【呼吸器系のケア】花粉症、アレルギーなどの呼吸器トラブルにおすすめ! 精油でセルフケアを始めよう
花粉症や喘息などのアレルギー症状を持っている方はとても多く、アレルギーはもはや国民病ともいわれていますね。人間には、体内に異物が侵入した際、それを排除しようとする「免疫システム」が備わっているのですが、なんらかの理由で誤作動を起こし、無害なものに対しても攻撃してしまう反応をアレルギーといいます。症状を緩和させる治療を受けている方も多いことと思いますが、かゆみや鼻づまり、のどの痛み、咳、頭痛や倦怠感など、不快な症状を少しでも和らげたい方へおすすめなのが「アロマセラピー」です。今回は、呼吸器系のトラブルに、ご自宅で簡単にできるアロマセルフケアの方法をご紹介します!
目次
ちょっとしたトラブルにアロマセラピーの力
アロマセラピーとは、日本語に直すと芳香療法。本来、植物は外敵から身を守るために発する香りや、受粉のために虫を呼び寄せる香りなど、さまざまな目的で芳香成分を持っています。これを活用して心身の健康づくりに役立てようとするのが、アロマセラピーです。
アロマセラピーでは、精油(エッセンシャルオイル)という、植物から採取された揮発性のオイルを使用します。この精油の香りを嗅ぐと、鼻から入った芳香分子は、鼻腔の奥にある嗅上皮という粘膜を通り、嗅毛に受容されます。そして、芳香分子が電気信号に変わり、大脳辺縁系にダイレクトに届けられます。その間、わずか0.2秒。大脳辺縁系は、本能や感情を司る部分で、自律神経などに関わる部分です。ですから、香りをかぐことにより、不安や緊張を和らげたり、リフレッシュ作用があります。
また、芳香成分は植物の数だけ存在し、精油となって流通しているものは多種にわたります。それぞれの植物に、抗アレルギー作用・抗炎症作用・鎮静作用・鎮痛作用などがあり、この症状にはラベンダー、この症状だったらローズマリーなど、症状に合うものを選んで、セルフケアができるというのが、精油を使う最大のメリット!
私にとって、精油は薬箱のような存在です。ちょっとした不調は、精油を使って様子をみて、症状が続くようなら病院へ行くことにしています。
呼吸器系トラブルにおすすめの精油はこちら
花粉症や喘息などのアレルギー症状だけでなく、風邪のひき始めや、なんとなくのどが痛い…といった時にも、精油は役立ちます。吸器系のトラブル時には、症状に合わせて、鎮咳作用・抗炎症作用・抗菌作用・殺菌作用・鎮静作用・去痰作用などがある精油を選ぶとよいでしょう。その中でもおすすめの3本をご紹介します。
ラヴィンツァラ
ラヴィンツァラは、クスノキ科の植物。マダガスカル語で「体にいい葉」という意味があります。18世紀になってから精油が作られるようになった、わりと新しい種類です。
ラヴィンツァラには、抗ウイルス作用・免疫力増進作用・抗炎症作用・去痰作用・鎮痛作用などがあります。スーッと爽やかな香りが特徴で、他の精油と合わせやすい香りです。
呼吸器系全般の不調時に活躍する精油で、咳や喘息や気管支炎にも効果があります。花粉症でのどに症状が現れやすい方にもおすすめです。免疫力を高めるので、感染症の予防にも。
ユーカリ・グロブルス/ラディアータ
ユーカリ・グロブルス種とラディアータ種には、抗菌作用・去痰作用・抗ウイルス作用・抗炎症作用があります。気道のトラブル(気管支炎、痰、咽頭炎、喉頭炎、副鼻腔炎、喉の不調など)におすすめ。
実は、ユーカリには種類が700種類ほどあり、精油も多種類存在しています。一番メジャーなユーカリはグロブルス種なのですが、香りが強く強烈です。好みが分かれるところなので、グロブルス種が苦手な人は、ぜひラディアータ種をお試しください。ラディアータ種は、グロブルス種と比べると成分が優しく、香りもマイルドです。こちらも感染症予防に向いています。アロママスクやマスクスプレーにも〇!
ティートリー
ユーカリに似た、シャープで清々しい香りが特徴のティートリーは、オーストラリアの先住民が傷や感染症の万能薬として使ってきた歴史のある植物です。
ティートリーの精油は、アロマセラピーを始める時には揃えたい必須の1本でもあります。数多くある精油の中でも、刺激成分が少なく穏やかで、使いやすい精油なのですが、作用はとてもパワフルなのです。抗菌作用・抗ウイルス作用・抗炎症作用・去痰作用など、風邪や花粉症の症状緩和に役立ちますよ。免疫力を高めるので、感染症予防にもおすすめ。
精油を購入する時に絶対確認してほしいこと
精油を購入する際には、必ず植物100%であることを確認してください。精油は、合成物質などが添加されていないもの・アルコールや油脂などの溶剤により希釈されていないものを指します。先ほど記載した効能は、植物100%だからこそ得られるものです。昨今は、さまざまな香りアイテムが販売されていて、アロマとつく商品も多数ありますので、ご注意ください。
精油はインターネット通販で購入可能ですが、慣れないうちは、アロマセラピー専門店で香りを確認しながら購入できるとベストです。
簡単! 混ぜるだけ! セルフトリートメントオイルを作ろう
精油を使用する際は、いくつかのルールがあり、これを守って自己責任で使っていただくことになりますが、原則は、直接肌に付けることはせず、何かで希釈して(薄めて)使用します。
今回は植物油(ホホバオイル)で希釈して作る、トリートメントオイルの作り方をご紹介しますね。
【材料】
※1~2日で使い切る量がおすすめ
◯ホホバオイル 10ml
*スイートアーモンドオイルなど手に入りやすいものでOKです。
◯精油 2滴
*お好みのものを1~2種類選びましょう。
【作り方】
1. ホホバオイルを計量し、ビーカーやお皿などに入れます。
2. 1に精油を2滴垂らします。精油の濃度を計算していますので、ビンを振ったりせず、自然に精油が垂れてくるのを待ちましょう。
3. 竹串などでかき混ぜて完成です。
【使い方】
トリートメントオイルを適量手に取り、のど、鎖骨、胸、背中、首の裏、鼻周り、こめかみなど、気になる所に優しく塗り込みます。特に鼻周りに塗ってからマスクをすると、効率よく精油成分を体内に取り込めるので、一石二鳥ですよ。
精油の抗ウイルス・抗菌作用について
精油にはここでご紹介したように抗菌・抗ウイルス作用を持つものがあります。精油は人の暮らしに古くから利用され、長い歴史の中で、病気やケガに対して精油が何らかの効果があることが経験的に知られていましたが、近年では科学的な実験によって、その効果が客観的に証明されています。
こうした科学的な根拠のことを「エビデンス」といいますが、精油の中には、ウイルスに対する効果のエビデンスを持つものがいくつかあります。例えばインフルエンザウイルスに関しては、ウイルスへの精油の直接添加、また芳香暴露実験によって、ティートリー、ラヴィンツァラ、ユーカリ・ラディアータの3種の精油にインフルエンザウイルスの増殖抑制効果があることが明らかになり、論文として発表されています。
そこで、期待が高まるのが、新型コロナウイルスへの精油の効果ですが、残念ながら新型コロナウイルスに関してはまだ研究が不十分で、日本アロマセラピー学会でも「新型コロナウイルスに直接的な抗ウイルス作用を示したエヴィデンスは、当学会が知る限りではありません。したがって、現時点では、『新型コロナウイルスに精油が有効である』とするには時期早尚であるとするのが、日本アロマセラピー学会の統一見解です。」(一般社団法人日本アロマセラピー学会HPより引用)としています。
研究が進んで、ウイルスに対して私たちが家庭でできるような、精油による対策が増えれば嬉しいですね。
使用する前に
自然の恵みが詰まった精油ですが、妊娠中・授乳中の方、治療中の病気がある方、体質等の心配がある方は、使用できない種類もあります。使用する前に、かかりつけの医師にご相談ください。また、精油は薬ではありません。健康状態が気になる方も医師にご相談ください。
Credit
写真&文/堀 久恵(ほり ひさえ)
花音-kanon- 代表、ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。植物に囲まれ、日々ガーデンセラピーを実践中。埼玉県熊谷市在住。
https://kanongreen.com/
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