さまざまな果実が実る6月。中でも梅は、この季節を代表するような存在ですね。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、この季節に楽しみにしているのが、梅仕事。自宅で採れる梅で作る自家製の梅干しやジャムなど、酸味が効いた爽やかな味わいは、残念ながら犬にはNGですが、人間にとってはごちそうです。梅雨に熟す梅を使って、季節を閉じ込めた保存食をいろいろ作っておけば、一年を通して楽しめますよ。
梅の季節
6月は梅の季節です。
出始めの頃は、青々とした少し硬めの青梅。だんだん黄色に色づいて香りも豊かになり、終盤では、オレンジ色がかかったよく熟した柔らかい梅へと変化していきます。
6月は熟し加減によって、青梅は梅酒に、黄色は梅干しに、超熟の梅はジャムにと、いろいろな方法で楽しめます。
実家には梅の木があります。梅干しにちょうどいいタイミングで収穫しようと、母は毎日梅の木を見上げています。この1本の梅の木で、3kgほどの実が収穫できます。わりと大きな実なのですが、無農薬なので、傷があったり斑点もあります。でもおいしい梅干しになりますから、キズありでも大切な1個です。
母の梅仕事
母は毎年10kgほどの梅干しを漬けます。これで1年分足りるかどうかです。一番消費するのは父で、朝夕食に1個以上食べ、お昼には母のにぎる梅干し入りのおにぎりを食べます。やはり10kgではギリギリです。
もっと若い頃は15〜20kgほど漬けていましたが、母も高齢になり「もう10kgがやっとになっちゃった」と言いながら、せっせと作業をしています。
私も母の梅仕事を手伝います。愛犬あんも庭に出てきて、何をやっているのかなと興味津々で近づいてきます。そうなると、私はあんと一緒に梅を眺めたり、写真を撮ったりでサボってばかり。ですので、あまり母の助けにはなりません。梅仕事引退宣言の日まで、母にはまだまだ頑張ってもらわないと。
梅干しを作ろう
梅干しは各ご家庭のレシピがあるかと思います。母が作る梅干しは、塩分15%です。
材料は、カメ1つ分で、梅5kg。梅1kgに対して塩150gなので、5kg分で750gの塩が必要です。
作り方は、洗った梅を半日ほど水に浸けておいた後、大きなザルに広げて乾かします。水気が取れたら、梅→塩→梅の順番でカメに入れていきます。落とし蓋をして、上に4〜5kgほどの重石を2個乗せます。1週間ほどして水(梅酢)が上がってきたら、重石を1個に減らします。
この段階(塩漬けしただけ)でも食べられます。じつは、私は赤い梅干しよりも、この黄色の梅干しのほうが好きです。梅の香りがして、とっても爽やか。この黄色の梅干しのおにぎりは最高においしいのです!
この後は、赤シソを入れて、赤い梅干しに仕上げていきます。
梅ジャムを作ろう
梅は梅干し以外でも、梅シロップ、梅の甘露煮、梅酒など、いろいろな方法で楽しむことができますが、私は梅ジャムが好きで、梅干し漬けのあと、完熟してきた梅で作ります。
梅ジャムはその日のうちに完成するので、一番手軽にできます。
材料は、梅と砂糖だけ。作り方は、鍋に梅とひたひたくらいの水を入れて火にかけ、果肉が柔らかくなるまで、アクを取りながらぐつぐつ煮ます。煮ながら、種も取り除きましょう。果肉がトロトロになったら、砂糖を加えます。味見をして、お好みの甘さにしたら、出来上がりです。
梅ジャムは、酸味が強くてすっきりとした美味しさです。酸っぱさが梅ジャムらしくて、私は大好きです。パンのおともだけでなく、お湯割り、ソーダ割りもおすすめです。
犬のしっぽの振り方
梅仕事の手伝いに行ったとき、父から新聞の切り抜きを渡されました。
いつごろの新聞か分からないけれど、私に見せようと思ってしまいこんだまま、忘れていたそうです。
その切り抜きは、「しっぽ右振り 友情の証し?各国で犬の研究進む」というもの。
「AIを用いて、ビーグル犬10匹のしっぽの揺れ方を調査、揺れ幅やスピードなど約2万1千回の動きを分析。その結果、心を開いた人にはしっぽを右方向に片寄らせて振る。」また、「運動と認知症の関係を調べたりと、各国で犬の研究が相次いでいて、ペットとの生活が高齢者の健康に良い影響を与えるといったデータもあり、家族にとって“オンリーワン”の存在が科学的に解明されつつある」という内容でした。
この記事を読んだ後、我が家の愛犬あんのしっぽをこっそり観察するようになりました。もし、あんがしっぽを左に寄せて振ったらショックです。まぁ、そんなことはないと思いますが、ちょっと気になりました。
そうそう、梅ですが、犬には与えないほうがよいとされています。梅干しにはたっぷりの塩、シロップ漬けはたっぷりの砂糖。梅酒ももちろんNGです。生梅や種をかじったり、誤飲したりしないように、梅仕事をする際には十分注意してくださいね。
Credit
写真&文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -
うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
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