罪悪感なく華やぎ気分でお酒を! スパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒のレシピ
今、免疫力アップの効果で注目されている有用植物のハーブ。ナチュラルに過ごすおうち時間の楽しみとしてもハーブを取り入れる人が増えています。ボタニカルショップのオーナーで園芸家の太田敦雄さんが、植物とのさまざまな関わりを通して、より健康で心地よい暮らしの実現を提案する連載【乙庭Styleのガーデンセラピー】。健康や美容をサポートしてくれて、飲んでも美味しいスパークリングルビーのフルーツ&ハーブ酒のレシピをご紹介します。
目次
おうちパーティーにも普段飲みにも! 美容・健康も考えたスパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒
長引くコロナ禍の影響もあり、華やぎ気分での飲食なども、おうちで済ませることが増えましたよね。アットホームな飲食もとても楽しいのですが、特に運動量が少なくなり代謝が落ちぎみの冬場は、こういった飲み食いで意外と太りやすかったりします。
家飲みなどでも好まれるワインやビールなどの醸造酒は糖質も多く、私の経験上、飲む機会が増えると結構目に見えて太るんですよね。実は、私も以前は今より10kg以上太っていた時期があり、一念発起して4カ月で、元の体重にまで戻しました。そんな過去の経験もあり、「リバウンドしないようにお酒を楽しむ」ことは、私の食生活の中でも一大テーマになっています。
そこで今回は、お酒の華やぎ感を楽しみつつ、砂糖不使用(※)で、むしろ健康によい成分や栄養素まで摂取できてしまうスパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒をご紹介します。
※レシピ中の果実類は果糖を含みます。ダイエット中の方は飲みすぎに注意しましょう。
※お酒で食事が進みすぎると太る原因になるのでご注意ください。
私も夕食時に少しお酒を飲むことが多いのですが、飲む機会の多いお酒だからこそ、罪悪感なく、健康によい方向でたしなみたいなと思い、開発したレシピです。
メディカルハーブの成分をアルコールで抽出するチンキの考え方と果実酒の手法を応用した原酒を炭酸水で割った、ルビー色のスパークリングワインのような見た目のドリンクです。ベリー類の風味もふわっと口の中に広がり、甘さ控えめのさっぱりした飲み口で、食事にもよく合いますよ。
パーティーの席などで、ダイエットを気にしてノンシュガードリンクにしたり、「今日だけハメをハズしちゃおう」という罪悪感をもってお酒を飲むのも少し寂しいですよね。
コロナ禍の影響で、おうち飲みの機会も増えていると思います。
華やぎのある一杯で、みなさんの美容健康を保ちつつ、楽しいお酒ライフのお役に立てたら幸いです。
お酒って太るんじゃないですか?
お酒を飲むと太ったり、健康にとてもよくないイメージがありますよね。肥満による生活習慣病のリスクが取り沙汰されることも多い昨今、お酒を飲むことで太ったり、健康を害することは避けたいところでしょう。
とはいえ、完全に断酒するのは難しいし抵抗を感じる、という方も多いと思います。心中お察しいたします。度をすぎない程度にポジティブにお酒と付き合う、その「お酒との付き合い方・バランス」について考えてみたいところですね。
醸造酒のビールやワインは、材料の糖質も含めて醸造されるお酒です。カロリーで比較すると蒸留酒のウイスキーやウオッカよりも低いのですが、じつは100mlあたり3g以上の糖質を含みます。
このように醸造酒は、糖質量で見ると蒸留酒よりもはるかに多く、血糖値が急上昇したり、太ったりすることの原因になりやすいお酒なんですね。
また、余分な糖質は脂肪となって蓄積され、肥満の原因となるだけでなく、体内で余分な糖分とタンパク質が結びついて、シミ・シワなど老化の原因となる終末糖化産物(AGEs)になるなど、私たちの身体にいろいろな害を生じさせます。
というわけで、健康やエイジングケアの観点からすると、醸造酒を飲んで身体にメリットになることはあまりないのです。
その点、ウイスキーやウオッカなどの蒸留酒は、蒸留の過程で糖質がほとんどカットされるうえ、タンパク質や脂質も含まれていません。ビールやワインのような糖質を含まないので、急激な血糖値上昇や、過剰な糖質が脂肪に転換されることがなく、太る原因にはなりにくいのですね。
それでも、たとえば今回のレシピで私が使用したアルコール50度のウォッカも、アルコール由来のカロリーで100mlあたり約280kcalものエネルギー量があります。
一見、とても太りそうな感じがするのですが、アルコールのカロリーは「エンプティ・カロリー」とも呼ばれ、素早く身体の活動エネルギーや熱に変換されて、優先的に利用・代謝されていくため、体に蓄積されにくいという特徴があります。
以上のような観点から、糖質による肥満を避けたい場合や、血糖値の乱高下を気にされる場合、ウイスキーやウオッカなどの蒸留酒が、お酒のチョイスとしてはおすすめといえるでしょう。
※個人のアルコール代謝許容量を超えた飲酒は、エンプティ・カロリーでも中性脂肪として身体に蓄えられてしまいますので、飲みすぎには注意しましょう。
※カクテルなどにして砂糖やシロップを使用すれば、糖質を多く摂取することになってしまいますし、お酒に伴って食が進んでも太る原因になります。飲み方、食べ方も含め、バランスよくお酒をたしなみましょう。
ハーブチンキの考え方も取り入れ、健康・美容にも役立つ成分をお酒から摂取
私は、ハーバルセラピストの資格も取得し、メディカルハーブを日常生活に実践的に取り入れたいなと日々研究しています。
飲酒については、とかく健康面でネガティブに捉えられがちですが、メディカルハーブの分野では、ハーブをアルコールに漬け、水溶性・脂溶性、両方の成分を抽出して内用・外用に用いる、チンキという手法があります。
お湯で浸出させるハーブティーだと、ハーブの有効成分のうち水溶性の成分しか摂れませんが、チンキだと脂溶性成分も含めてより多くの成分が浸出されるので、有効性が高いのですね。
今回は、そんなチンキの考え方と果実酒のイメージを組み合わせ、色みも華やかで味も美味しいお酒を飲みつつ、その上、美容や健康に役立つ成分も摂れてしまうという、飲酒のネガティブなイメージを逆転したパラドキシカル(逆説的)なお酒のレシピを目指しました。
【レシピ】 美容・健康も考えたスパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒
では、前置きが長くなりましたが、私も愛飲している「美容・健康も考えたスパークリングルビーのハーブ&フルーツ酒」オリジナルレシピをご紹介します。ハイビスカスやベリー由来の美しい色みと炭酸のシュワシュワ泡とがマッチして、見た目だけでも気分が上がりますよ。
食事に合わせやすいように甘さは控えめ。口に含んだときにふんわりとベリー類の風味が広がります。炭酸水での希釈具合によりますが、上の写真で見るようなシャンパングラスで原酒を割った場合、アルコール度数はおおむね10度前後、ビールとワインの中間くらいになります。
【乙庭オリジナル!美容・健康も考えたルビー色のハーブ&フルーツ酒(1ℓ密閉保存瓶 1本分)】
<材料>
- レモン 2個(厚く輪切りにし、さらに十字に切って使用)
※皮ごと使用するので、ワックスや防腐剤不使用のもの。 - ミックスベリー 300g程度 (今回は冷凍のラズベリー、ブラックベリー、ブルーベリーを使用)
- 乾燥クコの実 ひとつかみ程度
- 必須ドライハーブ:ハイビスカス、ローズヒップ 各ひとつかみ
※ハイビスカスがこのお酒の色みの主役になるので、必ず入れましょう。 - お好みのドライハーブ:ローズペタル、マルベリー、ラズベリーリーフ、ネトルなど 各ひとつかみ
※お好みのドライハーブを入れてよいのですが、濃い色が出るもの、味の個性が強いものは避けましょう(仕上がりの色や味に影響が強く出ます)。
- エリスリトール 大さじ5杯(75ml)
※多く入れても溶け切らないで沈殿するので、溶けきる程度の量に。
- ウオッカ 500ml程度 (今回はスミノフ ウオッカ 50度を使用。40度以上の蒸留酒を使用すること)
- 炭酸水 150ml程度(グラスのサイズに合わせて適量)
※冷蔵庫で冷やしておく。
<作り方>
- 下準備が必要な材料からとりかかります。
レモンをカットし、粉砕葉のドライハーブはお酒の中に浮遊混入しないよう、種類ごとに不職布のお茶パックに詰めます。
※ドライハイビスカスは1片が大きいので、お茶パックに入れなくてもOK。 - 煮沸消毒した密閉保存瓶に材料を入れていきます。
ドライハイビスカス→お茶パックのドライハーブ→レモン→エリスリトール→ミックスベリーと乾燥クコの順に入れていきます。ベリー類でほぼ瓶の上部までくるように入れます(下写真参照)。
ここでいったん瓶のフタを閉め、よく振ってエリスリトールがほどよく瓶全体に行き渡るようにします。 - ベリー類がひたひたに浸かり、保存瓶のフタが閉められる程度のところまでウオッカを注ぎ、フタをしたまま数時間常温で置いておきます。
冷蔵庫に入れてしまうとエリスリトールが溶けにくくなります。常温で、1時間おきくらいに瓶を振ってエリスリトールを溶かしていきます。 - 5時間程度で、エリスリトールもほぼ溶けて、ハイビスカスやベリー類からもほどよく色がにじみ出てくるので、冷蔵庫に移して漬け込みます。
2日程度おけばベリー類の風味もお酒に移り、ハイビスカスの鮮やかな色みが抽出されて美味しく飲み始めることができます。 - グラスにハーブ&フルーツ酒を大さじ1~2杯(15~30ml)程度注ぎ、漬けたベリー類もいくつか入れた上で、冷やした炭酸水で薄めて召し上がれ。
※保存瓶のお酒は要冷蔵。1カ月程度で飲み切るようにしましょう。
※あくまでお酒ですので、飲みすぎには注意しましょう。
※妊娠・授乳中の飲酒は避けましょう。
4カ月で14kg減量、その後も体型維持している経験から考える「太らず健康増進する」食生活
かくいう私も、30代後半以降、年々基礎代謝が落ちはじめ、その上お酒やスイーツも好きだったため、毎年少しずつ太ってしまうのが悩みのタネでした。
その結果、10年くらいの間で、身長171cm 62kgだった体型が、2016年秋には76kgまで太ってしまいました。普通に「肥満」ですね。人間ドックの結果も「脂肪肝の一歩手前」と診断されました。
そこで一念発起。それまでの食生活を改め、「食べるもの」と「食べ方」を変えることで、2016年7~10月の4カ月で14kg減量して元の体重に戻しました。特に無理なくその新しい食・生活習慣を続け、2021年現在も体型を維持しています。
さまざまなダイエット法が流行ってはすたれ、一時的に減量に成功してもまたリバウンドしてしまうのは、ひとえに、「減量に成功するとそのダイエット法をやめてしまう」からなんですよね。
また、美容のための痩身という意味だけでなく、肥満や血糖値の急上昇がもたらす、老化加速の予防や糖尿病・心臓病・うつ病などの疾病予防、健康長寿を手に入れる観点からも、過剰な糖質摂取を控える食事法が注目されています。
メタな視点で見ると、もはやダイエットや美容や健康長寿などというくくりは関係なく、「何を、どう食べるか」というライフスタイルによって人生の質も変わるといえるのではないでしょうか。
一度きりの人生。健康で長生きするために好きな食べ物や楽しみをあまりにガマンするのは、人生の幸福度でいうとちょっと残念な感じがしますよね。お酒が好きな方にとっては、楽しく健康的な範囲でお酒もたしなむことができる人生のほうが幸福ではないでしょうか。
私も日々の生活の中で、健康とエイジングケアによく、かつ美味しく楽しめる食べものを選んだり、新しい食べ方を工夫したりして、常に食習慣のアップデートを図っています。
これからも折につけ、「一見とてもギルティだけど、じつはむしろ健康によい」皮肉美味しい食べ物・飲み物のレシピをご紹介していきたいと思います。
ガーデンセラピーにおける「住まい方療法」としての植物のある食生活
私は、園芸や植栽設計を職業にしていますが、もともと私生活でもアロマセラピーや野菜料理などが好きで、園芸以外の生活の多くの場面でも植物と関わってきました。自身の経験で得た知見や知識が他の多くの方々の生活の役に立てたらいいなと思い、「ガーデンセラピーコーディネーター1級」資格を取得しました。
ガーデンセラピーは、住まいに植物を取り入れ、日常的にさまざまなカタチで自然と接することにより、健康的な暮らし、健康寿命の増進を実現する療法です。「生活習慣を見直し、心身共に豊かな住まい方、ライフスタイルを作り上げていくことを目指す」とのことで、まさに私にとって日常生活やこれまでの人生をそのまま生かせる資格だと思いました。
ガーデンセラピーでは、「住まい方療法」として「芳香療法」「芸術療法」「森林療法」「食事療法」「園芸療法」という5つの方向性から、統合的に人生の質や幸福度の向上を考えていきます。
今回のハーブ&フルーツ酒レシピも、ともすると「健康によくない側」に作用しがちな砂糖たっぷりのカクテルを、植物性の健康に害のない素材を用いて発想転換する食事療法的提案です。
もしガーデンセラピーに興味を持たれましたら、ぜひ「一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会」のサイトをチェックしてみてください。生活の中での植物との関わり方が変わるかもしれませんよ。
「アルコールは人間にとって最悪の敵かもしれないが、聖書には敵を愛せと書かれている。」
フランク・シナトラ(Francis Albert “Frank” Sinatra 歌手 1915 – 1998)
Photo/ 1) Roman Samborskyi 2) nito 5) Nicoleta Ionescu 6) Boryana Manzurova 7) Slawomir Fajer 8) rikur B 9) 5PH 10) Azindianlany 11) agbstock 12) Shaiith 13) MAR007 26) BonNontawat 28) NDAB Creativity /Shutterstock.com
Credit
写真&文 / 太田敦雄 - 「ACID NATURE 乙庭」代表 -
おおた・あつお/園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科、および前橋工科大学建築学科卒。趣味で楽しんでいた自庭の植栽や、現代建築とコラボレートした植栽デザインなどが注目され、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)ほか、掲載・執筆書多数。
「6つの小さな離れの家」(建築設計:武田清明建築設計事務所)の建築・植栽計画が評価され、日本ガーデンセラピー協会 「第1回ガーデンセラピーコンテスト・プロ部門」大賞受賞(2020)。
NHK『趣味の園芸』講師。(一社)ジャパンガーデンデザイナーズ協会(JAG)正会員デザイナー。ガーデンセラピーコーディネーター1級取得者。(公社) 日本アロマ環境協会 アロマテラピーインストラクター、アロマブレンドデザイナー。日本メディカルハーブ協会 シニアハーバルセラピスト。
庭や植物から始まる、自分らしく心身ともに健康で充実したライフスタイルの提案にも活動の幅を広げている。レア植物や新発見のある植物紹介で定評あるオンラインショップも人気。
「太田敦雄」公式ブログ https://note.com/acid_nature_0220
プロフィール写真/田中雅也
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