レモングラスで作るポークチョップ&バインミー【ルーシーのおいしい暮らし】
スッキリと爽やかな香りが、暑い夏に心地のよいハーブ「レモングラス」。東南アジア原産で手がかからずに栽培でき、「茎」と「葉」それぞれを料理やハーブティーに使い分けて楽しめるハーブです。今回は香りの効能と併せて、「茎」の部分を使って作るエスニックなポークチョップのレシピと、それを使ったベトナム風サンドイッチ「バインミー」を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが教えてくれます。
目次
夏に爽やかなレモングラス
暑い日が続くと食欲が落ちたり、料理をするのが面倒! と感じることもありますよね。一人暮らしだとなおさら。でもね、こんな時こそ料理を作り、食べてほしいのです。量も味のさじ加減も自分で調節できるし、何より自分のためにご飯を作る行為は、自分自信を大切に「気にかけていますよ」という意思表示のセルフアクション。特に「人生がうまくいかない」と感じた日こそ、まっすぐ家に帰って、「冷や奴」や「ヤキソバ」など、どんなに簡単なものでもいいから、作ってみてください。何か一つ「成し遂げた」気持ちになり、すーっと心が落ち着くかもしれません。多分。
夏はハーブのハイシーズンです。先ほどの冷や奴にシソを添えたり、焼きそばにバジルやパクチーを混ぜるのもおすすめ。簡単な料理でもハーブの香りで、奥深い味わいに! なかでも夏のおすすめは「レモングラス」。タイやベトナム料理では、鳥や魚料理の臭み消しと風味付けに使われています。日本ではハーブティーとしてはメジャーですが、料理ではあまり馴染みのないハーブかもしれません。レモングラスの香りは、スッキリとした柑橘系で清涼感があり、少しショウガにも似ています。乾燥させたものも売っていますが、フレッシュなものは断然香りがよく、脳天をスパーン! と突き抜けるような爽やかさ。私も大好きな香りです。スーパーなどではあまり見かけませんが、ネット通販などでは簡単に手に入ります。あっぱれ、便利な世の中。
レモングラスは、葉はハーブティーに、茎は料理に使える優れたハーブです。2020年はレモングラスの「葉」と「茎」を楽しむ2種のレシピをご紹介しましたので、そちらもぜひ。
レモングラス栽培2年目
大好きな香り! と豪語しながらも、じつは昨年初めてレモングラス栽培に挑戦しました。栽培は大成功。山ほどの収穫、夢のレモングラス長者で気分は最高! ご近所にもお裾分けして喜ばれました。本来は多年草なので、越冬させようと鉢上げをしましたが、残念ながら失敗。熱帯地域が原産の植物なので、寒いのは苦手なレモングラスちゃん、冬場の気温が5℃以上ないと越冬できないそう。私の住む神奈川県葉山町は比較的暖かいので、大丈夫かなー? と思っていましたがダメでした。とはいえ、ご近所には地植えのまま越冬しているレモングラスたちを見かけるので、来年に乞うご期待。
今年の5月頃、気分新たに苗を購入し、再挑戦。今年開墾したばかりの痩せた土に植えましたが、なんとか成長中。レモングラスは鉢植えでもいいのですが、小学生の頃のアタシのように縦も横もかなり成長しますので、できれば地植えで十分なスペースを確保して植えるといいでしょう。日当たりと土がよく、水をたっぷり与えれば、ほとんどお世話の必要はありません。ある程度大きくなったら、その都度必要な分だけ外葉から収穫し、ハーブティーやハーブウォーターに! 10月頃まで楽しめます。レモングラス栽培はとっても簡単! ほぼほったらかしでも大丈夫。来年はあなたも挑戦してみませんか?
レモングラスの香りと効能
その名の通り、レモンのような香りがする「草」なので、レモングラスという単純な命名がされています。レモンの香りがする理由は「シトラール」という芳香成分が含まれるから。レモングラスには、このシトラールが本家のレモン以上に含まれているため、レモンよりも強く鮮やかでビビッドな香りがします。
レモングラスは、虫除けとしてもよく使われている精油です。シトラールという成分には虫が嫌がる「昆虫忌避作用」があるので、虫除けスプレーやアウトドア用キャンドルに配合されることが多く、「虫除けの香り!」とイメージする方も多いでしょう。
レモングラス精油には「鎮痛作用」や「血行促進作用」があり、アロマトリートメントでは筋肉痛や肩こりのほか、むくみや冷え性のケアとしても使われています。また、「抗菌&抗ウイルス作用」もあり、生活に役立つ精油の一つ。ボディー、ハンドソープやシャンプーなどにもよく配合されています。スッキリとした香りで、お風呂タイムがさらに爽快になるのでおすすめ!
レモングラスの香りは、エネルギッシュで爽快! 過度の興奮状態や神経過敏で「交感神経」のスイッチが切れないときに嗅ぐと、パチン! と指を鳴らすように「副交感神経」へとスイッチを切り替えてくれます。「鎮静作用」を持ちながらも精神を高揚させてくれるので、「気分が乗らないわぁー」って時や、「さぁ!ここ一番の大勝負!」ってときにもイチオシ。仕事や人間関係の悩みから、頭の中をいつも同じ光景や不安がグルグル、思考がパターン化しているときにも頼れる精油です。いつもお伝えしていますが、私の勝手な見解によると、心地よいと感じる香りは、あなたが「今」必要としている香り。嗅覚で求める本能です。効能を難しく考える必要なんてないのです。
(※レモングラス精油は高濃度で使用すると皮膚刺激があるので、敏感肌の方は注意が必要です。妊娠初期の方は使用を避けてください)
嗅覚といえば! やっぱり美味しい香りで鼻がクンクン。はーい! そろそろご飯の時間ですよー♡ 今日のメニューはレモングラスを使ったレモングラスポークチョップです。
ルーシーのレモングラスポークチョップ
さて!本題に入りましょう。今回ご紹介するのは、レモングラスの茎の部分を使い、ニンニクやナンプラーでペーストを作り、そこにお肉を漬け込むレシピ。後半ではベトナム風サンドイッチ、バインミーに仕立てます。もちろん! ご飯のお供としても優秀です。隠し味は私の必殺技! 五香粉を使います。
材料
- 厚切り豚ロース 3枚
タレ
- レモングラスの茎 2本
- ニンニク 1片
- 玉ねぎ 1/6個
- ナンプラー 大さじ2
- 胡椒 小さじ1/2
- 砂糖 35g
- ごま油 大さじ1
- 塩 少々
- 五香粉 少々
- オイスターソース 小さじ1
※レモングラスが手に入らなければ、生姜とレモン果汁で代用可能です。
作り方
- レモングラスの茎は、外の皮を1〜2枚外し、柔らかい部分を刻む。
- ニンニク、玉ねぎをぶつ切りにし、①と他のタレの材料全てをハンドブレンダーやミキサーにかけて、ペースト状にする。
- すじ切りした豚肉を②に漬け込み、冷蔵庫で一晩〜24時間寝かせる。
- 漬け込んだ豚肉を20分程常温に置いてから、オーブンやフライパンで火が通るまで焼く。
甘みとコクでお米との相性も抜群。刻んで焼豚代わりにチャーハンに使うのもおすすめです。冷めてもデリシャス! もしレモングラスが手に入らなければ、生姜とレモン果汁で代用可能です。
ルーシーのポークチョップバインミー
バインミーとは、ベトナムからやってきたサンドイッチのこと。本場ベトナムのバインミーといえば、バターやパテ、野菜、ハーブ、肉、なますなどを挟んだものがポピュラーですが、ここはルーシー流に自由にやりましょう。今回のテーマはLA育ちのフィリピーノがベトナム料理店でバイトしながら作ったバインミー! Yo! レッツ ドゥー ディス メーン!
材料
- レモングラスポークチョップ 適量
- バゲット 人数分
- キュウリスライス 適量
- シソ、エゴマ、パクチー、バジル、イタリアンパセリなどのハーブ 適量
- 人参や大根 適量
- マヨネーズとスイートチリソース 適量
- お好みでシラチャーソース
基本のエスニックなますダレ
- 酢 大さじ3
- 砂糖 大さじ2
- 塩 小さじ1
- ナンプラー 小さじ1
作り方
- 適当な大きさにカットした人参や大根に塩少々を加えて混ぜ、そのまま5分から10分ほど置いておく。水気をぎゅっと絞り、エスニックなますダレを混ぜ、数時間漬け込む。
- キュウリをスライスする。
- スイートチリソースとマヨネーズを1:1、お好みでシラチャーを少々混ぜる。
- バケットに切り込みを入れて軽く焼き、③のソースを内側上部にたっぷり塗る。
- シソやエゴマはそのまま挟み、他のハーブは粗みじんにする。
- ポークチョップを適当な大きさにカットし、すべての具材を挟んで完成!
量はどれも適当で大丈夫! コツは濃いくらいに味が染み込んだポークチョップ、キュウリは歯ごたえを残すために少し厚切りに、ハーブは数種類使うと香りに深みが出ます。大胆に作ってガブッといきましょう。付け合わせには、油で揚げるエビせんがおすすめです。
海外どころか、国内ですら気軽に足を延ばせない日々が続いています。残暑を感じながら、このレモングラスポークチョップ&バインミーで、気分だけでも遠い異国の地へ、ボンボヤージュ! ぜひお試しください。
Credit
写真&文 / ルーシー恩田
ルーシー・おんだ/アンティークバイヤー/IFA認定アロマセラピスト/ITEC認定リフレクソロジスト。20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえることにより、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。
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