口腔ケアは健康のためには欠かせません。それは人間ばかりではなく、ペットにとっても同じこと。特に犬にとって歯周病は大敵です。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんに、愛犬あんの歯磨きに使うグッズと、歯磨きの手順を教えていただきます。
口腔ケアは重要
6月4日からの1週間は「歯と口の健康週間」ということもあり、私にとって6月は歯磨き強化月間です。
今、専門家の方々から、「歯周病治療などお口の衛生管理や口腔ケアを行うことで、新型コロナウイルスの感染・重症化のリスクを低下させられる可能性がある」との見解が示されています。
インフルエンザに関する研究結果から、口腔ケアをしっかりと行っている人は、ウイルスに感染しにくいことが分かってきています。
これは、定期的なメンテナンスによりお口の中の細菌をコントロールすることで、ウイルスの侵入を抑えられる可能性があるそうなのです。特に歯周病菌は、ウイルスを体内に侵入させやすくする酵素を出すといわれているとのことですから、歯周病予防はとても大事ですね。
新型コロナウイルスに7777感染しないよう、また重症化させないように、日頃からきちんと口腔ケアも心がけていきたいと思います。
犬は歯周病になりやすい

これは人間だけでなく、犬などのペットも同じです。日頃から、口腔ケアをしっかり行い、歯周病にならないように気をつけなくてはなりません。
犬や猫は虫歯にはめったになりません。人とは異なり、口腔内がアルカリ性のため虫歯菌が繁殖しにくいことなどによります。その一方で、3歳以上の犬や猫の8割が歯周病を患っているといわれています。口腔内環境の悪化によって、細菌が体内に入ってしまい、思いがけない病気に繋がることもあります。
歯周病の原因は、歯垢の中の細菌です。犬や猫の歯垢は3〜5日ほどで歯石に変わります(人間は約25日)。少なくとも2〜3日に1回の歯磨きを、歯周病にかかっている場合は、症状を悪化させないために1日1回は歯磨きをしたほうがよいとされています。

愛犬には、歳をとってもおやつもご飯も美味しく食べることができて、健康で長生きしてほしいです。やはり毎日の歯磨き習慣は大切ですね。
歯磨きグッズあれこれ

犬用の歯磨きグッズもいろいろ揃っています。もちろん歯磨きが苦手な犬もいます。その苦手な度合いも犬によって違いますので、その犬に合ったもので、無理なく続けられるものを選びましょう。慣れるに従って、グッズも変えていくといいですね。
また、口の中を傷つけない素材、噛んでしまわないような素材など安全なものを選ぶことも重要です。犬の口のサイズと歯ブラシのサイズにも気をつけてください。
<歯ブラシ>

① 天然毛の歯ブラシ

こちらは、大阪八尾市の町工場で、熟練した職人さんの手で作られているヤギと馬の毛100%の歯ブラシ「ミガケンデ」という商品です。柔らかく、植毛数が通常の歯ブラシの5倍以上ということで、かなりしっかりした作りになっています。歯の汚れも落ち、歯茎のマッサージもできます。毛の硬さによって3つのタイプがあります。超柔らかな「ヤギ植毛」、超柔らかで磨き心地のよい「ヤギ&ウマ植毛」、ある程度コシがありしっかりと磨ける「ウマ植毛」です。
天然毛は歯のエナメル質よりも柔らかく、先に毛のほうがすり減るため負担が少なくて、歯と歯茎にとても優しい素材ということです。
国産で、一つひとつ職人さんの手作り。さすが匠の逸品。私も使いたいくらいです。あんも気に入っているようで、ここしばらくは、「ミガケンデ」のヤギ植毛のブラシを使っています。
② 360度歯ブラシ

グラスブラシのような、360度ブラシになっています。どこからでも磨けて、ヘッドのプラスチック部分が歯や歯ぐきにカチカチ当たることがなく安心です。
<シートタイプ>

歯ブラシは難しいという犬には、歯みがきシートを使ったこすりみがきがおすすめです。ガーゼやシートを使ったデンタルケアは、得体のしれない怖い歯ブラシよりも、飼い主の指の感触が感じられるので、犬も受け入れてくれるようです。
歯みがきシートは、しっかり指に巻きつけます。最初は軽く歯にタッチする程度で、あまりゴシゴシこすらないようにします。
シートは、ウエットタイプのものもあります。どういう成分が含まれているか、香りはどうか、など注意して選んでください。
写真のコットンシートはドライタイプです。私は水に濡らして使っています。オーガニックで、漂白剤、蛍光染料など無添加なので安心。使い捨てで衛生的です。
私は、歯ブラシで磨いた後、歯と歯茎を拭き取るときに使っています。拭き取りをすることで、口臭が気にならなくなったようです。
<ゆび歯ブラシ 手袋タイプ>

シートと同じ要領で使います。手袋タイプですので、指から外れることなく使えます。親指と人差し指の2本で歯磨きできるので、歯の裏側も磨けます。使った後は、よく洗って乾かします。20〜30回は洗って使えるそうです。
<歯磨きジェル>

犬が歯磨きをする場合、うがいをすることができないので、人間のように歯磨き粉などは使いませんが、飲み込んでも大丈夫なジェルタイプのものがあります。
歯磨きに興味を持ってもらうために、チキンフレーバーなど、香りや味をつけたものがあり、歯磨きが楽しいことと認識させるきっかけに使うこともできます。
私は、マヌカハニー風味の「歯にマヌカ」というものを、あんの歯磨き練習の最初に使いました。
マヌカハニーはよく知られているように、ニュージーランドにあるマヌカという木の花から採取される希少なハチミツです。強力な抗菌作用があり、古くから先住民の人たちは、歯周病、口内炎、皮膚疾患、胃腸疾患の治療や予防に利用してきたそうです。
「歯にマヌカ」は、成分の50%のマヌカハニーと超微粒子の銀のサプリメントを配合した天然成分だけでできた歯磨きジェル。味もハチミツそのものでおいしいようで、あんも気に入ってくれました。まずは舐めるところから始めて、次に、歯ブラシに付けて、だんだん慣れていくようにしました。今は、ジェルなしでも歯ブラシで歯磨きできるようになりました。
歯磨き手順 あんの場合

歯磨きは、まず立派な犬歯から始めて、前歯(門歯)、奥歯(後臼歯)と進めます。たいてい寝る前の、あんが、もううとうとと眠そうなタイミングで始めます。「大きく開けて〜」というと、少しだけ口を開いてくれます。目は閉じて、もう諦めたような顔をしています。時間をかけないように、ささっと素早くブラッシングします。最後に濡らしたコットンシートで、歯茎と歯を優しく拭いて完了です。




歯の裏など、隅々までなかなか完璧にはできませんが、なんとか毎日欠かさずを目標にしています。やはり何事も続けることが大切だと信じて。
あるとき、あんの歯磨きをしていて、犬歯と後臼歯の間の歯がとても小さい(あら、犬の歯はこんなもの?)ことに気がつきました。
「そうか、道理であんがビスケットを食べるとき、ボロボロ、ボロボロこぼれて、上手に食べられないわけだわ!」と思い当たりました。
毎日歯磨きをしていると、小さな発見があって、これもまた面白いです。病気のサインも早期に気が付くかもしれません。

Credit
写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/
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参考:ホリスティックケア・カウセラー養成講座 テキスト
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