日本人の暮らしの中で、古くから親しまれ活用されてきた「ユズ」。食はもちろん、江戸時代から冬至には湯船にユズを浮かべ、ゆず湯で身と心を温めてきました。また、香り高いユズは食卓でも大活躍。簡単につくれるユズのはちみつ漬けとユズコショウの作り方をご紹介します。
目次
いろいろ使える! ユズのはちみつ漬けの作り方
ユズは香りづけに使うことが多く、なかなか料理のレパートリーが広がらないという方にオススメなのが、ユズのはちみつ漬け。シンプルだけど、ユズが丸ごと使えるうえ、アレンジ次第でいろいろな飲み物や食べ物に活躍します。風邪予防にも適しているので、乾燥した寒い冬にぴったりです。水や炭酸水で割って飲むとスッキリ、爽やか。お湯で割れば、心も体も温めてくれる香り豊かなホットドリンクが楽しめます。また、砂糖がわりにヨーグルトや紅茶に加えてもおいしいですよ。さらに、切り方を変えて、ユズを薄切りにして漬ければ、皮ごと食べられるので、お茶うけに出しても。保存は、冷蔵庫で約3週間。お早めにお召し上がりください。
<材料>
ユズ200g、はちみつ200g
※分量は目安です。ぜひ、自分好みのユズとはちみつの割り合いを見つけてください。
<作り方>
- ユズをよく洗い、水気をふき取り、6等分のくし型に切る。
- 清潔な保存瓶に、1のユズ、はちみつを入れ、ふたをしたら瓶を振り、ユズとはちみつをなじませる。
- ユズがしんなりしてきたら、出来上がり。
肉にも魚にもパスタにも合う!
ピリリと辛いユズコショウ
おでんや鍋、焼き鳥などの薬味として使われるユズコショウ。青ユズで作るのが一般的ですが、熟した黄色い果皮のものでも美味しいユズコショウを作ることができますよ。ユズコショウの「コショウ」とは青唐辛子のことで、ユズコショウが生まれた九州地方の一部や長野県では昔から唐辛子をコショウと呼んでいます。青唐辛子の種類はいくつもあり、今回使ったのは園芸家の岡崎英生さんが長野のクラインガルテンの畑で育てたコショウ。この地方で育てられているコショウ(青唐辛子)は一般的にスーパーで販売されているものより辛みが強く、一片で口の中がビリビリする辛さ。中にはハラペーニョを使って激辛のユズコショウを作る人もいますが、青唐辛子の辛みに応じて入れる分量を調節してください。作り方をご紹介します。
<材料>
ユズの皮200g(なるべく薄く剥く)、青唐辛子200g(辛みに応じて分量を調節)、塩80g、ユズの絞り汁2個分(ユズの大きさによって量を調節)
<作り方>
グラインダーなどに材料を3回くらいに分けて入れ、ペースト状になるまで撹拌したら完成。ペースト状になりにくい時は、ユズの絞り汁を追加してください。煮沸した瓶に詰めて冷蔵庫で保存します。直後から美味しくいただけます。
ユズコショウは和風の料理はもちろん、サラダのドレッシングに混ぜたり、パスタの調味料として使っても美味。爽やかな辛みと香りがくせになりますよ。
冬至だけではもったいない!
美肌効果抜群のゆず湯
ユズは食はもちろん、日本の暮らしの中に浸透している果実です。江戸時代から冬至には湯船にユズを浮かべ、ゆず湯で身と心を温めてきました。ゆず湯は元々、「ユズ」は「融通(ゆうずう)が利く」、そして「冬至」は「湯治(とうじ)」と語呂遊びが始まりといわれます。また、昔は香りの高いゆず湯に入ることで身を清め、邪気を払うという理由もあったようです。さらに、ゆず湯に浸かると風邪をひかないともいわれ、長くゆず湯は日本人に愛されてきたのです。この風邪をひかないというのは、あながちただの言い伝えではなく、ユズの成分には血行促進や免疫力を高める効果があるとされ、風邪予防につながります。
また、湯船にぷかぷかと浮かんだユズの姿は、目にも楽しく、さらに、ユズは温められるとより強く香りを放ちます。この香りには、リラックス効果やダイエット効果があるといわれていますし、さらに、ユズに含まれるビタンミンCの量はレモン以上で、特に果皮にはたくさんのビタミンCが含まれています。このビタミンCが湯に溶けだし、美肌効果も得られるというから驚きです。ぜひ、冬至だけでなく、冬場はゆず湯に浸かりたいものです。
自宅でゆず湯に入る時は、まるごとぷかぷかと浮かべてもよいですし、より香りを楽しみたい方は、カットしてガーゼや目の細かいネットに入れて、湯船に浮かべてください。肌の弱い方は、肌がピリピリとする場合があるので、少量で様子を見ながら試してください。肌に合わない方は、浴室に置いて香りだけを楽しむこともできます。ちなみに、ゆず湯は、次の日の洗濯に利用することも可能です。
桃栗3年、柿8年、柚子の大馬鹿18年
ユズは、高知県や徳島県など温暖な四国地方での生産が有名ですが、かんきつ類の中ではとりわけ寒さに強く、東北地方でも育てることができます。さらに、病虫害にも強いため、庭木としてもなじみ深い果樹の一つです。青々と葉をしげらせ、黄色くころんとした実をつける姿は、少し寂しくなった冬の庭に元気をくれます。
しかし、「桃栗3年、柿8年、柚子の大馬鹿18年」という言葉をご存じでしょうか? ユズは、タネを播いても、果実をつけるまでに10年以上かかってしまうほど成長がゆっくりな果樹であることをいっています。庭先でよく目にするユズの木ですが、そんなに長い時間をかけて少しずつ成長し、実を結んだと思うと感慨深いものがあります。
これからユズを庭に植えたいけれど、もう少し早く果実を収穫したいという方は、接ぎ木苗を選んでください。接ぎ木苗から順調に育てれば、3~5年で果実を収穫することができます。ユズは、一本あれば自家結実し、実を結んでくれます。庭にユズの木があれば、気軽にごはんやバスタイムを爽やかに演出できるのがうれしいですね。また、未熟な青ユズの時から果汁を活用することができるので、摘果を兼ねて果実を収穫するのもオススメです。収穫する時は、大きなトゲで手を怪我しないように気を付けてください。果実は、冬場であれば室内で1週間くらい保存できますが、香りを失わないうちに早めに活用しましょう。
Credit
文 / 大塚弥生 - ライター -
おおつか・やよい/東京農業大学卒業後、ガーデン誌やライフスタイル誌の編集部などを経て、現在フリーで活動。九州地方で二人の子育てをしながら、園芸ライフに関する記事をGarden Storyなどで執筆。
写真(表記以外) / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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