パーティー推奨「ハーブレシピ」&チーズとオリーブ、秋のハーブオイル漬け【ルーシーのおいしい暮らし】
秋が深まり、本格的な冬もすぐそこ。日が短くなり、家での時間が長くなる季節には、気の合う仲間を招待して手料理を振る舞ってみては? 今回は秋〜冬も元気なハーブ、ローズマリー、セージ、タイムの寄せ植えを作り、それらのハーブを使った「チーズ」と「オリーブ」のハーブオイル漬け2種を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんに教えていただきます。簡単で驚くほど美味しく、食事にもお酒にも幅広く活躍する「ハーブオイル漬け」は、年末年始のパーティーにもおすすめです。
目次
秋のキッチンハーブ
気温が下がり、太陽がリラックスし始めると、夏のハーブたちは役目を終えます。夏のハーブ代表、バジルやシソ、エゴマなどは、基本的には「一年草」。トウ立ちして、種が付いたら枯れてしまいます。一方で、ローズマリー、セージ、タイムは一年中収穫できる「多年草」。私のキッチンでも頻繁に登場する一軍ハーブたちです。丈夫で通年美味しく、冬の間も料理を彩る頼もしい存在。ハーブを使うと、瞬時に料理の腕が数段ランクアップ。今回は、パーティー推奨「ハーブレシピ」を復習! 素材に合わせてハーブを使いこなしてみてください。これから年末年始など、人が集まる際にご活用あれ!
●肉の臭み消しからスイーツまで。「ローズマリー」
17世紀頃のイギリスの小説では、お葬式の参列者が「for remembrance」(追憶・思い出のため)と言って、ローズマリーの枝を棺桶の中に入れるシーンが見られます。先日のエリザベス女王の国葬では、棺の上に置かれたリースのローズマリーとマートルが印象的でした。添えられたチャールズ国王からのメッセージカードには、「In loving and devoted memory(あふれんばかりの愛と献身的な思い出を込めて)」と記されていました。そう、ローズマリーは「追憶と思い出」の意味を持つハーブ。イギリスを代表する作家、シェイクスピアの作品にも、ローズマリーをはじめ多くのハーブが登場して、暗に物語を演出しています。
ローズマリーは「スーッ」と強烈なほどの爽やかさで、その奥に苦みとスパイシーさを感じる強くてワイルドな香りです。長時間の煮込み料理に使っても風味が弱まりません。なので「少し控えめに」が使い方のコツ。「根はお転婆ですが、所作はおしとやかに」系ハーブです。あら、アタシと一緒♡ お肉の臭み消し&風味付けは朝飯前。フォカッチャなどのパンや、揚げ野菜(フライドポテトに最高!) 、クッキーやシロップなどのスイーツにもおすすめです。
私のおすすめレシピは、挽肉にローズマリーの香りがいい仕事をする「ボロネーゼ」。しっかりコトコト煮込んで旨味を引き出すので、秋冬の夜長の暇つぶしにもどうぞ。大鍋で煮込み、大皿でドーンッと出したい料理です。
●挽肉ならおまかせ。そぅ!「セージ」
古代ローマでは万能薬として使われ、「不死」と「健康」を象徴する長生きのハーブとして愛されていました。セージは約900種類の品種が存在しますが、料理でセージといえば、ほぼほぼ「コモンセージ」のこと。
ベルベットのような手触りに、渋い香りと温かなスパイシーさが特徴的なセージ。強力な風味、独特な苦みは脂っこい材料とよく合い、消化を助ける働きもあります。ソーセージという言葉は、雌豚を意味する「ソー」に「セージ」を加えたものという説もあり、ソーセージ作りには欠かせないハーブです。臭みを取ってくれるので、肉料理、魚料理の風味づけにも欠かせません。
私のおすすめレシピは、セージの香りとメープルシロップの甘み、黒胡椒の刺激が食欲をそそる「イタリアンハーブソーセージ」。パンでもご飯でもおまかせあれ! 甘じょっぱさが心地よく胃袋を掴む一品です。
●フレッシュハーブを使ったイタリアンソーセージのレシピはこちら
●食材を選ばず使える万能ハーブ「タイム」
タイムの仲間は多く、なんと350種類超え。シソ科の多年草で小さな葉が特徴です。ガーデニングで活躍する観賞用や、香りを楽しむ食用など、さまざまな品種が存在します。クローブとミントが合わさったような香りで、ピリッと刺激的。爽やかな風味があり、清々しい気品と神聖さも。ハーブとしての歴史も古く、古代から薬草としても重宝されてきました。タイムは魚料理にも肉料理にも、野菜にも、またチーズなどの乳製品とも相性よし。コツさえ掴めば、オールマイティーに料理に使えるハーブです。
私のおすすめレシピは、玉ねぎをタイムとバルサミコで味付けした、お惣菜スタイルの「タルトタタン」。玉ねぎの旨味、バルサミコの酸味、チーズのコク、それらを包み込むタイムの香りがクセになる簡単タルトタタンです。
秋のハーブ「ワントーン」寄せ植え
いつもはアロマセラピーの効能と一緒にご紹介していますが、「ローズマリー」「セージ」「タイム」は何度かご紹介済み。ですので、さぁみんな! 今回は実地研修よ。実際に香りを感じながら、3種のハーブで寄せ植えを作りまーす。ハーブの寄せ植えは花の寄せ植えよりも、なんだか地味かも……。だってハーブって、大体「緑色」でしょう? しかーし、侮るなかれ! 同じグリーンの葉でも、それぞれ色味のトーンが違います。同色のものを植えることで、洗練された印象の「ワントーンコーデ」な寄せ植えが簡単に作れます。この3種のハーブは、どれも「浄化」の意味を持つハーブたち。アロマセラピーは芳香療法です。「最近心身ともにお疲れっす」な貴方にもおすすめ。
トラディショナルにテラコッタの鉢、移動に便利な持ち手付きのプラ製鉢など、ライフスタイルに合わせて、お好みのものに植えましょう。私のイチオシは「ベジトラグ」。
ベジトラグは、ガーデニング先進国イギリスで生まれた、足付きの木製プランター。ベランダなどのスペースにも設置できるので、簡単に菜園生活が楽しめます。鉢より本格的に楽しめて、ハーブだけではなく、野菜やお花も育てることができます。私のベジトラグは秋のお花が綺麗にブルーミング中♡ なので、今回のハーブたちはテラコッタの鉢に植えていきます。
必要なのは、
- 30cmほどの鉢
- 培養土
- ローズマリーの苗 1つ
- セージの苗 1つ
- タイムの苗 1つ
以上! です。簡単でしょ。チョチョイのちょい。
ローズマリーで高さを出して、シルバーグリーンが美しいセージは色味のアクセントに。タイムは伸びると枝垂れて、遊び感を演出。葉の形状がそれぞれ違うのもポイントです。
1.鉢の半分ほど土を入れ、ポットから苗を取り出して、根を揉みほぐしてから鉢に配置します。
2.土を入れて完成。指を使い、苗の隙間にもしっかりと土を入れましょう。
スーハースーハー、ハーブの香りを吸ってー吐いてー。香りを嗅ぐと呼吸が深くなり、身体がリラックス。土に触れることは、健康増進に役立つともいわれています。いやん、いいこと尽くめ♡ 自分で育てたハーブを必要な分だけ、必要な時に採って食べれば「QOL」指数は急上昇。気分はイタリアのマンマ(お母ちゃん)です。料理がいつも以上に楽しくなっちゃうはず。ハーブたちはオイルとの相性が抜群。自家製ハーブをオイルに漬け込めば、あっという間にオシャレ味な魔法のオイルが作れます。今回はそんなハーブオイルにチーズやオリーブを漬け込んだ、世界一簡単でシャレたレシピをご紹介します。
タイム香る「チーズのオイル漬け」
そもそも相性がいい、チーズとオリーブオイル。別々に食べるのも美味しいですが、チーズをオリーブオイルにつけることで、風味とコクが増し増し。さらに濃厚な風味へと変化します。今回はモッツァレラチーズを使いますが、フェタチーズやクリームチーズなど、お好きなチーズでお試しください。ドライトマトの甘み、チーズのコク、ハーブの香り、相乗効果の大運動会。とにかくデリシャス! カリッと焼いたバゲットに、すべてをたっぷり挟んで召し上がれ!
■ 材料
- 好みのチーズ 適量
- オリーブオイル 適量
- タイム 適量 2枝
- ホールクミン 小さじ1/2
- ドライトマト 適量
- ハーブソルト 適量
■ 作り方
1.瓶などに全ての材料を入れ、完全に浸かるまでオイルを注ぎ、蓋を閉める。
2.冷蔵庫で3日〜1週間保存して、味を馴染ませて完成。食べる時は常温に戻しましょう。
※冷蔵庫で、約1カ月の保存が可能。
ローズマリーとセージ香る「オリーブのオイル漬け」
オシャレなデリとかに売っているアレです、アレ。瓶に詰めて作るので「ホームパーティにお呼ばれ」なんて時にも大活躍。オリーブは色違いで入れると綺麗です。ニンニクが入っているので味にパンチがあります。漬け込んだオリーブはクラッカーやナッツ、フルーツなどとワンプレートにしてワインのお供に。締めのパスタには、残ったオイルでペペロンチーノを。ニンニクとハーブが染み込んだオリーブオイルで作るペペロンチーノは、香りがゴージャス!
■ 材料
- オリーブ 適量 (スーパーで売っている缶詰や瓶詰のもの)
- オリーブオイル 適量
- ローズマリー 1枝
- セージ 数枚
- ニンニク 1〜2片
- レモンの皮 少々
- バルサミコ酢 大さじ1
■ 作り方
1.瓶などに全ての材料を入れ、完全に浸かるまでオイルを注ぎ、蓋を閉める。
2.冷蔵庫で2日ほど保存して、味を馴染ませて完成。食べる時は常温に戻しましょう。
※冷蔵庫で、約1カ月の保存が可能。
今回はチーズバージョンとオリーブバージョン、別々に作りましたが、一緒にオイル漬けにしても大丈夫。使用するハーブはバジルやディルもおすすめです。乾燥ハーブでもいいですが、フレッシュハーブの香りは段違いに格別です。
難しい料理ができる=料理がうまい…ではありません。楽しく簡単に! 美味しいものを作れるのが料理上手だと思います。料理ってクリエイティブ。いろいろなハーブの組み合わせで作ってみてください。あー、お腹すいた。今夜は何を食べようかしら♡ 「好きこそ物の上手なれ」ですね、食いしん坊!万歳。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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