新茶の季節 ハーブとして注目する「お茶」&ペットのいる暮らしでの活用法
今年も新茶の季節がやってきました。お茶にはヒトにとって有用なたくさんの効能がありますが、残念なことに犬に飲用として与えてはいけません。ですが、それ以外にも暮らしの中で役立てる方法がいろいろありますよ。ここでは、ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんが、ハーブとしてのお茶の効用と、ペットとの暮らしで役立つお茶の使い方をご紹介します。
目次
新茶の季節
「夏も近づく八十八夜〜」の八十八夜というと、立春から数えて八十八日目にあたる日のこと。平年で5月2日。 暦の上では、この日から夏になり、農作業を始める目安になったということです。八十八夜の頃に摘むお茶は「一番茶」と呼ばれて、最も品質がよく、その後、7月から9月頃まで「二番茶」「三番茶」と収穫されていきます。
新芽の若葉色の茶畑は、とても美しくて、目にも心にも優しいなと思います。リラックス効果抜群です。新茶の季節の畑が一番美しく、一番好きな風景です。
お茶の効用
お茶「グリーンティー」はハーブの一種です。古くは薬用として使用されて、だんだんと嗜好飲料に発展したといわれています。
最近の緑茶の機能性の研究では、抗がん作用や抗コレステロール作用、体脂肪低減作用などが報告されています。ペットボトルのお茶のコマーシャルでもよく目にしますね。
このほか、興奮、利尿、収れん、止瀉、抗菌などの作用があり、疲労の回復、下痢の改善などにも利用されます。
カテキンとテアニン
緑茶には抗菌作用のあるカテキンやリラックス効果のあるテアニンなど、体によい成分がたっぷり含まれています。
緑茶葉に含まれるポリフェノールの一種、カテキンは、お茶独特の苦みや渋みの成分で、抗酸化作用、抗菌、消臭など多くの作用が知られています。
テアニンはお茶のうま味・甘味の成分で、玉露や抹茶などに多く含まれ、興奮を鎮めて緊張を和らげる働きと、心身をリラックスさせる効能を持っています。
テアニンは、お茶の木の根の部分で作られ、やがて葉に移動。その葉が日光を浴びることによって、テアニンはお茶の渋み成分であるカテキンへと変化します。お茶の種類(玉露など)や採取時期によってテアニンの含有量に差が出てくるそうで、二番茶よりも一番茶、その一番茶の中でも特に新芽に多く含まれるため、新茶はうま味の濃い味わいになるということなのです。
犬には緑茶はNG!
いろいろな作用がある緑茶を、犬にも活用できればいいのですが、犬には注意が必要です。
よく知られているように、緑茶にはカフェインが含まれています。アミノ酸の一種であるテアニンを含むため、コーヒーや紅茶と比較すると刺激が少ないのですが、カフェインは犬が大量に摂取すると危険なのです。
犬はカフェインの吸収スピードが早いということで、少量でも異変が起こる可能性があるといわれています。カフェイン中毒の症状としては、 頻脈、呼吸促迫、過度の興奮、痙攣、不整脈など。さらに、緑茶には約1%のシュウ酸が含まれるとされ、摂取しすぎるとシュウ酸カルシウム尿石症の原因になります。
緑茶に限らず、カフェインが含まれている飲み物は、犬が口にしないように気をつけましょう。
緑茶を活用
犬はお茶を飲むことはできませんが、犬との暮らしの中で、緑茶をいろいろな方法で活用してはいかがでしょうか。
<その1>
茶香炉 お茶の香りでリラックス
梅雨の季節になると、部屋にこもる匂いが気になります。
お茶の清涼感のある香りでスッキリさせましょう。
茶香炉は、茶葉を温めて香りを出します。専用の茶香炉がなくても、アロマポットでも代用できます。アロマポットは、茶香炉に比べて加熱温度が低いので、香りは控え目にはなります。ほのかに漂うお茶の香りは、とても清々しいものです。
茶葉は残ってしまったもの、古くなってしまったものなどを使ってもいいですね。
<その2>
緑茶のチンキ
チンキ(tincture)とは、ハーブなどの成分をアルコールに漬けることで抽出させたものです。
緑茶を使ってチンキを作ることもできます。作り方は、ハーブのチンキと同じです。
緑茶の茶葉4〜5gと度数の高いアルコール(ウォッカなど)100mlを瓶に入れて2週間ほど浸けます。1日1回、瓶を振ります。2週間後、茶こしやキッチンペーパーを使って漉せば、チンキの出来上がりです。湿度の高い場所を避け、冷暗所に保存しておけば、およそ1年は保存が可能です。こちらも、余りものの茶葉で大丈夫です。
チンキを精製水で薄めて、消臭スプレーとして使ったり、私は犬のケージなどの拭き掃除をする時に使ったりします。
<その3>
茶殻は掃き掃除に
柴犬の換毛期の抜け毛は、驚くほどの量です。毎日、夕方の散歩から帰ってきて玄関でブラッシングをしますが、目に見えないけれど、抜け毛がたくさん! 掃除するとき、その抜け毛がふわふわと舞ってしまい、なかなかまとまらず困ってしまいます。そういう時には、茶殻を撒いてからホウキで掃くと、ふわふわ舞う抜け毛を茶殻がキャッチしてくれます。消臭効果もあり、一石二鳥。
掃除機がない時代は、畳のお掃除にこの方法を使っていたと祖母から教わり、真似してみました。
お茶畑
実家の周りに茶畑が広がっています。私が子どもの頃は、ゴールデンウィークのお休みの時には、大勢の人がワイワイ楽しそうにお茶摘みをする光景をよく目にしました。当時は手摘みだったかもしれません。今ではそういう光景も見なくなりました。機械でいっきに刈り取ってしまいます。
お茶農家さんも後継者不足ということで、茶畑だったところは、今では家が立ち並んでいます。実家周辺の茶畑は、もうだいぶ少なくなってしまいました。いつまでも、この美しい茶畑の景色を見ることができるといいのですが。
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