今、免疫力アップの効果で注目されている有用植物のハーブ。ナチュラルに過ごすおうち時間の楽しみとしてもハーブを取り入れる人が増えています。ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが、植物とのさまざまな関わりを通して、より健康で心地よい暮らしを実現する提案をする連載【乙庭Styleのガーデンセラピー】。健康や美容をサポートしてくれて、見て美しく飲んでも美味しいスパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒の材料と、その効用についてご紹介します。

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パーティーにも普段飲みにも! 美容・健康も考えたスパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒 材料解説編

前回記事「罪悪感なく華やぎ気分でお酒を!健康・美容も考えたスパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒」では、お酒の華やぎ感を楽しみつつ、砂糖不使用(※)で、むしろ健康によい成分や栄養素まで摂取できてしまうスパークリングロゼのハーブ&フルーツ酒のレシピを紹介しました。

※材料で使うフルーツ類は果糖を含みます。

スパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒

罪悪感なく華やぎ気分でお酒を! 健康•美容も考えたスパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒のレシピ【乙庭Styleのガーデンセラピー12】

美容健康によい材料をたくさん取り入れたレシピなのですが、各材料の栄養や美容健康に有効な成分などについてあまり触れなかったので、今回の記事ではその原料に使った素材に期待できる効果効能や栄養素などについて詳しく解説したいと思います。

スパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒

私も以前は今より10kg以上太っていた時期があり、主に食生活習慣を見直すことで、元の体重にまで戻しました。私は夕食時に少しお酒を飲むことも多いのですが、飲む機会の多いお酒だからこそ、罪悪感やリバウンドの心配なく、むしろ健康によい方向で嗜みたいなと思い、開発したレシピです。

メディカルハーブの成分をアルコールで抽出するチンキの考え方と果実酒の手法を組み合わせ応用した原酒を作り、それを炭酸水で割った、ルビー色のスパークリングワインのような見た目のドリンクです。ベリー類の風味もふわっと口の中に広がり、甘さ控えめのさっぱりした飲み口で、食事にもよく合いますよ。

コロナ禍の影響でおうち飲みの機会も増えていると思います。前回の記事と併せて読んでいただき、華やぎのある一杯で、みなさんの健康で楽しいお酒ライフのお役に立てたら幸いです。

原材料に含まれる健康・美容成分

復習になりますが、前回紹介したレシピは、メディカルハーブの水溶性・脂溶性の両方の有効成分をアルコールに抽出する「チンキ」の考え方と、果実酒の手法を組み合わせたものでした。この手法では、ハーブの成分と、フルーツ由来の植物色素や栄養素を、お酒を飲みながら摂取できます。

チンキ
iva/Shutterstock.com

メディカルハーブの分野では、チンキはメジャーな利用法です。とはいえ、チンキ液はやはり「薬用」の印象が強く、これをお酒として飲むイメージに転換することは、ちょっとしにくいかもしれませんね。

エリスリトール

通常の果実酒では氷砂糖をたくさん入れますが、本レシピでは、糖質を極力オフし、果実本来の自然でさっぱりした風味や甘味を生かすため、砂糖不使用で、健康に害のないカロリーゼロの糖アルコール甘味料「エリスリトール」を使用しています。

蒸留酒に含まれるカロリーは「エンプティカロリー」と呼ばれ、体内で熱として変換されて代謝されるために、脂肪として蓄積されにくく、肥満の原因にはなりにくいことも前回お伝えしました。

フルーツ
ecaterina corovina/Shutterstock.com

使用するベリー類やレモンなどの果実には果糖も含まれるのですが、それ以外にも各種ビタミン類やミネラルのほか、消化器系の健康によい食物繊維、ポリフェロールなどフィトケミカル(植物化学成分)も多く含まれており、免疫力の向上や、抗炎症・抗酸化作用も期待できます。添加糖などを含む加工度の高いジュースのような形ではなく、まるごとの果物の成分を摂取するのであれば、デメリットよりも私たちの健康や美容に有効なメリットのほうが大きいと考えられます。

フルーツ
Pikoso.kz/Shutterstock.com

なかでも本レシピで使用するベリー類とレモンは、フルーツの中でも栄養価が高く糖質も少なめなので、健康や美容を意識している方でも安心して食べられる素材といってよいでしょう。

では、前回レシピで使用したハーブ、フルーツなどについて解説していきますね。

レモン (Citrus limon)

爽やかな香りと酸味が気分をリフレッシュしてくれるレモン。レモンに豊富に含まれるビタミンCは、皮膚や骨、血管に多く含まれるコラーゲンの生成に不可欠な成分です。

レモン
IgorZh/Shutterstock.com

またビタミンCの抗酸化作用により、老化を予防したり、クエン酸がカルシウムなどのミネラルの吸収や疲労回復をサポートします。その他、白い中皮や筋に含まれるポリフェノール へスペリジンには血流を促し中性脂肪を下げる効果、黄色い皮に含まれる香り成分 リモネンにはリラックス効果があります。ぜひ皮ごと利用したい果物なので、ワックスや防カビ剤不使用のものを選びましょう。

ハイビスカス (Hibiscus sabdariffa)

鮮やかな赤色のハーブティーでもおなじみのハーブです。別名ローゼルとも呼ばれるハイビスカス・アブダリファの、ガクの部分を乾燥させた状態で流通しています。

ローゼル
Longklong/Shutterstock.com

メディカルハーブとしてのハイビスカスは、ビタミンCがコラーゲンを生成、クエン酸・リンゴ酸が新陳代謝を促して肉体疲労や眼精疲労の回復を手助けします。また、カリウムを豊富に含むため、利尿作用もあり二日酔いやむくみの改善にもよいといわれています。

ローズヒップ (Rosa canina)

ローズヒップは「ビタミンCの爆弾」とも呼ばれ、前出のハイビスカスと組み合わせた赤いハーブティーが定番的に親しまれていますよね。

ローズヒップ
pilipphoto/Shutterstock.com

ローズヒップにはレモンの約20倍ものビタミンCが含まれます。ローズヒップに含まれるビタミンCは熱に強い性質を持つため、体内でより効率的に吸収されます。また、赤色のカロテノイドであるリコピン、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミン類もなどを豊富に含んでいて、身体に必要な栄養の補給や抗酸化にも役立ちます。

マルベリーリーフ (Morus alba)

マルベリーリーフはいわゆる「桑の葉」です。葉を乾燥・粉砕したドライハーブの状態で流通しています。

桑
inewsfoto/Shutterstock.com

マルベリーの葉にはDNJ(デオキシノジリマイシン)という成分が含まれ、特に食前にハーブティーなどで飲用すると、DNJが多糖類の分解吸収を抑制するため、減量や糖尿病をはじめとする生活習慣病予防に利用されています。また、化粧品にも使用されるクワノンという美白成分を含んでいたり、吸収を抑制された糖質が腸内細菌のエサとなり腸内環境や便秘の改善に役立つなど、美容面でも嬉しい効果が期待できます。日本人に不足しがちな必須ミネラル 亜鉛を含む数少ないハーブの一つでもあります。

ラズベリーリーフ (Rubus idaeus)

果実が食用されるラズベリーの葉も、メディカルハーブとして多く活用されるものの一つです。

ラズベリー
Kostiantyn Kravchenko/Shutterstock.com

ラズベリーリーフは「安産のためのハーブ」として広く知られています、ラズベリーリーフに含まれるフラガリンという成分が子宮の筋肉収縮を調整するはたらきがあることから、出産の前後に飲んだり、女性特有の月経痛や更年期、PMSなどの不調緩和にもよいといわれています。またラズベリーリーフには「エラグ酸」も多く含まれており、エラグ酸にはシミの生成に関わる「チロシナーゼ」という酵素のはたらきを抑える作用があることから、肌ケアにも効果が期待できます。その他、ビタミンC、カルシウム、鉄分、マンガンなどのビタミン・ミネラル類も含みます。

ネトルリーフ (Urtica dioica)

西洋イラクサとも呼ばれるシソ科の植物で、こちらも乾燥・粉砕されたドライハーブの状態で入手できます。

ネトルリーフ
Lunov Mykola/Shutterstock.com

ネトルは欧米の植物療法ではとても重要なハーブとして知られ、はるか昔から現代に至るまで重用されてきました。ネトルの含有成分は、豊富なフラボノイドやフラボノイド配糖体、それにクロロフィル(葉緑素)やフィトステロール、さらにはβ-カロチンやビタミンCにケイ素、カルシウム、カリウム、鉄などのミネラル、さらには葉酸など多岐にわたります。その複合的な作用として、体の中の老廃物の排泄を促すことによって血液を浄化し、アトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー性疾患予防に効果が期待できます。また、ケイ素が、コラーゲンやエラスチンといった結合組織に働いて肌・爪・髪などの構造を強化することから、ネトルは血液浄化以外にも爪や髪の弱質化や皮膚の修復など、美容分野でも注目されています。

クコの実 (Lycium chinense)

クコの実は、楊貴妃が毎日食べていたともいわれ、古くから重用されてきた美容・健康フードです。

クコの実
lzf/Shutterstock.com

今日でも薬膳料理にしばしば用いられますよね。海外では「ゴジベリー」「ウルフベリー」の名で、主にドライフルーツの形で食され、栄養価豊富なスーパーフードとして海外セレブにも人気の食材です。

クコの実
Dream79/Shutterstock.com

クコの木自体は日本の気候環境でも育てやすい低木ですので、庭で育ててみるのもよいですね。

クコの実にはビタミンB1・B2、ビタミンC、ベータカロテンのゼアキサンチン、アミノ酸の一種ベタイン、ポリフェノール類など、とても多くの栄養素が含まれています。豊富な抗酸化物質や抗脂肪肝作用のあるベタインなどの相乗効果で、生活習慣病予防、滋養強壮や視力回復、免疫力の向上、美肌やアンチエイジングなどの効果も期待できます。

ラズベリー (Rubus idaeus)

メディカルハーブとしても重用される葉だけでなく、ラズベリーの実も健康・美容に役立つ栄養素をたくさん含んでいます。

ラズベリー
Dionisvera/Shutterstock.com

特に注目されているのは、ラズベリーの香り成分に含まれる「ラズベリーケトン」のダイエット効果。ラズベリーケトンには、脂肪細胞に直接作用して脂肪分解を促す作用があると報告されています。また、ラズベリーリーフと同様に実にも含まれるエラグ酸には、細胞の突然変異を抑え、体中の毒素を排除する作用があるため、健康効果が期待されています。

エラグ酸は抗酸化力も強く加齢によるしわやたるみなどの老化現象を防ぐ効果も期待できるとともに、メラニン生成に関わる酵素 チロシナーゼの活性化を防ぐ効果があり、この働きによってもシミの原因であるメラニンが生成されることを防いだり、美白効果が注目されています。

ブラックベリー (Rubus fruticosus)

ブラックベリー
Vipvit/Shutterstock.com

ブラックベリーは、抗酸化作用に優れ血行をよくするビタミンEを多く含み、その他エラグ酸、アントシアニンなどの抗酸化物質を豊富に含むため、高血圧や心筋梗塞などの生活習慣病予防や肩こり・冷え性の改善、美白やアンチエイジング効果をサポートします。

また、クエン酸による疲労回復効果やビタミンCによる美肌・抗ストレス効果、豊富な水溶性食物繊維ぺクチンによる便秘や肥満の予防・改善効果など、さまざまな健康・美容効果が期待できます。

ブルーベリー (Vaccinium sect. Cyanococcus)

ブルーベリーに含まれる色素アントシアニンやビタミンAなどの相乗効果で、加齢や目の疲れからくるかすみ・ぼやけを予防・改善したり、目の網膜を丈夫にして夜盲症を予防するなど、視機能改善をサポートすることが広く知られていますよね。

ブルーベリー
Valentyn Volkov/Shutterstock.com

それ以外にも、ブルーベリーに多く含まれるアントシアニンをはじめとするポリフェノール類やビタミンEには強い抗酸化力があり、体内の活性酸素を除去し、さまざまな生活習慣病の予防やアンチエイジング効果が期待できます。

また、ブルーベリーは、皮膚のコラーゲンの生成に欠かせないビタミンCや、腸内環境の改善や便秘や肥満の予防に役立つ水溶性食物繊維ペクチン、健康維持に欠かせない鉄分や亜鉛などのミネラル類も豊富に含み、美味しいだけでなく健康・美容の観点からもとても魅力的な食材といえるでしょう。

エリスリトール (Erythritol)

エリスリトールは血糖値を上げない糖アルコール系甘味料で、インスリンの分泌にも影響をきたさないという報告から、肥満による生活習慣病や糖尿病対策、ダイエットでの利用関心度が高まりつつあります。

エリスリトール
Kabachki.photo/Shutterstock.com

エリスリトールの甘味度は砂糖の約70~80%で、冷涼感がある味わいが特徴。砂糖と比べて冷たい液体に溶けにくいので、その点を考慮して使用するとよいでしょう。

また、エリスリトールは過剰に摂りすぎるとお腹が緩くなることがあります。1日の摂取最大量の目安は40g程度といわれています。

※自然の恵みが詰まったハーブですが、妊娠中・授乳中の方、治療中の病気がある方、体質等の心配がある方は、使用できない種類もあります。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。

 

2記事に分けて解説してきました「健康•美容も考えたスパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒 」のご紹介は、いかがでしたでしょうか。

スパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒

私は日本メディカルハーブ協会(JAMHA)のハーバルセラピスト資格を取得しており、私自身も日々の生活の中で、健康とエイジングケアによく、かつ美味しく楽しめる食べものを選んだり、新しい食べ方を工夫したりして、常に食習慣のアップデートを図っています。

そして、私は新しい園芸や植栽のあり方を考え突き進む植栽家でもあります。既成の価値観や知識のよい部分を組み合わせたり応用して、新しい世界観を提示していきたいと常に思っています。

これからも折りにつけ、「一見とてもギルティだけど、じつはむしろ健康によい」皮肉美味しい食べ物飲み物のレシピをご紹介していきたいと思います。

ガーデンセラピーにおける「住まい方療法」としての植物のある食生活

私は、園芸や植栽設計を職業にしていますが、もともと私生活でもアロマセラピーや野菜料理などが好きで、園芸以外の生活の多くの場面でも植物と関わってきました。自身の経験で得た知見や知識が他の多くの方々の生活の役に立てたらいいなと思い、「ガーデンセラピーコーディネーター1級」資格を取得しました。

ガーデンセラピー

ガーデンセラピーは、住まいに植物を取り入れ、日常的にさまざまなカタチで自然と接することにより、健康的な暮らし、健康寿命の増進を実現する療法です。「生活習慣を見直し、心身共に豊かな住まい方、ライフスタイルを作り上げていくことを目指す」とのことで、まさに私に日常生活やこれまでの人生をそのまま生かせる資格だと思いました。

ガーデンセラピー

ガーデンセラピーでは、「住まい方療法」として「芳香療法」「芸術療法」「森林療法」「食事療法」「園芸療法」という5つの方向性から、統合的に人生の質や幸福度の向上を考えていきます。

今回のハーブ&フルーツ酒レシピも、ともすると「健康によくない側」に作用しがちな砂糖たっぷり入りのカクテルを、植物性の健康に害のない素材を用いて発想転換する食事療法的提案です。

もしガーデンセラピーに興味を持たれましたら、ぜひ「一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会」のサイトをチェックしてみてください。生活の中での植物との関わり方が変わるかもしれませんよ。

スパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒

「専門性の進化と、異分野との接触のバランスを実現しなければならない。」

ピーター・ドラッカー(Peter Drucker 経営学者 1909 – 2005)

Credit


写真&文/太田敦雄
「ACID NATURE 乙庭」代表。園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、日本メディカルハーブ協会 ハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。

「ACID NATURE 乙庭」オンラインショップ http://garden0220.ocnk.net
「ACID NATURE 乙庭」WEBサイト http://garden0220.jp

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