自家製ハーブソルトで焼くインディアンローストチキン【ルーシーのおいしい暮らし】
ホリデーシーズンに欠かせない、パーティー料理。願わくば手間がかからず見栄えがすると大助かり。そんなときに頼りたいのが「ハーブソルト」と素敵な「大皿」。今回は自家製ハーブソルトを作り、丸鶏とお米、付け合わせの野菜が一度に美味しく仕上がる、ハーブとスパイスたっぷりの「インディアンローストチキン」を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。クリスマスだけでなく、お正月にも大活躍のメニューです。
目次
丸鶏はハレの席での定番料理
明治時代にアメリカから日本へ伝わったクリスマス。本場アメリカの定番料理は「七面鳥」ですが、日本には生息しておらず、流通も少ないので入手困難。そもそも七面鳥ってかなりビッグなので、日本の一般家庭のオーブンでは調理は無理!
日本のクリスマスといえば、なぜかケンタッキーフライドチキン。1970年代にケンタッキーが日本に参入し、「クリスマスにはフライドチキン!」キャンペーンを見事に成功させ、日本のクリスマスイメージを作り上げたようです。日本に七面鳥はいないから鶏でやっちゃえ! って感じだったのかしら。
1600年代、イギリスからアメリカに移住した人々が開拓を始めましたが、食料不足に悩まされて、冬を越せずに亡くなってしまう人もいたとか。それを見かねた先住民族のネイティブアメリカンたちが「食料の提供」と「食物の栽培知識」をシェアしたそうです。彼らのおかげで、翌年は大豊作! 移住した人々は先住民たちを招待して、七面鳥などのご馳走でもてなし、神の恵みに感謝したそうです。これが、後のサンクスギビング(毎年11月の第4木曜日)となりました。本来、丸鶏は11月のごちそうだったのが、感謝やお祝いの気持ちが含まれている料理として、クリスマスなどのお祝いのテーブルに並べられるようになったそうです。
ウィッシュボーンでゲン担ぎ
チキンやターキーなどを丸ごと焼いた時のお楽しみ。胸と首の間にあるY字形の骨「鎖骨」は、ウィッシュボーン(Wishbone)と呼ばれ、望み(ウィッシュ)を叶えてくれる「縁起モノ」として知られています。
ウィッシュボーンに小指を引っ掛けて引っ張り合い「手元に長いほうが残った人の願い事が叶う」と信じられ、サンクスギビングやクリスマスのテーブルでは、この「小さな幸運の儀式」が行われます。
自称「毎日が一粒万倍日」の私。ここぞ! という勝負の朝には「お赤飯」を食べたり、「祖父の形見の指輪」をはめたりなど、ゲン担ぎは日常茶飯事。ウィッシュボーンは、四つ葉のクローバーやホースシュー(馬の蹄)と並び、アクセサリーやタトゥーのモチーフとしても好んで使われる、「ラッキーチャーム(幸運を呼ぶお守り)」なのです。
人生は考え方一つで自由自在。「一寸先は闇」or「いつでもどこでもパラダイス」になるのかは、自分次第。今年のホリデーシーズンは、ぜひ! ウィッシュボーンでゲン担ぎを。
大皿のすすめ
いつも私の記事を読んでくださる方はお気づきかもしれませんが、私は大皿が大好き。商売柄アンティークの大皿も扱っています。ただ、日本の食卓にはあまりイメージが湧かないのか、飛ぶようには売れません。とほほ。しかも在庫の保管場所は横綱級。それでも懲りずにおすすめするのには、訳があります。なぜなら、料理が美味しく見えて、なにより楽しいから! 大皿に料理を盛りつけ、テーブルへ運んだ時の「わーーーっ!」というオーディエンスの黄色い声。そしてそれをワイワイ取り分ける楽しさは「同じ釜(大皿)の飯を食う」的感覚。家族やゲストとの距離も縮まります。そう、料理はエンターテインメント! 美味しいのはモチロン、みんなで一体となり楽しむ「神聖な」時間なのです。
季節の大皿もおすすめ。特にホリデーシーズンには大活躍です。「収納に困るわ!」って時は、フルーツを盛ってテーブルの上に放置もよし、絵を楽しむように飾るのもよしなのです。
魔法の調味料「ハーブソルト」
もし誰かに「無人島に一つだけ調味料を持っていけるとしたら?」と聞かれたら、私は間髪入れず大声で「ハーブソルト!!!」と答えるでしょう。お肉や野菜、魚にも使え、素材の味と旨味をグングン引っぱり出してくれるハーブソルトは、無人島だけでなく文明社会でも大活躍。まさに「魔法の調味料」なのです。もしも料理が苦手なら、コツコツ頑張らずに数種類のハーブソルトを揃えれば、瞬時に料理の腕がアップするでしょう。
ルーシーのホームメイド「ハーブソルト」レシピ
ハーブソルトはスーパーでも見かけますが、好みに合わせて簡単に作ることができます。お庭や畑から収穫し、乾燥させたものが手元に余っている方にもおすすめです。シンプルに1種類だけのハーブで作るのもいいですが、数種類組み合わせると味に「複雑な深み」が加わります。今回作るのは、クミンを加えたエキゾチックなハーブソルト。オリーブオイルを加えてサラダやパスタにも。私のキッチンでは欠かせない相棒です。
■ 材料
- 塩 100g(大さじ5)
- 乾燥ローズマリー 小さじ2
- 乾燥セージ 小さじ2
- 乾燥タイム 小さじ3
- 乾燥オレガノ 小さじ3
- 乾燥クミン 小さじ1/2
- ガーリックパウダー 小さじ1/2
- オニオンパウダー 小さじ1/2
■ 作り方
- フライパンで塩をから煎りする(電子レンジで、ラップをせずに500Wで1〜2分でもOK)。
- 乾燥ハーブが大きければ、乳鉢やミルでパウダー状に細かくする。
- 全ての材料をボウルに入れて混ぜ、瓶に移して保存する。
ハーブの種類や配合のバランスは、お好み&適当で大丈夫です。ガーリックパウダーとオニオンパウダーを入れることで、味が決まりやすくなります。鶏肉に塗り込んで焼けば、それだけでデリシャス。
ルーシー流「ハーブのローストチキン&ライス」
さて、今年のホリデーシーズンはチキンをローストしてみましょう! オーブン任せでとても簡単。スパイスたっぷり、食欲を誘うカレー味のお米は鶏のお腹には詰めず、まわりに敷き詰めて「鶏の旨味たっぷりの肉汁」をお米に吸わせましょう。ちょっと面倒でも、今回は必ずホールのスパイスを使ってみてください。香りが格別! 終わりよければ全てよし♡ 料理上手な「アタシ」で、今年を締めくくりましょう。
■ 材料
- 丸鶏(中抜き) 約2kg
- お米 2合 (今回はジャスミンライス、日本米でもOK)
- 水 600ccほど
- 冷凍グリーンピース 大さじ5
- カシューナッツ 30粒
- 玉ねぎ 1/2個
- トマト 1個
- セロリ 1/2本 ※葉も含む
- カレー粉 大さじ1
- ターメリック 大さじ1/2
- a) ホールカルダモン 5つ ※潰しておく
- a) ホールコリアンダー 大さじ1
- a) ホールクミン 大さじ1
- b) ニンニク 1片 ※みじん切り
- b) ショウガ 1片 ※みじん切り
- コンソメ 小さじ1
- 砂糖 大さじ1
- ハーブソルト 大さじ2〜3
- 胡椒 適量
- 丸鶏のお腹用フレッシュハーブ ローズマリー、タイム、ローリエ、セージなど 適量 ※束ねておく
- お好みで、じゃがいもや人参などの付け合わせ用ゆで野菜 適量
- ハーブオイル 適量
■ 作り方
- まずは下ごしらえ! 鶏の表面とお腹の中をよく洗い、綺麗に拭く。
- 表面とお腹の中にオリーブオイル、ハーブソルト、胡椒、レモン(※すべて分量外。適当な量で大丈夫!ハーブソルトは少し多いかな? 程度を目安に!) を丁寧にすり込み、冷蔵庫で6時間〜1晩置く。
※オーブンに入れる2時間前には冷蔵庫から出し常温に戻す。
- フライパンに多めの油(分量外)を入れて中火で熱し、a)の材料を入れてシュワシュワ泡立つまで3分ほど炒め、香りを立たせる。
※焦げないように注意! カルダモンは潰しておきます。
- ③にみじん切りにしたb)を加え、数分炒めて香りが立ったら、粗みじん切りの玉ねぎとセロリを加え、さらにトマト、ターメリック、カレー粉、コンソメ、砂糖を加えて混ぜ合わせる。
- ④にグリーンピース、カシューナッツ、米、水を加えて水分がなくなるまで炒める。
※オーブンで焼いている間に鶏の肉汁を吸うので、お米は芯が残っている程度でOK。
- 丸鶏のお腹に束ねたハーブ類を詰める。オーブン用のトレイや耐熱皿などに丸鶏を置いて、全体にオリーブオイルを塗り込み、ハーブソルトと胡椒を軽く振りかける。
- ⑥の鶏のまわりに⑤のお米を敷き詰めて、180℃に予熱したオーブンで60分。その後アルミホイルをかけて20分焼く。
※40分ほど経ったら、お米に鶏の肉汁を吸わせるために、大きなスプーンなどでお米を混ぜる。焦げ防止にもなります。 - オーブンから取り出し、まず鶏を大皿に移してお米を肉汁と混ぜ合わせる。
- お米と付け合わせの野菜を盛り付けて、フレッシュハーブを飾れば完成。お好みでハーブソルトをかけて召し上がれ!
材料は多いし、工程も複雑そうに見えるかもしれませんが、それは気のせい。シンプルな調理で、とても美味しく仕上がります。
とりあえず、やってみなけりゃ始まらない。ローストチキンのレシピなんて、きっとこの世に星の数ほど存在しますが、今日ここで出会えたのは何かのご縁。「目に映る全てのものはメッセージ」だって、ユーミンも唱えています(私のテーマソング)。先入観を捨てて新しいことに、レッツチャレンジ! 楽しく素敵なホリデーシーズンを♡
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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