ミツバチからの贈り物 ミツロウシートで手作りハニカムキャンドル&アドベントのアレンジ

一年でも特にきらびやかな季節、クリスマスシーズンが始まります。クリスマスの4つ前の日曜日からは「アドベント(待降節)」の期間。今回、フラワー&フォトスタイリスト・海野美規さんが作るのは、そんなアドベントに飾りたいキャンドルを使ったアレンジです。ミツバチからの贈り物、ミツロウを使った簡単なキャンドルの作り方も教えていただきます。
アドベントアレンジにミツロウのキャンドル

さあ、クリスマスシーズンです。
クリスマスの4つ前の日曜日からクリスマスまでを「アドベント(待降節)」といいます。欧米では広場でクリスマスマーケットが開かれたり、ツリーやリースで家の中を華やかに飾り付けたりして、クリスマスムードが盛り上がってくる期間です。
このクリスマスまでの4週間、リースやアレンジメントに4本のキャンドルを立てて、日曜日ごとに1本ずつ火を灯していくという習慣もあります。一年の中で一番キラキラ輝く季節ですね。

アドベントのために4本のキャンドルを添えたアレンジメントを作りましょう。キャンドルは、ミツロウシートを使った、手作りのハニカムキャンドルはいかがでしょうか。ミツバチからもらったミツロウのキャンドルは、とても温かく優しく灯ります。
ミツロウシートって?

ミツロウシートをご存じでしょうか。ハニカムシートとも、ビーワックスシートとも呼ばれています。
ミツロウ(蜜蝋)とは、ミツバチの巣を構成する蝋を精製したもので、蝋はミツバチの蝋分泌腺から分泌されます。もともとは無色ですが、花粉などが混じって色が変化したり、ほんのり甘い香りがしたり。色の変化は季節の花に影響されるのだそうです。ミツロウは、季節や自然の恵みがギュッと詰まっているという感じです。

ミツロウは、安全性や融点の高さ、保湿性などから、キャンドルをはじめ、リップクリーム、バームなどの化粧品、靴や床などのワックス材、油絵の具、クレヨン、またフランスのお菓子カヌレなど、食品にも活用されています。最近では、エコラップという、ミツロウでコーティングしたラップもよく見かけるようになりました。

ミツロウシートは、そのミツロウを薄くシート状にし、蜂の巣のような六角形の型押しをしたものです。本来は、養蜂のためのもの。ミツバチたちが規則正しい六角形の巣穴をつくることができるように、このシートを巣枠に張って使用するとのことです。
このミツロウシートをカットしてくるくる丸めると、ミツロウキャンドルができます。火も使わず手軽に素敵なハニカムキャンドルが作れるなんて、とても嬉しいシートです。
ミツロウシートはいろいろなサイトで購入できます。私は「ハチ蜜の森キャンドル」から購入しました。
ミツロウキャンドルとアドベントアレンジの材料

<ミツロウキャンドル>
- ミツロウシート キャンドル4本分
(今回使ったのは、195×195mm のシート4枚。1枚で1本のキャンドルができます) - 灯芯 4本分
- カッターナイフ
- 定規
カッターナイフを使うので、カッティングボードがあると便利です。
<アドベントアレンジ>

- ヒムロスギ 5〜6本
- ミツロウキャンドル 4本
- ベースとなるバスケット W35cm×D20cm×H6cm
- 吸水スポンジ
- セロファン
- 松かさ 大・中・小4〜5個ずつ
- ワイヤー
ヒムロスギに加えて、ローズマリーなどを入れてもいいですね。
ミツロウキャンドルとアドベントアレンジの作り方

<ミツロウキャンドル>
- ミツロウシートをカットします。
今回は、1枚のシートを、0.5cmほど幅に差をつけて3枚にカットしました。
長方形にカットすると、ストレートの円柱形のキャンドルに。斜めにカットすると、スパイラル状の細長い円錐形のキャンドルになります。 - 灯芯を入れてシートをくるくる巻きます。
幅の広いものから順に巻き、中心が高いスタイルのキャンドルに成形します。
はじめに一番幅の広いシートで灯芯を巻き、それを幅の狭いシートで順に巻いていくことで、中心が高いキャンドルに。
<アドベントアレンジ>
- ベースとなるバスケットにセロファンを敷き、吸水スポンジをセットします。端は隙間があっても大丈夫です。
- ヒムロスギを全体に入れていきます。
ベースが横長なので、ヒムロスギを立てて入れるというより、枝を横に倒して斜めに入れます。あまり高くなりすぎないようにしましょう。
- ヒムロスギの残りの枝があれば、添えるようにすると、ワイルドな雰囲気になります。
- ミツロウキャンドルにワイヤー(竹串などでも)で脚をつけ、ヒムロスギの上から挿します。
ヒムロスギの中に埋もれてしまうと、火をつけた際に危険なので、あまり埋め込まないようにします。
- 松かさをヒムロスギの間からのぞくように配置します。そのまま置くだけでもいいですし、安定させたい場合は、ワイヤーを巻きつけてください。
- そのほかピックや小枝など、お好みで装飾して出来上がり。クリスマスを待ちながら、ミツロウキャンドルに火を灯してみてはいかがでしょうか。


キャンドルに火を灯すと、このような雰囲気に。キャンドルは短めなので、周囲のアレンジに火が移らないよう十分ご注意ください。

小さく飾って楽しむ

ミツロウキャンドルを楽しむために、小さなアレンジもおすすめです。
小さなコンポートに、キャンドルと、常緑樹の小さな枝を数本、松かさやシナモンなどをちょっと添えて出来上がりです。手軽に作れますので、ぜひお試しください。

ミツロウキャンドルのこと

ミツロウキャンドルのことをもう少し。
ミツロウの歴史は古く、古代エジプトの頃から使われていたとのことです。電気がない時代には、自然の恵みのこのミツロウキャンドルはたいへん貴重で、教会の儀式などでも使用されるなど神聖なものでもありました。
18世紀になって人工的に作られたパラフィンが登場してからは、安定的に材料が得られるパラフィンのキャンドルが一般的になりました。

ミツロウキャンドルは、パラフィンのキャンドルに比べると、煤(すす)が出ないことが特徴の一つです。また、燃焼が安定していて、炎の形が美しく、あまり揺れないという特性もあります。
ミツロウは、数え切れないほどのミツバチたちの労力によって作られたものです。そう考えると、火を点してしまうのは申し訳ないような気持ちにもなりますが、ミツバチからの贈り物をありがたくいただきたいと思います。

優しい穏やかなミツロウキャンドルに火を灯して、寒い冬の夜を心温かく過ごされてはいかがでしょうか。

Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
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