ハーブ初心者さんも育てやすい「ミント」を、ご自宅で一鉢、育ててみませんか? 自分で育てていれば、好きな時、好きなだけ使えてとっても便利! 摘みたてのミントを、おいしく飲んだり食べたりと、幅広く楽しめますよ。今回は、ミントの基本情報・育て方のコツと、たくさん収穫できた時の保存におすすめ! なミントビネガーの作り方をご紹介します。
目次
ミントとは?
今回の主役は、ミント。たくさんの種類が存在し、ハーブとしても人気がありますね。ミントは全世界で繁殖してきた歴史のある植物で、日本には2,000年以上前に中国から伝わってきたといわれます。ハーブというと、地中海のようなカラッとした気候を好む種類が多い中、ミントは日本のジメジメとした湿気のある気候にも強く、丈夫に育ってくれるのも嬉しい点ですね。
まずは、庭で育てるのにおすすめの代表的なミントを3種類ご紹介します。
ペパーミント

ペパーミントの爽やかな清涼感と刺激的な風味の主成分は、メントール。メントールには、鎮痛・鎮痒・冷却・防腐・殺菌作用があるため、湿布や軟膏など医療分野でもよく使われますね。
また、胃の消化促進作用もあるため、食後のティーとしてもおすすめです。食べすぎ・飲みすぎなどで胃の調子が悪いときや、胃のむかつき症状、胃潰瘍の予防にも○。
スペアミント

スペアミント(spearmint)のスペア(spear)とは「槍(やり)」の意味で、実際に葉の先は尖った形をしています。
スペアミントの主成分はl-カルボン。清涼感のある香りですが、ペパーミントと比べるとマイルドなので、飲食におすすめ。サラダに添えて生で食べたり、料理やお菓子、ハーブティー、カクテル(酒)のモヒートに加えるミントとしても、よく使われています。
アップルミント

丸い葉っぱを持つことから、和名は丸葉薄荷といいます。産毛に覆われていて、触るとふわふわした感触も楽しめます。甘いりんごの香りを持つミントです。
こちらもペパーミントと比べるとマイルドで、飲食におすすめ。乾燥させてしまうと風味が落ちるので、料理やお菓子、ハーブティーなど、フレッシュ(生葉)のまま使うとよいでしょう。
ミントの育て方
ミントは、冬にはいったん葉を落とし、春にまた出てくる宿根草(多年草)です。前述の通り、日本の環境にも適応しやすく、初心者さんも育てやすいハーブです。育てる際のコツをお伝えしますね。
栽培のコツ1 ミントは水が好き
ミントは水が好きなハーブです。土の表面が乾いたら、たっぷり水やりをすることが基本。完全に水が切れると枯れてしまいます。葉が一度チリチリになってしまうと復活しないので、乾燥しすぎないよう管理しましょう。特に夏場の乾燥には要注意です。
栽培のコツ2 ハダニに注意
梅雨明けから10月くらいまでの高温で乾燥した時期にハダニが発生しやすくなります。ハダニは、葉裏について養分を吸い取る害虫で、葉っぱの色が白くかすれたような状態になってしまいます。乾燥を好み、夕立などで葉が洗い流されると発生率はグンと減ります。水やりの際に、葉の裏にも水をかけるなどして対策しましょう。
栽培のコツ3 収穫を兼ねて摘心
少し大きくなったら、収穫を兼ねて摘心をしてみましょう。摘心とは、上に伸ばしっぱなしにせず、適当なところで先端を切る作業です。

こうすることで、脇芽が伸びて収穫量も増えますよ。また新芽はとってもやわらかく、お茶にしても、料理に利用しても、おいしいのが魅力。これは育てている人しか得られない特権でもあります。ぜひ試してみてください。
栽培のコツ4 増えすぎ注意
ミントは、繁殖力がとても強い植物です。地下茎でどんどん根を伸ばしていき、気が付けば庭中ミントが! ということにもなりかねません。庭植え(地植え)にする際には、スペースとよく相談して植えてください。心配な方は、鉢栽培からスタートしてみるのもおすすめ。
育てたミントの活用法「ミントビネガー」を作ろう
ミントが育ってきたら、ミントビネガーを作ってみましょう。ミントを酢に浸けるだけ、ととても簡単にできるのですが、1本作っておくと便利に、そしておいしく使えます。「ミントと酢!?」と驚かれるかもしれませんね。どんな味がすると思いますか? 意外なことに、酢特有の酸っぱさが取れて、まろやかになって、使いやすくなるんですよ。ぜひお試しください。
【材料】
- りんご酢 150ml
- ミントの葉 適量
*1種類でもいいですし、2~3種類混ぜてもOK
*酢にしっかり浸かる量をご用意ください - 150mlビン 1個
【作り方】

1. ミントを摘んで、軽く洗い、よく乾かします
2. ビンを煮沸消毒します
3. ビンの中にミントの葉を枝ごと入れます
4. りんご酢を注ぎ入れ、蓋をして、一度しっかり振ります
5. 冷暗所に置き、2週間ほど寝かせます。毎日1回、しっかり振りましょう
6. 2週間後、こして完成です
作ったミントビネガーの使い方
作ったミントビネガーは、普通の酢と同じように使えます。おすすめは、ミントビネガーソーダ。

ミントビネガーを6~8倍に炭酸水で薄めて飲みます。私は個人的には酸っぱいものが苦手なのですが、このミントビネガーは常備しているほどお気に入りです。疲れを感じた時の、クエン酸補給にもおすすめです。
植物を育てて食べる! ガーデンセラピーを始めましょう
日々植物に触れ、自分の手で育てたハーブを食べることは、ストレスを減らし、心と体を健やかに保つことにつながります。そんな植物を使った自然療法を総称して、「ガーデンセラピー」と呼んでいます。
今回ご紹介したように、ミントを育てて、食べる・飲む・使うという一連の流れを意識してみると、楽しみの幅が広がりそうではありませんか? ぜひチャレンジしてみてくださいね。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -

ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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