二十四節気で9月23日頃のことを”秋分”といいます。日中はまだまだ厳しい暑さが残るこの季節。朝夕には秋を感じる風が吹き始めています。咲き競う花々の主役も、次第に初秋の花へ移ろっていきます。秋の訪れを告げるこの季節に咲く七草をご紹介します。
目次
二十四節気 秋分 9月23日頃
日本の秋の野を彩る七草
秋の七草をご存じでしょうか。七草粥の行事で有名な春の七草に比べ、知っている人は少数派かもしれません。秋の七草は、万葉集で山上憶良が詠んだ次の2首に由来するといわれます。
秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花
萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花
ここに登場する7種の花が一般に秋の七草といわれています。ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ… のどれも夏の終わり頃には咲き始め、秋の訪れを告げる初秋の花です。華やかでエネルギーに満ちた盛夏の花に比べ、控えめで楚々とした雰囲気ですが、秋の景色を見渡すとあちらこちらに色彩がちりばめられていることに気づきます。紅葉狩りのイメージが強い秋ですが、可憐な野の花々の美しさも引けをとりません。

夏の終わり、朝夕に涼しさを感じる頃になったら、秋の七草を探しに野山に出かけてみましょう。秋の七草は古くから親しまれてきた花ばかりなので、注意してみると、意外と身近な場所でも見つけることができます。また、ハギのトンネルが有名な向島百花園や、仙石原のススキ草原など、それぞれの名所を訪れるのも楽しいものです。旅する蝶、アサギマダラが訪れる花としても知られるフジバカマの群落に足を運べば、透き通った水色の羽をもつ蝶たちが舞う姿が見られるかもしれません。
柔らかく風に揺れる姿が美しい秋の花は、ナチュラルなガーデン風景の演出にもピッタリです。日本の気候風土に合った植物なので、庭植えにするとほとんど手を掛けなくても元気に育つのも大きな魅力。ガーデンに取り入れれば、たおやかな秋の風情を味わうことができます。


秋のお月見を楽しもう
秋の庭で咲かせた草花は、景色として眺めて楽しむのはもちろん、生活の中に取り入れるとさらに季節を感じることができます。空気が澄んで、月が美しく見える秋には、ススキの穂を飾ってお月見を。柔らかな穂を透かして見る月は、いつもよりちょっぴり大きく、特別に見えます。かたわらには、まん丸のお団子や秋の和菓子を用意して、家族の時間を楽しみませんか?
ドライにすると甘い香りが広がるフジバカマは、匂い袋に仕立ててみましょう。お出かけの時に懐に忍ばせれば、ほんのりと上品な香りが立ち上ります。
匂い袋の作り方
- 収穫したフジバカマを陰干しで乾燥させます。
- 完全に乾燥したら、こぼれないように不織布で包みます。
お茶の小分けパックを使うと簡単。 - 巾着袋など、お好きな袋に入れたら出来上がりです。

庭植えにオススメ秋の七草

キキョウ
Platycodon grandiflorus
キキョウ科キキョウ属
花形の美しさから、家紋としても愛された花。風通しのよい日向を好み、熟した種で増やすこともできます。

フジバカマ
Eupatorium japonicum
キク科ヒヨドリバナ属
小さな花を無数に咲かせ、控えめな美しさ。アサギマダラが訪れる花としても有名です。

カワラナデシコ
Dianthus superbus var. longicalycinus
ナデシコ科ナデシコ属
繊細な花弁の切り込みが魅力的。寒さに強くほとんど手を掛けなくても美しい花を咲かせます。

ハギ
Lespedeza thunbergii
マメ科 ハギ属
長く枝垂れた枝にたくさん花が咲き、風に揺れる姿が美しい。大きく育つので、植える場所には注意が必要です。
併せて読みたい
・【秋の七草】女郎花の育て方! 自分で育てて女郎花を観賞しよう
・庭で育てられる野の花「秋の七草」の種類
・秋を告げる花を探そう! 9月に咲く人気の花20選
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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