日本のハーブ、クロモジの芳香蒸留水の手作りスプレーで愛犬の乾燥対策に
乾燥が気になるこれからの季節。乾燥によるトラブルが起きるのは人間ばかりではなく、愛犬の痒み対策にも保湿ケアが有効です。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんに、日本のハーブ、クロモジの芳香蒸留水を使った乾燥対策の手作りスプレーを教わります。愛犬の冬の乾燥を乗り切るために、クロモジスプレーを手作りしてみませんか?
目次
犬も保湿が大事
乾燥が気になる季節がやってきました。
愛犬あんは、シャンプーをしたばかりなのに、耳元や横腹を頻繁に掻いています。ブラッシングをした時も、フケが出てしまいます。どうしたことかと心配していました。フィラリア予防で病院に行った際に先生に診ていただくと、特段皮膚疾患があるようではないので、乾燥による痒みとのこと。しっかり保湿するようにというアドバイスをいただきました。
サロンでシャンプーをしてもらう場合は、セラミド保湿パックをオプションでお願いしています。セラミド保湿パックのあとは、カイカイも減り、フケが出なくなります。それでもしばらくするとまた乾燥してしまうので、次の保湿パックまでは、日常のセルフケアが必要です。
そこで、クロモジ芳香蒸留水を使ってスプレーを手作りすることにしました。
日本のハーブ クロモジ
新聞を読んでいたとき、養命酒製造が信州大学とクロモジの研究を行っているという広告を目にしました。
「枝を削れば、茶の席の楊枝。枝を煮出せば、寛ぎのハーブティー。香りを抽出すれば、高貴なアロマ」
私はクロモジと聞いて、和菓子をいただくときの楊枝か、フラワーアレンジで使うアオモジの親戚かなと連想するくらいでした。この広告を見て、クロモジがハーブだったこと、精油としても使われることにとても興味を覚えました。
クロモジは、日本固有のハーブであり、抗菌作用、抗真菌作用、抗炎症作用、保湿作用、エモリエント作用など、たくさんの効能があります。皮膚の痒みや炎症を和らげ、乾燥して硬くなった皮膚を柔らかくして、潤いを保つ効果が期待できるのだそうです。
精油もありますが、もっと手軽に使える芳香蒸留水もあります。芳香蒸留水は人間だけでなく、ペットの犬にも使えるというのが嬉しいところです。
芳香蒸留水 クロモジウォーター
芳香蒸留水は、ハーブウォーター、フローラルウォーターともいわれ、植物から精油を水蒸気蒸留法で抽出する際に生成されるものです。芳香はありますが成分濃度が希薄で、肌に優しい水媒体からなり、大部分は弱酸性なので、肌の弱い赤ちゃんや高齢者、敏感肌の人、犬や猫の皮膚にも使いやすいものです。スキンケア、ヘアケアによく利用されています。精油に比べると、香りもぐっと控えめです。そのまま使ってもいいのですが、犬の場合は5倍ほどに希釈して使うと、より安心です。
芳香蒸留水には、ラベンダー、ローズ、ローマンカモミール、ネロリ、ローズマリー、クロモジなどがあります。単品で使用するほか、ブレンドすると相乗効果があるそうなので、香りを楽しみながら選んでみてもいいですね。
クロモジウォーターは、森の清々しい香りです。
クロモジウォーターのスプレー 材料と作り方
<材料>
- スプレー容器
- クロモジウォーター 5ml
- 精製水 20〜30ml
今回参考にしたのは、『ホリスティックケア・カウンセラー養成講座』のテキスト(株式会社カラーズ/編集・発行)。
こちらには、クロモジウォーターのほかに、
- ラベンダーウォーター 5ml
- ウイッチヘーゼル 5ml
- ローマンカモミール 5ml (キク科アレルギーがある場合は除く)
をブレンドしたレシピが紹介されています。
上記のブレンドレシピの場合は、精製水は40mlにします。
<作り方>
作り方は簡単で、スプレー容器に精製水とクロモジウォーターを入れて、よく振るだけ。
犬にスプレーするときは、被毛をかき分けて、皮膚まで届くようにします。目や耳にかかると嫌がりますので、顔まわりは注意してスプレーしましょう。
暖房器具による乾燥にご注意!
あんは柴犬で、日本土着の犬種です。日本の気候にはよく適応していて、寒さには強いといわれています。柴犬の被毛は、上毛(トップコート)は硬い直毛、下毛(アンダーコート)は柔らかく密生した綿毛のダブルコートになっています。ダブルコートの犬種は、寒さの厳しい地域や四季のある地域が原産の犬たちです。トップコートが直射日光や草むらなどの刺激から肌を守るためのもので、アンダーコートが保温の役割を担っています。本来は、寒い時期には毛を増やし、暑い時期には毛を減らすという、優れた体温調節機能を持っているのです。
「犬小屋は外」が少なくなっている現代、飼い主と快適な室温の中で一緒に暮らしていると、犬もその環境に慣れてしまうようで、年に2回ある換毛期が、冷房、暖房という環境の中でずれてきているのではないかと思うことがよくあります。「一年中毛が抜けて困る」という話は、柴犬の飼い主さんの間でよく出る話題です。
我が家では、冬は床暖房を使っています。愛犬あんは、暖かいフローリングの上でのびのび寝そべっています。床暖房は、ガス温水式であれば約40℃、電気式であれば約45℃になるそうです。低温やけどは40〜60℃で起こるそうですから、この暖かい床に長時間、しかも直接寝そべっていると、低温やけどになる危険があります。
また温風ヒーターなど、暖かい風が出る暖房器具の場合、体高の低い犬には熱風が顔にあたり、口や鼻が乾燥したり、肌も乾燥して痒くなったりすることがあります。
暖かい室内は快適ではありますが、人間よりも体温の高い犬にとって、暑くなりすぎていないか、熱風が直接当たるようになっていないか、床暖房の上で長時間直接寝ていないかなど、気をつけていないといけません。加湿器を置いたり、温度・湿度をチェックしたり、床に直接寝ないように毛布を敷くなど対策が必要です。
人間と同じように、暖房による乾燥は、犬にとって大敵です。保湿を心がけて、健康に寒い冬を乗り切りましょう。
Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
新着記事
-
ガーデン
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」は秋深まる
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテスト「東京パークガーデンアワード」。第2回のコンテストは、都立神代植物公園(調布市深大寺)を舞台に一般公開がスタートしています。ここでは、5つのコンテストガ…
-
ガーデン&ショップ
里帰りした宿根草「アスター‘ジンダイ’」が初めての開花! 東京パークガーデンアワード@神代植物公園で観…
今、ガーデンに関わる人たちの間では、温暖化や病害虫の影響を受けない植物のセレクトや、手のかからないローメンテナンスな庭づくりを叶える優れた植物を求めて日々チャレンジが続いています。そんななか、アメリ…
-
イベント・ニュース
【秋バラが本格的に開花!】秋の風情が深まる「横浜イングリッシュガーデン」へ出かけよう!PR
希少なアンティークローズから最新品種まで、国内外でも屈指のコレクション数を誇る「横浜イングリッシュガーデン」は、秋に色香を増すバラも続々開花が進んでいます。11月2日(土)からは、季節を先取りしてクリス…