「エディブル・ムーラン」を使って、花飾りのアールグレイビスケット【The Pudding Party Tomoのイギリス菓子便り】

秋が深まると、温かい紅茶がますます美味しくなってきますね。イギリス菓子研究家でパティシエのTomoさんによると、イギリスでは、紅茶に欠かせないのがビスケット。かの地には、じつにさまざまな種類のビスケットがあるそうです。今回は、花好きさんならきっと喜ぶ、エディブルフラワーのパンジー「エディブル・ムーラン」を飾った、美しいビスケットを教えていただきます。ひときわ優雅なティータイムをどうぞ。
目次
ビスケット大国 イギリス

イギリスは紅茶の国、というのは、よく知られていることですね。
まず、朝食と一緒に1杯。そして、11時のお茶の時間に1杯。昼食、3時、そして、夕食の後。そんな具合に、本当にたくさんの紅茶を飲みます。
私がコッツウォルズのホテルで、パティシエとして働いていた時のこと。同僚のスタッフに「Tomo、紅茶いる?」と声をかけられ、キッチン仕事は暑いので「紅茶より水がいい」と答えると、変な人ね、みたいな感じで笑われました。それほどみんな、紅茶が好きなのですね。
スーパーでも、紅茶コーナーの充実していることといったら! ティーバッグは、80袋、120袋入りなど、大量に入った、とってもお買い得の大箱が売られています。
日常的には、各自がマグカップにティーバッグを入れて、気軽にお茶を飲むことが多いのですが、その紅茶の美味しいこと! 日本とは水質が違うからか、同じ茶葉を使っても渋みがありません。甘味とコクがあり、とっても濃く出て、ミルクティーにするのにぴったりのお茶になります。イギリス人のほとんどは、きっとミルクティーを好んで飲んでいると思います。

そして、お茶のお供にはビスケット。イギリスでは、「クッキー」とはあまり言わず、「ビスケット」と言います。「クッキー」はアメリカ風な響きがしますね。
お店では、いろいろなビスケットが売られています。ショートブレッド、チョコレートのビスケット、全粒粉のビスケット、ジンジャースナップ、カスタードのクリームやジャムが挟まっているものなど。とにかく、たくさんの種類があります。私のお気に入りは、スコットランドの老舗ビスケットメーカー〈マクビティ 〉の、ジンジャー入りのものや、チョコレートがついた全粒粉のビスケット。各スーパーが独自に開発している、オリジナルのビスケットも美味しいです。
もちろん、仕事でもビスケットを焼いていました。とってもシンプルなチョコチップ入りのビスケットが、これもまた、美味しかったなあ。日本では、このシンプルなものを再現するのが難しく、何度も挑戦しているのですが、まだ再現できていません。味というより、食感が再現できない。材料が違うと、こんなにも違うのか! といった感じです。
さて、今回作るビスケットは、ビスケット自体はシンプルですが、エディブルフラワーを主役にした華やかなものです。このゴージャスな見た目に合うように、アールグレイを入れて、香り高いビスケットに仕上げてみました。
エディブルフラワーで優雅に

エディブルフラワーというと、サラダやデザートの飾りに使われることが多いですよね。クッキーに使う場合は、焼いたクッキーにアイシングを塗って、その上に生花のエディブルフラワーをのせているものをよく見かけます。でも、今回はお花をビスケットと一緒に焼き上げます。いつものビスケットより、エレガントな雰囲気のものができますよ!
飾りに使うのは、フリルの花姿が可愛らしい「エディブル・ムーラン」。花色のバリエーションも豊かな、食べられるパンジーです。これからパンジーを育てるなら、食べられるものだと楽しみも一層広がりますね。料理に、お菓子に、彩りを添えてくれますよ。
では、作っていきましょう。
●『可愛くて美味しいパンジー「エディブル・ムーラン」を育てよう』も併せてご覧ください。
花飾りのアールグレイビスケットの作り方
材料(直径4.5cmの丸い抜き型使用 約23枚分)

- 無塩バター 120g(室温に戻す)
- きび砂糖 80g
- 全卵 1/2個
- 薄力粉 185g
- ベーキングパウダー 小さじ1
- 塩 ひとつまみ
- アールグレイ茶葉(ティーバッグのもの) 14g
- 卵白 適量
- エディブル・ムーラン 適量
- グラニュー糖(仕上げ用) 適量
作り方
- 柔らかくしたバターにきび砂糖を入れてよく混ぜ、溶いた卵を入れ、またよく混ぜる。
- 卵が混ざったら、薄力粉とベーキングパウダー、塩ひとつまみを合わせてふるい入れ、さっくりと混ぜる。
- ある程度混ざったら、アールグレイの茶葉を入れ、さっくりと混ぜる。
- 生地をひとまとめにしてラップに包み、冷蔵庫で最低30分間休ませる。
- オーブンを170℃に予熱する。
- 打ち粉をした台に、休ませた生地を置き、1cmくらいの厚さにのばす。
- 6を型で抜いたら卵白を薄く塗り、花をのせていく。
花びらが生地から離れていると、焼いている間にチリチリと縮んでしまうので、花びらが浮かないように、生地にしっかりつけるようにする。
- 予熱したオーブンで約10分、ビスケットの縁が、ほんのり茶色く色づくくらいまで焼く。
- 焼き上がり。
花色は生花の時より渋めですが、きれいに色が残っています。 - 焼き上がったら、グラニュー糖を振りかけて完成!

アールグレイがふんわり香る華やかなビスケットは、おもてなしにもぴったりです!
ぜひ、皆さんも作ってみてくださいね!
花苗協力/石井フラワーガーデン
Credit

写真&文/The Pudding Party Tomo
イギリスのプディングの美味しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと活動する、イギリス菓子研究家、パティシエ。ル・コルドン・ブルー横浜校にて菓子ディプロムを取得。英国コッツウォルズのスリーウェイズ・ハウス・ホテルにてイギリス伝統菓子作りの腕を磨く。
〈The Pudding Party Tomoとイギリス菓子作り〉 https://youtube.com/channel/UCV1hGcG5t0SELBBiuJ1GqBA
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