イギリス発祥の「ティータオル」がキッチンライフをお手伝い【ルーシーのおいしい暮らし】
![イギリス発祥の「ティータオル」がキッチンライフをお手伝い【ルーシーのおいしい暮らし】](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/35f5c8ad97c1fc643f0021e37f16abf3.jpg)
みなさん「ティータオル」使っていますか? ティータオルは、デザイン、絵柄も楽しく毎日のキッチンで大活躍するアイテム。イギリスの観光名所やナショナルトラストのショップに行くと必ず販売されています。コットン製とリネン製がありますが、最近はコットンが主流です。テーブルにかけてティータイムを楽しみ、糊が取れてきたらお皿拭きに。実用性があり、集めるのも使うのも楽しいティータオル。今回はティータオルの歴史や使い方を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんに教えていただきます。
目次
ティータオルとは
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/f76eafc9dc7ba4b1c8b5c255e2033066.jpg)
イギリスに行くと、お土産屋さんや雑貨店、ミュージアムショップなど、至るところで目にするのが「ティータオル」。私のお店でも取り扱っていますが、日本では知名度がまだまだなようで、「これは何をするもの?」とよく聞かれます。ついつい「布物」を買ってしまうのが、女の「サガ」。箪笥の肥やしになってしまっている方も多いかもしれません。ティータオルはいわゆる「布巾」、オシャレにいえば、キッチンクロスです。
![アルスターウィーバーズ社のティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/12ceea4f969de5a38e803baca4946f07.jpg)
ティータオルはその名の通り、お茶と深い関係があります。時は19世紀イギリス、アッパークラスの女性たちの間で、紅茶を楽しむ際に使われたのが「ティータオル」。当時のティータオルはテーブルクロスなどとマッチするようにデザインされ、家紋や美しい花の刺繍を施した、華やかなオシャレアイテムでした。見た目の美しさはもちろん、熱々の紅茶が入ったポットを保温のために包んだり、バスケットに入れたスコーンやサンドイッチを包んで乾燥を防ぐために使われたりと、ティーセレモニーで才色兼備に活躍していたようです。
![イギリスの刺繍入りアンティーククロス](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/03ae08bc1ce544fbd99610bc224404ff.jpg)
そのほか、屋外で楽しむガーデンピクニックでは、サンドイッチやケーキにかけて虫除けにも使われていたそう。そして楽しいパーティーの後は、ボーンチャイナのお高いカップやソーサーを「不器用な使用人」には拭かせず、彼女たち自らそのティータオルで綺麗に拭き上げていたようです。
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/99b790443b9f7d52e113fe4c138aa4a4.jpg)
本来のティータオルの素材はリネンで、アイルランドの産物「アイリッシュリネン」で製作されていました。吸水性は綿の約4倍で、かつ乾きが早く、耐摩耗性もあり、丈夫で長持ちするリネン。洗うごとに手触りが優しくなり、風合いもよくなります。後に食器類全般を拭く布を総称して「ティータオル」と呼ぶようになりました。ソフト&スムースなリネン製ティータオルは、19世紀のレディーたちにとって、高価でデリケートな茶器を傷つけることなく拭ける最適な素材だったようです。
![年季の入ったティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/ea842daf6fd68c6e9154a2cbb98e1c09.jpg)
使い込むほどに使い勝手がよくなるので、お恥ずかしいほど「ボロボロ」になるまで愛用。丈夫なものを大切に長く使い込む信念も、イギリスらしさなのかもしれません。丁寧な暮らしなのか、雑な暮らしか…ギリギリのラインかも。
世界中で活躍するキッチンクロス
![フランスの古いトーション](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/15b04afb3a0fed064d855e4af8238dda.jpg)
他の欧米諸国でも同じようなものが存在します。アメリカでは「ディッシュタオル」と呼ばれ、ティータオルよりも厚め、ワッフル地のような素材のものが多く売られています。フランスでは「トーション」と呼ばれ、昔は綺麗な刺繍入りのトーションが嫁入り道具の一つだったようです。日本の布巾との違いは、サイズ感。欧米のものは50×70cmほどの大判です。日本の布巾と比べるとかなり大きく感じますが、ディナー皿など、使っている食器が日本より大きいので、このくらいのサイズ感になったのでしょう
スーベニア from ご当地! お土産の定番ティータオル
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/42d8151e3d177c53c309e8852011c792.jpg)
イギリス産業革命後、実用的なティータオルは安価なコットン製に素材を変えて、一般家庭に急速に普及しました。ちょうどその頃、鉄道の発展により気軽に庶民が「国内旅行」を楽しめるようになり、各地でお土産産業が盛んになりました。
![ロンドンのティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/3c46d89aa0db85ef299be788c4640cd1.jpg)
ご当地の名所や名産が描かれたティータオルがお土産の定番に。ご当地土産で想像しちゃうのは、おじいちゃんの家の長押(なげし)に掛かっていた、日本のザ・昭和な「ペナント」や「提灯」。一つ間違えたら、ありがた迷惑なお土産「いやげもの」となりそうな、自己主張強めの雰囲気がたまりません。
![お土産](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/0d855ae984c0711e936b87220ef64d69.jpg)
高校生の時、オーストラリアでホームステイをした際の母へのお土産は、もちろんティータオル。オーストラリアといえば! のカンガルー柄と、観光で立ち寄った場所のご当地モノ。20年以上経った今でも現役で、高校生の「リトル ルーシー」の思い出と共に、実家のキッチンで活躍しています。
広告やノベルティーのティータオル
![紅茶メーカーのヴィンテージティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/bf9ca4c3fb46bc5e72197b9b02828982.jpg)
ティータオルの使用が一般家庭に広がると、企業の広告やノベルティーにも使われるようになりました。昭和の「手ぬぐい」プロモーション的感覚かしら? イギリスでの買い付けの際にヴィンテージのものを見かけると、ついつい買ってしまいます。
![紅茶メーカーのノベルティー](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/123f8ea208c992c1f78c09ca6f6ebe2f.jpg)
ティータオルはマルチファンクショナル
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/8c8473c92525097cd5353111d4f7b700.jpg)
ただの布切れと侮るなかれ、ティータオルはマルチファンクショナル! 使い道は百変化。買ったばっかりの時は、糊が効いていてパリッとしています。柄物を季節に合わせてタペストリーとして飾ってみたり、小窓のカフェカーテンにしたり、ティータイムにトレイの下に敷くのもよいでしょう。
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/bba13f1a35f1af510e4a7d270f024f75.jpg)
何度か洗濯し糊がとれてくると、布本来の柔らかさが出てきます。私はオシャレ使いというより、もっぱら実用派で、もはや「三種の神器」in キッチンの一つ。包んだり、拭いたり、なんでもできる魔法の布なのです。あとの2つの神器は…うーん、なんだろう。
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/67a0341a79726646c1019ef96a718c90.jpg)
![ティータオルの使い方](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/42f29071bb6d8595f72bc94023acf456.jpg)
パーティーなどで、長時間テーブルにパンを置いておく時は、ティータオルでパンをお包み。せっかくの美味しいパンがカサカサになるのを防いでくれます。
![ティータオルの使い方](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/5970b845a11cca0cb9ed79f89cd0cd92.jpg)
手軽なエプロンとしても重宝します。ポケットにティータオルの端をギュッと挟み込めば、一丁上がり。「包丁一本、ティータオル(さらし)に巻いて〜」と鼻歌まじりに、楽しいお料理タイムのはじまり!
![ティータオルの使い方](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/0bf249476c194b52c651af67f36dca5e.jpg)
針仕事が得意なら、エコバッグやクッションに仕立ててみるのもおすすめです。あの「ゴッホ」はキャンバスが手に入らないとき、ティータオルやテーブルクロスに作品を描いたとか。
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/abb93ea84c23ed76948949f9fe7c1373.jpg)
新しいティータオルを使い込んで、柔らかく育てていくのは、ノンウォッシュのデニムを履き込むのに似ています。汚れもほつれも可愛く見えちゃう。お気に入りの道具を使えば、キッチンでの時間がさらに楽しくなるでしょう♡ イギリス式キッチンクロス「ティータオル」、この機会に、ぜひお試しください。
ルーシーセレクトの4種のティータオル
ガーデンストーリーWebショップで販売 ※完売しました
![アルスターウィーバーズ社のティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/12ceea4f969de5a38e803baca4946f07.jpg)
キッチンファブリックを幅広く扱い、王室御用達を承る北アイルランド発キッチンリネンブランド「アルスターウィーバーズ」社のティータオルから、ガーデンストーリーをイメージした4種のモチーフをルーシーさんが選んでくれました。
![ティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/0372143bb63a6cd4a4389745e2573715.jpg)
テーブルにかけてティータイムを楽しみ、糊が取れてきたらお皿拭きに。実用性があり、集めるのも使うのも楽しいティータオル。キッチンアイテムとして、また、ギフトにもおすすめです。
セレクト1 『mothers day』
![Mother’s Dayのティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/062b2460f0fb9191664ecf1a8251a592.jpg)
ハートや花モチーフに「私のお母さんが一番!」のメッセージが書かれた元気カラーのティータオル。
素材/Linen 100% サイズ/74x47cm
セレクト2 『rainy days』
![rainy days のティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/987ace6ed695edfe1a20403363587fa6.jpg)
雨の多いイギリスの街をポップに表現。ロンドンバスとイギリス近衛兵の赤がアクセント。
素材/Cotton 100% サイズ/74x47cm
セレクト3 『teacups』
![teacupsのティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/a1b85a42ff70492d3ef96b96b3048fd6.jpg)
ブルーのカップとポットがずらりと描かれて、和にも洋にも合う飽きのこないティータオル。
素材/Cotton 100% サイズ/74x47cm
セレクト4 『wildflowers』
![wildflowersのティータオル](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2022/04/623510c08733261eca93dd8e4d1a63c0.jpg)
スミレやワスレナグサ、デージーなど、イギリスの野の花がラフに描かれたティータオル。
素材/Cotton 100% サイズ/74x47cm
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
![](https://gardenstory.jp/wp-content/uploads/2019/11/9f726f66196ec8a708191b7151132a74-e1573009691113.jpg)
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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