今回の主役はヘビイチゴ。名の由来は、ヘビが出そうな場所に生えているから、実を食べに来る小動物を狙ってヘビが来るから、ヘビが食べるからなど、諸説あります。また、なんとなく毒がありそうな名前ですが、じつは毒はありません。それどころか、解毒作用に優れ、私たちの生活にも役立つハーブなのです。今回は、ヘビイチゴの効能を活用したチンキ(チンクチャ―)の作り方をご紹介します。
目次
グラウンドカバーにおすすめ! ヘビイチゴってどんな植物?

ヘビイチゴはバラ科の多年草。冬の寒さに当たると一部葉を落とし、寂しくなりますが、春になると再び葉が出てきて茂り始めます。4~6月に黄色い花を咲かせ、そのあと赤い実を付けます。この実は食べられますが、おいしくありません(笑)。
また、ヘビイチゴは地面に這うように育つので、グラウンドカバーに向くタイプ。雑草が生えて困る…というような場所に植えると、互いに共存しながら、庭のメンテナンスを軽減してくれます。

こちらは、ヘビイチゴを植えて2年目の様子。数株植えた苗がどんどん勢力を拡大し、今は砂利の駐車場側にも進出しています(笑)。ヘビイチゴは背丈が伸びず、横にはっていくので、歩いていても邪魔になることがありません。しかも、病気や虫に侵されることもなく、とても丈夫! 草刈りをする際、10cm程度にカットしておくようにすると、きれいな草じゅうたんになってくれますよ。
ハーブの保存方法の1つ・チンキを作ろう
ハーブがたくさん収穫できたら、長期にわたり保存できる方法を試してみましょう。
その1つが「チンキ」というもの。ジンやウォッカ、35度以上の焼酎など、アルコールに漬けて有効成分を抽出し、保存する方法です。お湯だと抽出できない成分も、度数の高いアルコールなら抽出することができます。また、チンキは、どんなハーブでも作ることができ、それぞれ違う作用が楽しめるのも魅力ですね。
作ったチンキの使い方は
- お湯に垂らして飲む
- ハーブティーや紅茶に垂らして飲む
- 薄めて化粧水として使う
- うがい薬として使う
- マウスウォッシュとして使う
- 傷の手当てに使う
- ルームスプレーや虫よけスプレーの基材として使う
などがあげられます。
チンキは、日本ではあまり馴染みがありませんが、海外ではサプリメントの1つとして、薬局などで販売もされています。
ヘビイチゴもこの方法で長期保存が可能。特にヘビイチゴは解毒作用に優れていて、虫に刺された後に塗りこむと、スッとかゆみが引くのです。去年はそこまで収穫量がありませんでしたが、今年は思いのほか広がり、たくさん収穫できたので、チンキにして保存したいと思います。
ヘビイチゴのチンキの作り方
それでは、ヘビイチゴのチンキの作り方をご紹介していきますね。
【材料】
- ヘビイチゴ 25g
- ジンやウォッカ 200ml ※35度以上の焼酎でもOK
- 保存瓶 ※事前に消毒しておきます
- コーヒーフィルターなど濾すもの
【作り方】
1. ヘビイチゴを収穫します。押すとぽろりと実だけ取れます。ガクごと取り、あとで取り外してもOK!
2. 傷んでいるもの・虫がいた形跡があるものは除き、軽く水洗いします。

3. 水分が残っていると、アルコールに漬けた時カビが生える原因になります。しっかり乾かす、またはペーパータオルで丁寧にふき取ります。
4. 保存容器にヘビイチゴを入れた後、ジンを注ぎ入れます。

軽く瓶をゆすって馴染ませたら、冷暗所で2〜3週間ほど休ませましょう。その間、1日1回、カビが生えていないかなど様子を見守り、瓶を振って馴染ませる作業を続けると、透明だったジンが、だんだん褐色に変わっていきます。下の写真は2週間前に漬けたものと、漬けたばかりのもの。

2~3週間経ったら、液体を濾して、ヘビイチゴは取り除きます。漬けたばかりだとアルコールが強いのですが、日が経つにつれ、ほんのり甘い香りがしてきますよ。

密閉容器に入れて保存しましょう。この状態で1年ほど保存が可能です。
かゆみ止めとしての使い方は?
ヘビイチゴのチンキは、蚊に刺された時のかゆみ止めとして重宝します。私は、庭作業の時にすぐ使えるよう、10ml程度の小さなスプレー容器に入れて持ち歩いています。蚊に刺された場合は、すぐ水で刺された場所をよく洗い、ヘビイチゴチンキをスプレーします。たいてい、これでかゆみは忘れてしまうほど効果を実感する日々です。ぜひお試しください!
※使用の際には、必ずパッチテストを行ってから、自己責任でお使いください。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -

ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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