プリザーブドフラワーを取り入れた仏花アレンジを作ろう【はまプリ王子“たっつん”講座 Vol.1】
神奈川県のご当地アイドルグループ「YOKOHAMA男子」(通称はまだん)のリーダーで、プリザーブドフラワーアレンジが特技のたっつんによるプリザーブドフラワー講座がスタートします。お盆も近い第1回目は、近年需要が高まっているお供え用のプリザーブドフラワーアレンジメント。暑さで生花がすぐにしおれてしまうこの時期は、プリザーブドフラワーの仏花アレンジがおすすめ。美しさが長く続き、ご先祖さまを華やかにお迎え、お送りできますよ。
目次
幼少期から華道をたしなむアイドル「YOKOHAMA男子」のたっつん
ガーデンストーリーの読者の皆さま、こんにちは! 僕は神奈川県のご当地アイドルグループ「YOKOHAMA男子」(通称はまだん)のリーダー、たっつんです。今回から僕の特技「プリザーブドフラワー」の講座をスタートすることになりました。花のある美しい暮らしを皆さんと共有できれば嬉しいです!
ところで、なぜ男子の僕がプリザーブドフラワーを!? と意外に思われる方が少なくないかもしれませんね。まずは、僕と花との出会いからお話ししますね。
じつは、僕の祖母は生け花(池坊)の師範で、小さい頃からいつも家の中には花が飾られていました。梅、桜、花菖蒲、芍薬、百合、夏はぜ、竜胆、菊、吾木香、椿、水仙…というように、カレンダーをめくるがごとく季節を追って家の中を次々に美しく彩る花々のおかげで、僕には花による季節感が体に染みついています。祖母は幼い頃から僕にも生け花を教えてくれたので、花を生けることもいつしか僕にとっては日常的なこととなっていました。
プリザーブドフラワーアーティストとしても活躍するたっつん
そして現在は、アイドル活動と並行し、大手百貨店でプリザーブドフラワーの作品の展示や販売、レッスンを行っています。
祖母の影響で、花を使って作品を作ることは小さい頃から好きでしたが、プリザーブドフラワーに惹かれたのは、青いバラの存在が大きいです。青空のような真っ青のバラは、まだ自然界には存在しませんが、プリザーブドフラワーには着色された青いバラが花材としてあります。これまで生花ではそんな色のバラをみたことがなかったため、プリザーブドフラワーの真っ青なバラを見た時は、なんだこのバラは!? と衝撃を受けました。
プリザーブドフラワーは、造花ではなく本物の植物に特殊な加工をほどこし、生花のように瑞々しい姿を保ちながら、その美しさを長期間楽しむことができるようにしたものです。最近ではプレゼントやインテリアだけではなく、複数の花材を組み合わせたアレンジメントも楽しまれています。
僕もプリザーブドフラワーのアレンジメントをしますが、長年やってきた生け花やガーデニングにはないテクニックを駆使するところに新鮮味や魅力を感じています。
例えば、プリザーブドフラワーのローズは、美しさを保つために満開になる前に加工されるので、それを自分の手で開花させることがあります。そのテクニックはいくつかあるのですが、花弁を一枚一枚繊細に扱う必要があります。花に向き合い、作業に没頭していると、花の美の神秘に迫っていくようで、とても魅力を感じる瞬間です。
プリザーブドフラワーで男子5人の共同生活にも潤いと癒しと華やかさを
僕は今、「YOKOHAMA男子」のメンバー5人で共同生活をしているのですが、僕たちの家にも花を絶やさないようにしています。
特に、玄関はいつも美しい花を飾るのが僕のポリシー。玄関は季節を問わず、黄色・オレンジ系にしています。どんな人の日常もそうだと思いますが、いつも元気いっぱいで前向きでいたくても、そうもいかない日が誰しもあるものです。だからこそ僕たちはパフォーマンスを通してみなさんに元気になってもらうためにアイドル活動をしているのですが、まだまだ駆け出しの僕たち自身、落ち込んだり悩んだりすることもあります。だから、玄関はいつも明るく元気な色と決めているのです。家を出る時に背中を押してくれたり、帰ってきた時には温かく包みこんでくれたり、黄色系の花はすごく元気をもらえるからです。僕にとって、黄色のアレンジはポジティブになれるお守りのようなアイテムですね。メンバーたちも、僕のアレンジを見て「いいね!」「キレイだね!」と言葉で伝えてくれるので、モチベーションが上がります!
さて、自己紹介はこのくらいにして、レッスンをスタートしましょう。
プリザーブドフラワーを長く楽しむ秘訣
プリザーブドフラワーとは、生花を専用のプリザーブド溶液を用いて加工し、長期間保存できるようにした花です。通常3~5年、保存状態がよければ10年以上そのままの美しさを保つことができます。湿気の多い場所、直射日光の当たらない場所に飾ることが、プリザーブドフラワーを長く楽しむ秘訣です。
お盆にも最適なプリザーブドフラワーの仏花アレンジメント
「暑くなってくると、生花の仏花を飾るのがとっても大変なのよね」
百貨店の催事で販売をしていると、お客様からよく言われる言葉です。確かに、年々夏の暑さが厳しくなり、生花はすぐにダメになってしまいますし、また毎回水をかえるのも一苦労です。そういった背景もあり、近年、プリザーブドフラワーの仏花の人気が高くなっています。
そして、このコロナ禍になるべく外出を控えようということも、需要が高まる要因になっています。水を替える必要がなく、お手入れも簡単なプリザーブドフラワーの仏花アレンジは、今後もより需要が高くなっていくと考えられます。
ガラスドーム型の仏花アレンジメントの作り方
今回は仏花の中でも特に人気が高い、ガラスドーム型のアレンジメントを作ります。
【材料】
●プリザーブド加工された花:
・ことね菊
・小菊
・デンファレ
・ラスカス
・アジサイ
・かすみ草
●その他の資材:
・ガラスドーム花器
・フローラルフォーム(吸水スポンジ)
・ワイヤー
・グリーンテープ
・グルーガン
【作り方】
1. フローラルフォームを花器に合わせてカットし、はずれないようにグルーガンでしっかりと固定します。
2. 茎の部分にワイヤーをからめて巻き付け、花に1つずつワイヤリングをします。
プリザーブドフラワーの花材は、生花のように茎が長い状態で販売されているわけではないので、フローラルフォームに挿して立体的なアレンジをする際には、茎の部分をワイヤーで自分で作る必要があります。このテクニックのことを「ワイヤリング」と呼びます。その際、あらかじめレイアウトを考え、ある程度ワイヤーの長さは決めて切ります。フローラルフォームに挿す際にもワイヤーを切って高さを微調整するので、基本的には長めにしておいてください。足りないと後から継ぎ足すのに手間がかかります。
ことね菊と小菊は、フックメソッドという方法(下写真)でワイヤリングします。ワイヤーの先端を1㎝ほどカギ状に曲げ、花の中央から茎の中へ刺し通します。ワイヤーが止まるまで下に引き下ろしますが、この時引っ張りすぎて花が壊れないように注意しましょう。
デンファレは、ワイヤーをUピン状に折り曲げ、花の上の部分から差し込み、花の芯の部分で止めます(下写真)。こちらも花が壊れないように優しく引き下げ、下に出てきたワイヤーを巻き付けます。
3. それぞれ根元からグリーンテープをしっかり巻き下ろして茎の完成です。
4. メインの花を下から順番に高さを調節しながら、フローラうフォームに挿していきます。ことね菊、デンファレ、小菊の順です。最後にラスカスとアジサイ、かすみ草を挿します。こちらは花自体も綺麗ですが、フォームやグリーンテープなどを極力隠す役割もあります。
5. ガラスドームの蓋をして完成です! ガラスドームをかぶせることで、花に直接ホコリがかかることもなく、お手入れが簡単で、より綺麗な状態で保つことができます。
ぜひ、プリザーブドフラワーを使った仏花アレンジメントを飾ってみてくださいね。
Credit
写真&文/戸田 健太(とだ たつひろ)
ローズガーデンチーフデザイナー
通称たっつん。幼い頃から池坊師範の祖母に生け花を習う。横浜国立大学卒業後、 フラワーデザイン&アレンジメントスクール「ローズガーデン」主宰清水さゆりの元でフラワーデザインを学びディプロマを取得。ローズガーデンチーフデザイナーを務める。大手百貨店で作品の展示や販売、レッスンを行い、デザイン力と技術の高さに定評を得る。
神奈川ご当地アイドルグループ「YOKOHAMA男子」(通称はまだん)のリーダーも務める。
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