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春の庭に咲く貝母ユリ(バイモユリ)という花をご存じですか? 釣鐘形の花姿に繊細な網目模様があり、控えめながら和風にも洋風にも合う花です。今回のフラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスンでは、この貝母ユリを使ったバスケットアレンジを2種ご紹介。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。ちょっとしたコツと自由な発想で、季節の花アレンジを楽しみましょう。

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草花の季節

貝母ユリ

サクラや椿、モクレンなど樹木に咲く花から、柔らかい草花へと季節が移ってきました。あちらこちらから芽を出し、勢いよく成長しています。そのスピードに日々驚かされたり、喜んだり。

庭で毎年必ず芽を出して花を咲かせるのは、ムスカリ、スイセン 、スノーフレーク、アネモネなど球根類。さらに季節が進むと、ギボウシ、ナルコラン、シラン、エビネランなども。きちんと整理もされていないのに、同じ季節に同じ場所に出てきてくれる植物に、「今年も会えたね! ありがとう〜」という気持ちになります。そんな嬉しい春です。

貝母ユリをアレンジ

貝母ユリ

貝母ユリという花をご存じでしょうか? 庭で育てているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

貝母ユリは、中国原産のユリ科の植物。1本の茎に2〜3個の釣鐘形の花をつけています。私は、可愛らしいこの花の横顔がとても好きです。

花の色は、白から薄緑色で、花の内側には紫色の網目模様があります。そこから、編笠百合(アミガサユリ)という名前もつけられています。花の季節は3〜4月ですので、そろそろ終盤です。

ちょっと地味目な花ですが、雰囲気のある貝母ユリ。茶花としても人気のある花です。

この貝母ユリを、テイストの違うバスケットを使い、スクエア形と和風の2パターンでアレンジしてみました。

使った花

貝母ユリ
  • 貝母ユリ
  • オーニソガラム・ダビウム
  • クリスマスローズ

オーニソガラム・ダビウムは、鮮やかなオレンジ色の花です。差し色に数本入れると、引き締まった印象になります。

アレンジの手順

<スクエア形のバスケット>

貝母ユリのバスケットアレンジ
  1. バスケットの中にプラスチックのカップを2つ入れて、水を入れておきます。
    貝母ユリのバスケットアレンジ
  2. 貝母ユリを入れます。1本ずつ丁寧に。長い、短い、手前、後ろと、強弱の差を付けて入れます。
    整えすぎず、摘んできた花をざっくりと入れているという印象になるようにしましょう。
    貝母ユリのバスケットアレンジ
  3. オーニソガラム・ダビウムを入れます。
    差し色として使うので、あまりたくさん入れないようにします。
    貝母ユリのバスケットアレンジ
  4. クリスマスローズを入れます。
  5. 全体を整えて完成です。
貝母ユリのバスケットアレンジ

<和風のバスケット>

貝母ユリの和風バスケットアレンジ

スクエア形のバスケットと同じ要領で、和風のバスケットにもアレンジできます。

バスケットの中にプラスチックのカップを入れ、水を入れます。

貝母ユリを1本ずつ入れていきます。こちらは、貝母ユリだけの一種活けで。

貝母ユリの和風バスケットアレンジ
アレンジを上から見たところ。

茶花のこと

貝母ユリの和風バスケットアレンジ

茶花の活け方は、たくさんの花を取り入れる生け花や、さらにたっぷりと花を使うフラワーアレンジメントとはだいぶ趣が違います。

炉の季節(11〜4月)なら1種か2種、風炉の季節(5〜10月)でも5〜7種くらいの花を、すっきりと、季節を早めにとらえて入れること。そして花は、つぼみが固からず咲きすぎず、花の形が美しいもの、何よりも葉が美しいものを用いることも大切です。

お茶席の花は、少数精鋭で成り立っていますから、一輪の花、一枚の葉、茎のしなり方、その一つひとつの姿でスタイルが決まるという、とても緊張感がある活け方だと思います。

今から30年ほど前に、パリにあるフラワーアレンジメントの学校に通いました。校長だったモニック・ゴチェ先生は、当時60代の、私がイメージするパリのマダムそのままの、とてもエレガントで素敵な方でした。そんな先生は若い頃、日本の生け花を勉強したとおっしゃっていました。先生の作風から、ikebanaの雰囲気を取り入れているところを感じ、日本人の私はとても誇らしく思ったものです。

千利休の「花は野にあるように」との教えのように、花は自然の姿が一番美しいですね。私もいつも「ナチュラルに」「整えすぎない」ということを心がけているのですが、それはなんとなく「おおざっぱ」「ざっくり」な感じのほうが強く、「まだまだ修行が足りん!」と思うばかりです。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/

参考:「茶花必携ー入れ方と育て方」淡交社

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