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フラワー&フォトスタイリスト、海野美規さんのWeb上アレンジメントレッスン。季節の花をサラリと活ける感覚を身につけて、素敵な大人になりましょう。むずかしい決まりやテクニックは一切なし。ちょっとしたコツと自由な発想で、アレンジメントが上手になりますよ。今回は、くるっと丸まったツルが可愛い豆の花のアレンジメントをご紹介します。菜園で育つキヌサヤエンドウも大活躍!

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マメ科の可愛い花

マメ科の花

サマースイートピーをご存じでしょうか。一般に、冬から春にフラワーショップで見かけるスイートピー は、葉っぱがついていない状態の切り花で売られていますが、サマースイートピーは、葉っぱもつるもついて、草丈が長い状態です。花市場の方は、これを春のスイートピーと区別して「サマーピー」と呼んでいます。

初夏の庭ではサマーピーがのびのびと茎を伸ばして、気持ちよさそうに咲いています。

さやえんどう

スイートピーの「ピー」は豆のことで、マメ科の植物です。実家の庭の小さな畑や、窓の下のプランターでは、そら豆、キヌサヤエンドウが花を咲かせていますが、どれも蝶々みたいな形で、サマーピーと同じような花姿をしています。くるりとしたつるも可愛らしく、葉っぱも明るい緑色でとてもきれいです。

マメ科の花

今回は、フラワーショップで手に入るサマースイートピー ‘ブルーフレグランス’と、畑に咲いていたキヌサヤエンドウの白い花を合わせて、マメ科の花をメインにしたアレンジをご紹介したいと思います。マメ科の花は、庭や畑から摘んできたような、優しい雰囲気の花と相性がいいようです。

ジャグ

器は、あらたまったフラワーベースより、ジャグのような生活雑器のほうが似合います。素材の違う2つのジャグにアレンジしてみました。

ステンレスのジャグとサマースイートピー

器/ステンレスのジャグ

シンプルなステンレスのジャグです。サマースイートピーが長めなので、少し大きめなジャグを選びました。

ステンレスという素材は、キッチンで使われている調理器具などをイメージするせいか、菜園のマメ科の植物とよく合うような気がします。

<使った花>

マメ科の花
  • サマースイートピー‘ブルーフレグランス’
  • ニゲラ

シンプルな器なので、花もシンプルに。ニゲラは、おとなしい感じの花です。花の周りの繊細な糸のような葉がふわふわしていて、アレンジに入れると、とてもいいアクセントになります。

サマースイートピー‘ブルーフレグランス’は、ここ数年、ウエディングブーケなどでとても人気がありますが、「サムシングブルー」にぴったりの青い色が美しい花です。2月から4月頃に出荷されますので、お店で見かけたら、ぜひアレンジしてみてくださいね。

<アレンジの手順>

ステンレスのジャグとサマースイートピーのアレンジ

サマースイートピーの枝とつるの動きを生かしましょう。

持ち手と反対側に枝を長めに入れて、流れるようにします。

ステンレスのジャグとサマースイートピーのアレンジ

花材の高さは、器と同じくらい。1:1を目安にしますが、つるがひゅるひゅると飛び出ていてもOKです。

サマースイートピーを入れただけでも自然な動きが出て、いい感じになります。

ステンレスのジャグとサマースイートピーのアレンジ

ニゲラをサマースイートピーの間に入れていきます。

ステンレスのジャグとサマースイートピーのアレンジ

陶器のジャグとエンドウの白い花

器/陶器のジャグ

陶器のジャグ

素朴な陶器製のジャグを選びました。このジャグには、”Blue tit ”(アオガラ)がいるんですよ。私はこの可愛いブルーティット のジャグがとても気に入っています。このジャグに活ける時は、ブルーティットが好きそうな、小さな可愛らしい花を選びたくなります。そんなふうに花器を思い浮かべながら花を選ぶのも楽しいですよ。

<使った花>

陶器のジャグとエンドウのアレンジ
  • 白花エンドウ
  • ビオラ
  • ワスレナグサ
  • ニゲラ
  • ネモフィラ

ブルーからピンク、白と、淡い色の花を選びました。よく見ると、白花エンドウには小さなサヤエンドウがなっていました。虫食いの痕もありますが、それもナチュラルな味わいとして楽しんでしまいましょう。

<アレンジの手順>

陶器のジャグとエンドウのアレンジ

サマースイートピー‘ブルーフレグランス’のアレンジと同じように、白花エンドウの枝とつるの動きを生かすように入れていきます。

陶器のジャグとエンドウのアレンジ

白花エンドウを入れてだいたいの形を作ってから、他の花を入れます。

ワスレナグサは外に飛び出すように、ビオラは器の縁の近くに入れます。

摘んできた花をポンとジャグに入れたような、ラフなスタイルにします。

マメ科植物のジャグアレンジ

小鳥のさえずりならぬ、キツツキのドラミング

アオゲラ
Bachkova Natalia/Shutterstock.com

このジャグに描かれているブルーティットは、広くヨーロッパに分布していて、日本では生息していない鳥なのだそう。残念です。こんなにきれいな可愛らしい小鳥が近くにいたらいいですよね。

私は、中欧の国ハンガリーに住んでいたことがあります。ブルーティットが身近にいたのかもしれませんが、当時は気がつきませんでした。もっと注意して見ていればよかったなと思います。

そのハンガリーの首都ブダペストに暮らしていた時のこと。早朝、ものすごい音に驚いて飛び起きたことがありました。「カンカンカ〜ン〜!、コンコンコ〜ン〜!」今まで聞いたことがない音。道路工事? マンションの解体? もしかして強盗がドアをこじ開けている? と、何の音かまったく見当がつきませんでした。

恐る恐る音のするほうに行ってみると、窓の近くにある木を、ちょっと大きめなキツツキが高速で突いていることが分かりました。

キツツキ
CezaryKorkosz/Shutterstock.com

「えーっ、キツツキ!?」とびっくりしました。まさか! キツツキは森にいる鳥だと思っていましたし、何より、鳥がこんなに大きな響き渡る音をさせるなんて、にわかには信じられない思いでした。

後日ハンガリー人の方に聞いてみると、これはハンガリーではよくあることらしく、「家の軒をコンコンコ〜ン〜とされると、もっとた〜いへんよ!」と言っていました。

小鳥の爽やかなさえずりで目が覚めるなんて憧れますが、キツツキの超高速大音量のコンコンコ〜ン〜(ドラミング)で起こされるのも、ちょっとだけ楽しい経験でした。

それにしても、ブダペストは首都にもかかわらず、自然が近くにあるのだなと実感しました。そうそう、自宅近くで、ハリネズミが道路をトコトコ歩いているのを見かけたこともありましたよ。

アレンジメントをしていると、器や花にまつわるいろいろな思い出が呼び起こされます。皆さんも、そんなゆったりとした時間をお楽しみくださいね。

Credit

写真・文/海野美規(Unno Miki)
フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。
https://www.annegarden.jp/

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