花々が咲く自宅の庭で、本格的なアフタヌーンティーを楽しめたら、なんて素敵。そんなあなたの秘めたる願いを叶えるべく、イギリス仕込みのお茶会の開き方を、イギリス菓子研究家でパティシエのThe Pudding Party Tomoさんに教えていただきます。これを読めば、お茶会の準備が手際よくできますよ。アフタヌーンティー特別講座、始まります!
自宅の庭で開く特別なお茶会

みなさん、こんにちは。先日、とっても素敵なお庭でアフタヌーンティーをする機会をいただいたので、その様子をご紹介します。
ホテルでのアフタヌーンティーも素敵ですが、自宅でわいわい、友達を呼んで楽しむお茶が、私は大好きです。今回、私はサンドイッチと焼き菓子をたくさん用意して、集まってくれた友人に、イギリス仕込みの本格的なアフタヌーンティーを楽しんでもらうことにしました。とはいえ、スコーンをはじめ、お菓子は私がこれまでご紹介してきたものがほとんど。ご家庭で気軽に焼いていただけるものばかりです。イギリスののどかな田園地帯のホテルやティールームで出されるような、伝統的なアフタヌーンティーです。

アフタヌーンティーに出されるものの基本は、サンドイッチ、スコーン、それからお菓子を数品です。今回は贅沢に、9品を準備。たくさんのお菓子を用意するのはちょっと大変ですが、段取りを組んで準備すれば、当日は案外スムーズに進められます。そのコツをお教えしますね。
準備した9品
〈サンドイッチ 3品〉
きゅうりサンド・卵サンド・サーモンサンド

1762年に発明されたという、サンドイッチ。カードを楽しんでいた第4代サンドイッチ伯爵が、プレイしながらその場で食べられるように、パンに肉を挟んで出すよう頼んだことから生まれたといわれています。今回のサンドイッチは基本的な3種。ハーブを挟むなど味にアクセントをつけると、ぐっと美味しくなりますよ。サンドイッチの作り方のコツは、この後、ご紹介します。
〈焼き菓子 6品〉
焼き菓子は、これまでガーデンストーリーでご紹介したレシピ、もしくは、ちょっとアレンジを加えたレシピで作れるものばかりです。まだご紹介していないものは、今後レシピを公開しますので、乞うご期待!
スコーン&チーズスコーン

イギリスでお茶といったら、スコーンは外せません。今回はプレーンなスコーンと、甘くない食事感覚のチーズスコーンを用意しました。スコーンのレシピはこちら。中はふわっ、外はカリッ、のスコーンが楽しめますよ。
●イギリスのお菓子代表、スコーン!【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
チーズスコーンのレシピは、近いうちに公開しますので、お楽しみに。
コーヒー&ウォルナットケーキ

イギリスではティールームの定番として人気の高いケーキ。コーヒーとクルミのこっくりした味わいが魅力です。バターと粉糖を使ったアイシングに、イギリスらしさを感じます。
●紅茶党のイギリス人も大好き コーヒー&ウォルナットケーキ【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
ラベンダーショートブレッド

日本でも大人気のショートブレッド。今回は、下記の基本レシピを少しアレンジして、ラベンダーがほのかに香るものにしてみました。日本ではあまり馴染みがないと思いますが、イギリスではラベンダーを使ったビスケットやケーキが結構あります。このラベンダーショートブレッドは基本のレシピにラベンダー2gを加えたものですが、ラベンダーは好みが分かれるので、心配な方は基本レシピでどうぞ。
●自分へのご褒美に、贈り物に、大人気のショートブレッド【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
キャラウェイシードケーキ

こちらもイギリスらしい一品。ヨーロッパでよく使われるスパイス、キャラウェイシードの風味が珍しいかなと思い、ラインナップに加えてみました。
●キャラウェイシードの香りを楽しむシードケーキ【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
ビクトリアスポンジ

こちらもイギリスのティールームの定番ケーキ。スポンジ生地にラズベリージャムを挟んだシンプルなケーキですが、その素朴さが魅力です。こちらも、近いうちにレシピを公開しますので、お楽しみに!
これ以外にも、いままでにご紹介したお菓子をお好きに組み合わせていただければ嬉しいです。例えば、イチゴが美味しい季節のお茶会なら、パブロヴァもおすすめ。ふわふわのメレンゲと真っ赤なイチゴが目を引き、テーブルが華やぎますよ。

●真っ赤なイチゴが輝くパブロヴァ 【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】
お茶会準備の秘策
さて、美味しそうなお菓子のラインナップですが、こんなに作るの? と圧倒されてしまう方も多いかもしれません。でも、大丈夫です。これらを1日で作るとなると大変ですが、じつは、私が当日に作ったのはサンドイッチだけ。ほかは、数日前に徐々に作って、冷凍してしまいます。あまり知られていないと思いますが、お菓子屋さんも、毎日毎日、フレッシュなものを、あんなにたくさん用意しているわけではありません。冷凍をうまく活用しているのです。焼き菓子はもちろん、ムースなどもある程度のところまで作って、朝は仕上げをしてカットする、といった感じ。ですので、皆さんもお菓子を冷凍してみましょう。もちろん、よりフレッシュなものを用意したいということなら、品数を減らして、前日や当日に焼いて準備するのもよいですね。
準備の手順

今回どのように準備をしたか、手順をお教えします。
1.スコーン、チーズスコーンを焼く。冷めたらジッパーバッグに入れて冷凍(1週間〜10日くらい保存可能)。
2.ビクトリアスポンジを作る。ラップでくるみ、ジッパーバッグに入れ、冷凍(1週間〜10日くらい保存可能)。
3.2〜3日前にショートブレッドを焼き、密閉容器に入れ保存(シリカゲルを入れれば2週間は保存可能)。
4.2日前に、キャラウェイシードケーキ、コーヒー&ウォルナットケーキを焼く。どちらもラップをして、常温保存(暑い時期は冷蔵)。
5.前日に、コーヒー&ウォルナットケーキのアイシングを仕上げて、カバーをかけて常温保存(暑い時期は冷蔵)。
冷凍している菓子をすべて、常温で解凍する。
6.当日の朝、サンドイッチを作って冷蔵保存する。
ケーキ類をカットしてラップしておく。スコーンは少し焼き直してからお出しする。
私にとっては、集中すれば2日くらいですべて焼き上げられる量ですが、今回は普段の家事や仕事、子どもの世話と並行しながら、少しずつコツコツ焼きました。みなさんもご自分のペースで取り組んでみてくださいね。
サンドイッチは、朝のうちに仕上げておけばバッチリ。しかし、お出しするまでの、冷蔵保存のコツがあるので、準備の様子を交えながらご紹介しますね。
サンドイッチの作り方のコツ

まずは、きゅうりのサンドイッチ。アフタヌーンティーに、きゅうりのサンドイッチは外せません。アフタヌーンティーは1840年、第7代ベッドフォード公爵夫人によって始められたといわれますが、当時のきゅうりは温室で栽培するため、とても貴重なものだったようです。きゅうりサンドは最高のおもてなしだったのかもしれませんね。
私の作り方は、薄くスライスしたきゅうりを、マヨネーズを塗ったパンに重ね、塩胡椒をする、というもの。それだけなのですが、あのシャキシャキ感がたまらなく、私の中ではサンドイッチといえばきゅうり!
ちなみに、きゅうりを薄くスライスするにはスライサーが一番。今はスライサーをお持ちの方も多いと思うのですが、私は昔、仕事中にバッサリ……という流血事件がトラウマなので、包丁で薄く切っています。スライサーをお持ちの方は、ぜひスライサーを使ってくださいね。

最初に仕上げたきゅうりのサンドに、水で濡らしてキュッと絞ったキッチンペーパーを被せ、重ねます。次に作った2つ目のサンドをその上に乗せ、その2つ目にも、濡らしたキッチンペーパーを被せておきます。

さて、次はサーモン。サーモンといえばディル! そしてコショウを少々…。今回はこんな感じに仕上げましたが、ピンクペッパーを使っても美味しいですね。

サーモンサンドもきゅうりサンドの上に積み重ね、同じように濡らして固く絞ったキッチンペーパーを被せておきます。
最後は、卵サンド。今回は卵サンドにチャービルを一緒に挟みました。でも、ディルを使ったり、きゅうりを一緒に挟んでしまったり、わたしはその時々で、いろいろ変えて楽しんでいます。自宅でお茶をするときは、好きなものを作って楽しむのが一番! 皆様も、お好きなサンドイッチを作ってくださいね。でも、きゅうりはマストです!

さて、すべて仕上がったら、きゅうりサンドからカットしていきます。
出来上がったサンドイッチを重ねておいたのには、理由があります。重さでしっかりとくっついて、切りやすくなるのです。
三角にカットしたら、また先ほどかけておいた、濡れたキッチンペーパーを被せ、その上からラップをしておきましょう。あとは、サーブする時まで冷蔵保存です。
テーブルセッティングは美しく

さて、食べ物の準備はこれでOK。当日は、お客様がいらっしゃる前にテーブルセッティングをします。
まず、お菓子やサンドイッチを置く場所を決めておきます。カラスなどの心配がなければ、お菓子を盛り付けて、ラップをしておくのもいいかもしれません。お菓子は出した瞬間から乾燥していくので、ラップを外すのは直前にしましょう。
もし、揃いのティーセットがあれば、ぜひこの機会に使ってみてください。とっておきのティーセットを使えば、優雅な気分になりますよ。ホテルでは、アフタヌーンティーはよく3段のケーキスタンドでサーブされますが、お家のお茶会はそこまで凝らなくても大丈夫。大皿に形よく盛り付けてみてくださいね。

庭の花も飾って、これで完璧! 素敵なティーパーティーの始まりです!

さあ、お客様がいらっしゃったら、お茶を入れ、スコーンを温め、サンドイッチを並べましょう。お茶は、ぜひミルクティーをお試しください。

お腹いっぱい、幸せいっぱい! 楽しいおしゃべりはエンドレス。
アフタヌーンティー、大成功でした!
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / The Pudding Party Tomo - イギリス菓子研究家/パティシエ -

イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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