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まだまだ寒い日が続きますが、フラワーショップには一足先に春が訪れています。フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスンで今回ご紹介するのは、香りのよい春の花を使ったアレンジメント。優しい色合いも春らしく、飾れば部屋中に早春の香りが広がります。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。ちょっとしたコツと自由な発想で、季節の花アレンジを楽しみましょう。

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香りのよい花

まだまだ寒さが続きますが、フラワーショップには早くも春の花が並んでいます。春は香りのよい花が多いですね。お店の前を通ると、ふわっと優しい香りがします。

春に香りのよい花が多いのは、鳥や虫にアピールするため。香りで誘い、花粉を運んでもらうのです。

春の花アレンジ

今回のアレンジに揃えたのは、ストック、スイートピー、ロウバイという、香りのよい春の花。

香りの強い花は、白いものが多いそうです。白+クリーム色+黄色のグラデーションの色合わせで、パッと明るく、そして春の香りで、寒さを吹き飛ばしましょう!

玄関に飾っておくと、辺りがとてもよい香りでいっぱいになります。

アレンジに使った花

春の花アレンジ
  • ストック(スタンダードタイプ) 2本
  • ストック(スプレータイプ) 2本
  • スイートピー 5本
  • ロウバイ 2本
  • 陶製の器 直径14cm
ストック
右がスタンダードタイプ、左がスプレータイプのストック。

アレンジの手順

  1. 器に水を半分ほど入れます。
  2. ストック(スタンダードタイプ)を器の縁に掛かるように入れます。
    春の花アレンジ
  3. ロウバイの枝を入れます。
    枝ぶりを見て、収まりがよいところに入れます。左右どちらかを長くすると、動きが出ます。
    春の香りの花アレンジ
  4. ストック(スプレータイプ)を入れます。
    スプレータイプのストックは枝ごとにカットし、グルーピングして(まとめて)入れます。
  5. スイートピーを入れます。
    長いスイートピーをロウバイの枝の間に入れると、馴染みがよくなります。
    短めのスイートピーは、まとめて器の後ろのほうに入れます。
    春の香りの花アレンジ
  6. 出来上がり。
春の香りの花アレンジ

*アクセントに、チェック柄のリボンを添えてみました。

春の香りの花アレンジ

*余ったスプレーストックとスイートピー 、ロウバイを、マグカップにも活けました。器が小さくなっても、手順は同じように。

春の香りの花アレンジ

グルーピングで入れよう

春の香りの花アレンジ
アレンジを上から見たところ。スプレーストックやスイートピーをまとめて入れてあります。

フラワーアレンジメントのテクニックの一つに、「グルーピング」というものがあります。

「グルーピング」というのは、それぞれの花をバラバラに混ぜ合わせるというのではなく、花材の植物を種類ごとに「グループ」にまとめて配置するという方法です。

バラバラに散らすよりもグループにしてアレンジすることによって、その花の印象がより強くなります。

今回のアレンジの場合、スプレータイプのストックとスイートピーをグルーピングしました。1本ずつの印象は弱くても、ひとかたまりにするとボリューミーになって存在感が増します。

全体に混ぜ合わせるスタイルは、トラディショナルでクラシックな印象。グルーピングでアレンジするスタイルは、すっきりスタイリッシュという違いがあるように思います。

花の香りについて

春の花の香り

先日、花の香りについて、とても参考になる記事を読みました。

「大田花き花の生活研究所サイト」の「香りの提案」というページで、「切花として流通している多数の品目から、香りの強い品目、特徴的な香りを持つ品目を選び、専門家による調査分析を行い、植物毎の成分をまとめ」たものです。

少し前の記事ですが、普段よくアレンジで使う身近な花の香りについて、詳しく記載されています。

<ストック>

*ストックはオイゲノール系のスパイシーな香りを主体にリナロールなどフローラル調の甘い香りを併せ持つ。

*花香全体の約50%近くもオイゲノールと呼ばれる成分を含み、丁子(クローブ)やカーネーションに似たスパイシーでパウダリーな強い香りが特徴。

*品種による香りの違いはなく、スタンダードとスプレー、どちらのタイプも同様の香りを持っている。

*ストックは切り花品種では、スプレータイプよりもスタンダードタイプのほうが香りが強い。

*一般的な園芸品種では一重咲きよりも八重咲きのほうが香りが強い傾向にある。

*香水の調香にも必要な香りの要素として使われている。

以上のことが書かれていました。

私はストックの香りがとても好きですが、強めの香りでツンとするところがあると感じていました。あらためてストックをよくよく嗅いでみると、このツンとするところは、「スパイシーでクローブに似た香り」というところなのかなと思います。

<スイートピー>

*スイートピーの原種は、ヒヤシンス・スミレのような香りに、ジャスミンなどにもみられる濃厚な匂いをともなう力強い芳香がある。

*香りのベースは現在の流通品種にも受け継がれている。

*原種に近い品種は各芳香成分がバランスよく含まれている。

とのことです。

フローラルの香りのリナロール、バラに含まれているゲラニオールなどが多いのと、ブドウに似た甘いフルーティーな香りもあるとのことで、なるほど、スイートピーがとてもとてもよい香りというのは納得です。

スイートピーは品種改良が盛んな花でもあり、近年の品種には微香のものや、バラ、柑橘類、フレッシュグリーンの爽やかな香りのものもあるようです。

<ロウバイ>

ロウバイは冬を代表する芳香花木。蝋細工のような小さな花が可愛らしいですね。英名はWinter Sweet。冬の甘い香りの花です。

*ロウバイの香りの主成分は、シネオール、ボルネオール、リナロールなどの芳香成分。

*甘くフルーティーで、微かに石鹸のような清潔感がある香りが特徴。

黄色の花と優しい香りが、どことなく懐かしく感じられ、落ちついた気持ちになります。

私はといえば、だいたいこの時季の花はどれも、ざっくりと「早春の香り」と一括りでイメージしていました。ところが、科学的分析の結果、それぞれの花はそれぞれ特徴的な香りの成分を持っていて、その複雑な組み合わせでできていると知りました。それはまさに天然のフレグランスそのもの。花を一輪飾るだけでも、その効果は発揮されます。玄関がふわっとよい香りに包まれていると、とても気持ちがよいものです。

春の香りの花アレンジ

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/

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