フランスの夏の田園が香る、カモミールとレモンバーベナのデザート
ハーブティーとしてよく利用されるカモミールとレモンバーベナ。お茶以外にも美味しくいただく方法を、予約の取れないフレンチレストラン「ユンヌ・フルール」のシェフ伊藤仁美さんに教わります。「食事の後でもさっぱりいただける夏におすすめのデザートですよ」とシェフ。コツは、香りを上手に食材へ移すことです。造園家の阿部容子さんによる栽培メモもご参考に!
目次
カモミールとレモンバーベナのデザート

カモミールはリンゴのような香り、レモンバーベナはその名の通り爽やかなレモンのような香りがします。どちらもフランスでは馴染み深いハーブで、庭で花を摘んでいるとフランスの田園風景を思い起こします。カモミールはちょっと街から離れると、どこにでも勝手に生えていますし、レモンバーベナも南のほうでは庭によく植えられていて、大きな木になっていました。レストランではフィンガーボウルの水にレモンバーベナが使われます。

今回のデザートでは、カモミールの香りのゼリーと、レモンバーベナの香りのアイスクリームを季節のフルーツと合わせます。コツは「香り」だけを移して、苦味やエグミを出さないこと。ハーブは薬用としても用いられているように、グツグツ煮出すと漢方薬のような味が出てしまいます。ここではアイスクリームメーカーを使って手作りのアイスの作り方をご紹介しますが、市販のバニラかミルク味のアイスをのせても十分美味しいので、アイスクリームの工程を飛ばしてもOKです。
【材料】8人分
<カモミールゼリー>
- カモミールの花 15g
- 水 500cc
- グラニュー糖 40g
- 板ゼラチン 7g
- レモン汁 少々
<レモンバーベナのアイスクリーム>
*アイスクリームメーカーで作る場合
- 牛乳 350g
- 生クリーム 150g
- 卵黄 4個
- グラニュー糖 100g
- レモンバーベナ 15g
<フルーツ>
- 季節のフルーツ 適量
- キルシュとグラニュー糖(あれば少々、なくても可)
【作り方】
<カモミールゼリー>
① ゼラチンを水で戻します。
② 鍋に水とグラニュー糖を入れて沸かし、カモミールを入れたらすぐに火を止めます。
③ 容器に②を移してラップをし、5分ほど香りを閉じ込めます。
④ 鍋に③をこしながら入れ、少し温度を上げてゼラチンを入れ、レモン汁を混ぜて冷蔵庫で冷やし固めます。
<レモンバーベナのアイスクリーム>
① 鍋に牛乳と生クリームを入れて沸かし、レモンバーベナを入れたらすぐ火を止めて5分ほどそのままに。
② 卵黄とグラニュー糖を混ぜ合わせ、①に入れてゆっくり82℃まで火を入れてからこします。
③ 冷ましてからアイスクリームメーカーに入れ、アイスクリームにします。
<フルーツ>
季節のフルーツを3〜4cm大にカットします。そのままでもいいですし、キルシュとグラニュー糖少々をまぶしておくとゼリーとの相性がよくなります。
<盛り付け>
① 器に季節のフルーツを入れます。このとき、フルーツの下に、以前ご紹介したルバーブのコンポートを大さじ1杯ずつ敷いてもアクセントになります。
② カモミールゼリーをのせ、その上にアイスをのせて完成。カモミールの花が余っていたら、2〜3輪散らすとかわいく仕上がります。
ゼリーがつるんと喉越しよく、やさしく爽やかな香りが鼻に抜ける、後味のとてもよいデザートです。カモミールにもレモンバーベナにも、緊張を緩和してリラックスさせてくれる効果があります。お食事の後や、夏の暑さで身体が疲れているときにもおすすめですよ。
カモミールの栽培のコツ
ユンヌ・フルールの庭をつくった造園家の阿部容子さんに、2つのハーブの栽培のコツを伺います。

カモミールは大きく分けて2種

カモミールは初心者でも育てやすい野生的なハーブです。伊藤シェフが修行をしていたフランスでは、誰が栽培したというわけでもなく道端にカモミールが咲いていて、カモミールの草原をよく見かけます。カモミールは大きく分けてジャーマン・カモミール(一年草)とローマン・カモミール(多年草)があり、どちらも花にリンゴのような香りがあり、お茶など食用にできます。

前者はこぼれ種で増え、後者は雪の下でも越冬して株が次第に大きくなって増えていきます。ユンヌ・フルールで育てているのは、ローマン・カモミール。ここはスキー場が近くにあり、冬はどっさり雪が降りますが、冬越しして初夏には花を咲かせます。両者は開花期に少し違いがあり、ジャーマン・カモミールは3〜6月、ローマン・カモミールは5〜6月の間に花が咲きます。

ほかにカモミールにはダイヤーズカモミールという黄色の花があり、華やかなのでガーデニングではよく用いられますが、こちらは花にはほとんど香りがなく葉もあまりよい香りではありません。お茶などの食用には適しておらず、主に染色に用いられる種類なので、用途の目的がある場合は注意してセレクトしましょう。
発芽には光が必要
タネから育てる場合は、春(3月中旬〜4月)と秋(9月中旬〜10月)の2回、種まきのタイミングがあります。カモミールのタネは好光性といい発芽に光を必要とするので、土は薄く覆うか、覆わないままでも構いません。蒸れと暑さが苦手なので、風通しがいいように、発芽後は間引きしながら育てます。苗から育てる場合は、株間を20~30cmあけて植えます。用土には苦土石灰を混ぜて酸性度を中和し、さらに腐葉土を混ぜておくとカモミールの好む環境になります。鉢植えの場合は、市販の培養土か、小粒の赤玉土7に腐葉土3の割合で混ぜ、元肥を加えた用土を用います。3月と11月に施肥をするといいでしょう。
カモミールの収穫と保存

ジャーマン・カモミールは、花にのみ香りがあるので、花部分を摘み取って使います。花の中心の黄色い部分が盛り上がってきたら収穫時です。白い花弁が完全に下を向いてしまう前のほうが香りが残ります。風通しのよい日陰で乾燥させます。カビが発生することがあるので、裏面にも風が通るようにし、ときどき表裏を返しながら丁寧に十分に乾燥させましょう。乾燥したら乾燥剤を入れた密閉容器で保存し、1年を目安に使い切ります。ローマン・カモミールは葉や茎にも香りがあるので、花の収穫期に草丈10cmほどに剪定し、茎ごと乾かします。
レモンバーベナの栽培のコツ

レモンバーベナは「香水木」とも呼ばれ、レモンに似た香りは料理やポプリ、化粧品など多岐にわたって利用されています。温暖な南方に自生しており、寒さがあまり得意ではありません。ですから冬は厳しい寒さに見舞われるユンヌ・フルールでは鉢植えで栽培し、冬は室内に取り込んで育てます。その際、冬の室内は思いのほか乾燥しているので、水切れに注意しましょう。基本的には常緑低木で、苗から育てます。地植えでは3mほどにも成長しますが、鉢植えではそこまで大きくなりません。寒くなると落葉することもありますが、−5℃を下回らない限りは枯死することはなく、春になれば新しく芽吹いてきます。

どちらも今回伊藤シェフが紹介してくれたような料理はもちろん、お風呂に入れても香りが楽しめます。特にカモミールは大株になってくると使いきれないことが多いので、ネットに入れてお風呂で楽しむのはおすすめですよ。
Credit
レシピ考案・料理 / 伊藤仁美 - レストラン「ユンヌ・フルール」シェフ -

いとう・ひとみ/20代からレストランひらまつ広尾本店、パリ16区ひらまつで勤務。その後、広尾キャーブ・ド・ポール・ボキューズ、西麻布キャーブ・ド・ひらまつなどで料理長を歴任し、レストランのみならず有名メゾンや企業、パーティーなどでのケータリング経験も多数。2015年岐阜県ひるがの高原に「ユンヌ・フルール」を開店。不定休で完全予約制。予約は1年に1度のみ受付。
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アドバイス / 阿部容子 - ガーデンデザイナー/造園家 -

あべ・ようこ/岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を生かし、病院のガーデンも施工しています。
まとめ・写真 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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