緑と暮らす家づくり・古民家をリノベーションする

大人可愛い&スタイリッシュな植物のWEBショップオーナー、槇谷桜子さんの古民家をリノベーションした家づくりをご紹介します。緑が映えるように、仕事と家庭が両立できるように、庭が望めるように…。桜子さんの願いとアイデアがいっぱい詰まった自宅は、これから家を建てようという方必見! 家づくりがもっと楽しく、豊かに自由になるリノベーション物語です。
なぜ新築ではなく、古民家リノベーションを選んだのか
それは、私が運営している園芸店の花色にも表れているように、真新しいものより古いアンティークなものの色合いや風合いに魅力を感じるからです。
そして、日本独特の控えめな色づかいや、活け花に見られるようなアシンメトリーの絶妙な黄金比、自然界に見られる計算されたものではない、言葉では言い表せない真似できないような神々しさにも魅力を感じています。
ですから、私が求める家はピカピカの新築では得られないと思い、年月を経た古民家を現代に合ったデザインで蘇らせたいと考えたのです。
古民家リノベーションといえば、黒い梁が主張し、壁は白色で「和」や「アジアンテイスト」が主流ですが、私の思い描いていた家は少し異なり、日本の美学を取り入れつつ、自然の中で長い時間が経過したような、海外インテリアとのMIXスタイルでした。
そのイメージを人に伝え、再現してもらうのはとても難しかったため、設計士やデザイナーには依頼せず(強度計算など一部はプロに任せつつ)、デザインはアマチュア向けの設計ソフトを使い、すべて私が行いました。そして、着工前に完全にデザインを完成させず、施工しながら、現場を見ながら私らしさを足していく方法を取りました。
工務店さんが驚かれるほど細部にもこだわり、間取りだけでなく、私がデザインした造作物なども大工さんにつくっていただきました。材料も自分で探し、ほとんどのものは施主支給し、DIYで仕上げた場所もたくさんあります。

家を建てる目的は家庭と仕事の両立
この建物は一般住宅と異なり、会社兼社長自宅です。
私は母であり、経営者でもあるため、子どもと共に過ごす時間が取りにくいので、せめて近くにいられるように、また、仕事の合間に家事をこなし、できるだけ仕事をする時間が取れるように、自宅と仕事場を一緒にすることを選びました。
ですから、この家づくりは、子どもを育てながら仕事も諦めず、妥協せずに頑張れる環境づくりでもありました。そして今、それを実現することができました。
働く女性が増える中で、起業する女性も増えています。そんな夢を描きながらも、両立に悩んでいる人がいたら、子育ても仕事も諦めないで! 必ず両立できる方法はあります。

築50~100年の古民家から新しい建物へ
ます最初にビフォー・アフターを見ていただきましょう。
この古民家は、もともと築100年を超えていましたが、半分だけは建て替えられています。約200坪の敷地に母屋、門屋、農小屋、蔵が建っていました。
2016年3月から撤去作業を開始し、同年9月に未完成の状態での引っ越し。キッチンができた2017年1月を、とりあえずではありますが完成としています。おおよそ10カ月をかけて、素敵な空間へと蘇りました。
庭の部分は、まだこれから楽しみながらつくり上げていく予定です。

長きに渡る撤去作業の日々
道路との高低差が大きく、まずは水が溜まらないように盛り土するところから始まりました。土を入れるため、まず庭の生い茂る木々の撤去、門屋も盛った土に埋まるため、撤去の運びとなりました。
アトリエとして生まれ変わらせたいと考えていた農小屋だけは、ジャッキで全体を持ち上げ、大きく傾いていたのを水平にして残すことにしました。取り払えない柱を残し、不要になった柱、床材などなど、廃材の山となりました。
畳も70枚以上あり、すべての砂壁の解体など、下準備にかなりの時間を要しました。


基礎部分と柱と屋根だけになり、ここからが始まり

柱が露わになり、隠れていた屋根裏も現れ、ここからデザインを詰めていきました。ど素人の私には図面を起こすこともできませんので、私でも使えるソフトを探しました。私が実際に使ったのが、「3Dマイホームデザイナー12」です。基本的な機能しか使っていませんが、自分の頭の中のデザインを実際に工務店へ伝える際にとても役立ちました。
家全体の形をつくり、動かせない柱を書き入れ、そこからできるだけ柱が表に出ないよう、壁と一体になるように間取りを考えました。
結果的に1本だけ隠すことのできない柱が残りましたが、これが古民家であった頃の雰囲気をうまく残してくれています。
一日の日照角度の変化から陽がどの程度入り込むかも計算できたので、観葉植物を育てるにあたっての参考にもなりました。
私の頭の中にしかなかったデザインが形に

最終的にでき上がった完成予想図が、こちらになります。
会社としての効率性、家族が大きくなった時も考えての駐車スペース、3匹の犬たちとの暮らし。
自分がどのように暮らしたいのか、そして環境はどのように変わっていくのかをよく考え、何年先でもここに住んでいたいと思える家にしました。
一番最初に絶対にデザインに取り込みたかったのは、大好きな花が咲く庭に繋がる大きなフレンチドア。
私の手書きのデザイン画から職人さんが手づくりしてくださった、とても思い入れのある部分です。
次回は、このドアのお話しをご紹介したいと思います。
建築/「中内工務店」http://www.nakauchi-koumuten.jp/
Credit
写真&文 / 槇谷桜子
まきたに・さくらこ/‘大人可愛い’をテーマにした「Junk sweet Garden tef*tef*」とクールでスタイリッシュな観葉を扱う「BOTANICAL GREEN」、2つのWebプランツショップのオーナー。高校1年生の娘と小学校4年生の息子がいるアラフォー。花好きが高じてショップを始めて10年、仕事と家庭を両立させながらショップを展開中。繊細で絵画的な寄せ植えにファン多数。
「BOTANICAL GREEN」https://shop.teftef.biz/shopbrand/ct273/
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