでひき肉を炒め、7割ほど火が通ったら、自家製バジルペーストと水を加えてよく混ぜ、玉ねぎを加えて炒める。

④ パプリカを加えて炒め、味が濃いようなら水を足す。

⑤ お米と一緒にお皿に盛りつけて、フレッシュなバジルを添えて完成!

エスニックな自家製バジルペースト活用法

このペースト、他にもいろいろと使えそう! と思い、試しに唐揚げにしてみました。今回使ったのは鶏のささみ。他の部位でも構いません。適当にカットしたお肉に自家製バジルペーストを絡めて、一晩冷蔵庫でマリネ。翌日、小麦粉とコーンスターチの衣でカラッと揚げてみました。あら! ニンニクの香りやオイスターソースのコクが染み込み、こりゃ旨い! お米がドンドン進んじゃう。濃い味なのでビールのお供にもどうぞ。

他にも焼きそばのソースや、炒飯の味付けにもよさそうです。夏の終わりに作って冷凍庫で保存しておけば、いつでも楽しめちゃう、便利ペースト。かなりパンチが強いですが、叩きキュウリのタレにもどうぞ。

シナモンバジルは丈夫でとっても育てやすい品種です。苗や種子、どちらも比較的手に入りやすいので、来年はぜひお試しを。もぅ本当っ! いい香りなのです。画面越しに香りをお届けできないのが残念無念。百聞は一見にしかず♡ 毎日五感をフル活用。楽しく育てたハーブを美味しくいただき、芸術的に食欲の秋をエンジョイしましょ。
Credit
制作・レシピ・写真・文 / ルーシー恩田

ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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